大和証券、日興証券、野村證券を渡り歩いた原田茂行氏は、顧客資産1660万円を12億5000万円まで増やしたアナリストです。同氏は日ごろどのように「儲かる株」を見極めているのでしょうか? ※本連載では書籍『株オタクの現役IFAが指南!本当に儲かる「株」講座』(幻冬舎MC)より一部を抜粋。過去の波乱相場から学ぶ株式の正攻法や、投資に失敗する人の共通点、銘柄データのチェックポイントまで、「暴露話に近い」ノウハウを解説します。

「地雷原」のようなIPOラッシュ…筆者も被弾した

■懐疑的IPOラッシュ~上場ゴールも多かった「新興株バブル」

 

ITバブル崩壊後に復活したゼロ金利政策の効果もあり、じわじわと鈍足ではありますが日経平均は上がっていきました。

 

そんな右肩上がりの相場のなかで台頭してきたのが新興株と呼ばれる銘柄たちです。

 

2004年から2006年にかけてIPO(新規公開株)の件数が急拡大しました。2004年は179件、2005年は167件、そして2006年の196件は過去最高となっています。2019年のIPOは86件ですから、いかに当時がIPOラッシュであったかが分かります。

 

引き続きITが強く、インターネット関連の新興企業のPERは軽く100倍を超え、200倍以上の会社も存在していました。

 

2003年10月から算出された、新興企業向けの株式市場東証マザーズの指数は、1000ポイントスタートから、2006年1月には2800ポイントまで上昇、その間小型新興株は買いが買いを呼び活況を呈していました。

 

ITバブル時はインターネット関連企業の将来性を見据えて、まだ利益の出ていない企業や赤字の企業まで買われていました。対してこの時代はインターネットのサービスが具体的にビジネスとして成功し始めていたため、多くの企業が利益を出せていたのも、買いを呼ぶ材料となっていました。

 

具体的には、インターネット広告、インターネット通販、iモードなどのインターネットサービスにコンテンツを提供しているプロバイダー、ウェブサイト関連サービス、ウェブメディアなどが、新興株を中心に次々と買われていったのです。楽天やサイバーエージェント、デジタルガレージなどの新興株は、この期間で株価が10倍以上になっています。

 

インターネットで株取引をする人が急増したのもこの時期で、専業のインターネットトレーダーが生まれ、100万円ほどの原資が1億円以上になった「億り人」トレーダーを輩出していました。

 

ITに紐づいている企業であれば、上場時に公募価格を大きく上回る企業が続出していたので、IPOに当選した人は大きな利益を得ることができたはずです。しかしこのIPOラッシュには少々懐疑的な側面もありました。実体が怪しい会社のIPOも少なからず存在し、上場してから下方修正を繰り返す企業も増えていたのです。

 

新興株バブルでは私も得意の小型株取引で好成績を出せていましたが、その一方で大きな損を被った経験もあります。

 

例えば2006年4月に上場したアスキーソリューションズ。IT関連の事業を扱っていて、しかも株式会社アスキーから派生している企業ということで、期待を持って株を買いました。ただ具体的にどのような事業を行っているのかは一見して把握できず、「いかにもよさそう、でも実体がよく分からない」という、新興株バブル時代を象徴する「地雷」銘柄の一つであったといえます。

 

上場時はすさまじい高値の株価をつけましたが、そこをピークに下がり続け、2008年には追い討ちをかける不正経理発覚、同年の5月に上場廃止となっています。株を買っていた身としてはこれほど痛ましいことはありませんでした。このように上場時がピークの「上場ゴール企業」が目立つ、地雷原のようなIPOラッシュの新興株バブルだったのです。

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株オタクの現役IFAが指南!本当に儲かる「株」講座

株オタクの現役IFAが指南!本当に儲かる「株」講座

原田 茂行

幻冬舎メディアコンサルティング

オタク的に株を愛する著者が導き出した「足で稼ぐ」投資とは――ヘタなテクニカル分析は時間とお金のムダ!? 「推し銘柄」は決算説明会や展示会でこそ出会える! 過去の波乱相場から学ぶ株式の正攻法や投資に失敗する人の共通…

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