大和証券、日興証券、野村證券を渡り歩いた原田茂行氏は、顧客資産1660万円を12億5000万円まで増やしたアナリストです。同氏は日ごろどのように「儲かる株」を見極めているのでしょうか? ※本連載では書籍『株オタクの現役IFAが指南!本当に儲かる「株」講座』(幻冬舎MC)より一部を抜粋。過去の波乱相場から学ぶ株式の正攻法や、投資に失敗する人の共通点、銘柄データのチェックポイントまで、「暴露話に近い」ノウハウを解説します。

「5G」「自動運転」「AI」…バブル再来の兆しか?

■新技術バブルの再来はあるのか

 

ITバブルは、IT関連企業であれば赤字の会社もとことん買われるのが特徴的でした。「IT関連なら今後きっと黒字化するから」という期待先行の株価上昇だったわけですが、赤字の会社をとことん買うなんて本来とてつもなくリスクの高いことで、異常な取引といえます。

 

そしてそんな異常な状況のなかでよく使われたのが、「PSR」と呼ばれる、新興の成長企業の株価水準を判断するための株価指標でした。PERが株価と利益の関係を見るのに対し、PSRは株価と売上を比べているので、赤字の会社でも見栄えのいい数字を出すことができました。

 

昭和バブルのところでも書きましたが、新しい指標が登場するとだいたい相場が下がり始めます(関連記事『第2波…コロナ相場は「強気に買うタイミング」でしょうか?』参照)。ITバブルでも同様に、PSR登場後から日経平均は下を向き始めたのです。PERでは説明がつかなくなってきたときに別の指標が使われ始めることは、現在の相場が行き過ぎたバブルであることを示唆しており、崩壊への始まりを告げる信号なのかもしれません。

 

さて、2020年もイノベーションの新機軸として「5G」や「自動運転」や「AI(人工知能)」、「IoT(Internet of Things)」といったテーマが話題を集め、関連金融商品が期待先行で買われている節があります。規模の大小はあれど、新技術関連ばかりに資金が集まるという、ITバブルに近い相場が形成されています。

 

果たして5GバブルやAIバブルが起きて、さらには崩壊という道をたどってしまう可能性は考えられるのでしょうか。

 

これはPERを見れば一目瞭然で、現在の相場はITバブルほどの異常な客観的数字を出しているわけではありません。ITバブルではIT事業関連銘柄が異常に高いPERをつけていましたが、現在の新技術関連の大手銘柄はおおむね正常なPERになっています。

 

例えば5G関連で日本を代表する企業である村田製作所のPERは、2020年2月時点で20倍ほどと、極めてリーズナブルな数字を示しています。そのほかの半導体関連の大手銘柄も、20倍から、買われていても30倍ほどです。この点、バブルとはほど遠い状況といえます。

 

ただ、新興株は注意が必要です。人工知能を扱う新進気鋭の企業で、赤字にもかかわらず新規上場した銘柄などは、上場後になんとか利益を出せたとしてもPERが数百倍という数字になりがち。新技術関連だからといって無闇に手を出すのはリスクが高いです。

 

東証マザーズのなかには、上場1年ほどで時価総額が数千億円をつけている新技術関連の銘柄もあります。時価総額のわりに売上がたいして増えていなければ、基本的には推奨できない銘柄といえるでしょう。

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    原田 茂行

    幻冬舎メディアコンサルティング

    オタク的に株を愛する著者が導き出した「足で稼ぐ」投資とは――ヘタなテクニカル分析は時間とお金のムダ!? 「推し銘柄」は決算説明会や展示会でこそ出会える! 過去の波乱相場から学ぶ株式の正攻法や投資に失敗する人の共通…

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