本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

後悔しかない…明かされたKさんの「大失敗」

提案時にKさんがどのような反応をするか心配に思うところはありましたが、何のためらいもなく贈与に応じてくれました。というのも、実はKさんは大地主であった夫が亡くなった時、相続対策を何もしていなかったために、相続税として1億円以上を支払ったという苦い経験をしていたのです。

 

夫が頑張って築き上げた財産だったので、もう少ししっかりと残せるように準備しておけば良かったと悔いを感じていたそうです。

 

相続対策というのは、基本的には生前に行わないと大きな効果を上げることができません。しかし、自身の死を前提としている対策は本人にとって気持ちの良いものではないため、抵抗感を持つ人もいますし、そのために、相続人や家族も被相続人本人に相続問題について言い出しにくいというのが実情です。

 

しかし、そういった人たちの多くが相続対策を始めるきっかけというのが実はあります。それは友人、知人から争族の話を聞いたときや、自身が親や配偶者の相続で失敗してしまったときです。

 

いくら手馴れている相続アドバイザーからの助言だとしても、第三者からの話というのは、どこか他人事に感じられるところがあるようですが、近い人たちからの話、もしくは実体験の場合には、行動に移しやすい危機感やインパクトがあるようです。Kさんの場合も、自身の体験から相続対策へと踏み出したことが贈与の快諾に結びついているようです。

 

本来であれば、そのようなことがなくても積極的に相続対策へと踏み出すのが理想です。Kさんの場合も夫が存命の段階で、二次相続のことも含めて対策をとっておけば痛い目を見ずに済んだはずです。

 

今回のケースでは贈与を利用するといっても、Kさんも81歳、いつ何が起こるかわかりませんので、10年、20年かけるなどして悠長に行っていく余裕はありませんでした。

 

そこで考えたのが、養子、養女プラス孫3人の計5人に対して同時に贈与をしていくという方法です。暦年贈与の基礎控除は1人につき110万円までありますし、贈与する額は1人に対して多くするより、複数人にして分割した方が税率も下がります。

 

要は贈与を受け取る人が多ければ多いほど節税効果は高まるということです。Kさんは息子(養子)同様、息子の嫁(養女)も孫も可愛がっており、彼らに贈与することが節税になるなら喜んで贈与すると言ってくださいました。

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税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

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