白内障とは、加齢によって目の中でカメラのレンズのような役割を担う水晶体が白く濁り、視力が低下する病気です。60代で約半数、80代に至ってはほぼ全員が、程度の差こそあれ白内障にかかります。高齢化に伴い、今や「目の国民病」と言っても過言ではないこの病気について、眼科専門医が症状と治療法を平易に解説します。※本記事は『図解 白内障かなと思ったら読む本』(幻冬舎MC)から抜粋・再編集したものです。

白内障をたとえるなら「曇った眼鏡」をかけた状態

眼鏡をかけている人なら、寒い日に外へ出たときや、あつあつのどんぶりものを食べたときに「わっ、目の前が真っ白!」なんて経験が一度はあるかと思います。

 

白内障は、たとえるならば曇った眼鏡、汚れた眼鏡をかけ続けている状態といえます。というのも、レンズの役割を果たす水晶体が、濁ってしまうことが、白内障で起こる大きな異常の一つだからです。光が正常に通っていかず、網膜にきれいな像を結ぶことができなくなるのです。

 

先ほど、水晶体はおもにタンパク質でできているとお伝えしました。私たちの皮膚や爪も主たる成分はタンパク質です。「若いときよりも肌や爪の色が黄色っぽくなった気がする」のは加齢によりタンパク質が変性、劣化している現れです。

 

これと同じことが、水晶体にも起こっているのです。

 

[図表4]水晶体が濁って見えなくなる

①正常な水晶体は、生卵の白身のように柔らかく無色透明です

②卵の白身に熱を加えると、徐々に白く濁って透明度が下がっていきます。同じように、水晶体も加齢が原因でタンパク質の修復機能が次第に失われ、濁ってきます

③修復機能を失った異常なタンパク質が水晶体の中に集まると、水晶体が濁ります。一度濁ると、透明な状態に戻ることはありません

加齢とともに水晶体が硬くなり、屈折異常が起こる

水晶体は加齢とともに、硬さも増していきます。これもタンパク質の劣化によるもので、皮膚や髪にも現れます。年齢を重ねるごとに肌や髪の潤いがなくなりごわつくのと同じように、水晶体もしなやかさが失われていくのです。

 

水晶体が硬くなると調整力が低下し、これが老眼となります。屈折力も変化し、人によって異なるのですが、近視になって手元が見やすくなって遠くが見にくくなる、逆に近視がなくなって遠くが見やすくなるという人もいます。今までは手元を老眼鏡で見ていたのに、なくても見えやすくなったら要注意です。

 

しかもやっかいなことに、均一に硬くなるわけではありません。質にむらができてしまうというわけです。そうなると、厚みもスムーズに変えにくくなり、ピントが合わなくなり、見えにくくなってしまいます。

 

このように白内障は、最も大きな特徴である「濁り」に加え、水晶体の劣化による「硬化」が進んでしまい、本来のレンズの役割を果たせなくなるのです。

 

 

『図解 白内障かなと思ったら読む本』より
 

川原 周平

医療法人 iMEDICAL 川原眼科 理事長

眼科専門医

 

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