経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』から一部を抜粋した原稿です。

中古物件は工夫次第で利回りを高められる

次に中古物件についてだが、前述したように、初心者は中古物件購入からが家主業を始めやすい。その理由は、次のメリットを見るとわかるだろう。

 

〈中古のメリット〉

〇購入価格が安く、利回りが高い

〇リノベーションで付加価値をつけられる

〇購入直後から家賃収入を得られる

〇節税効果が高い

 

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

築年数が古ければ古いほど、不動産の価格は下がる。しかし、例えば首都圏で、同じ規模の中古物件が新築と比較して半値ほどで購入できたとしても、家賃が半分になることはない。つまり、購入価格の方が家賃収入よりも価格差が生じやすく、中古物件は新築より高い利回りとなる。購入時に入居者がいれば、購入直後から家賃収入を得られるのも安心材料だろう。

 

さらに、低価格で購入した不動産をリノベーションすれば、新築並みの家賃で貸すことも可能 だ。費用を抑えるために、建材などを家主自身がインターネットで探して購入し、施工だけを業者に依頼するという家主も増えている。中古物件は、家主の力量でいくらでも利回りを高めることができるのだ。

 

築年数が古いと減価償却期間が短いため、大きな節税効果も期待できる。不動産のような高額な資産は1年間の売り上げ、すなわち家賃収入よりも多く経費化することはできない。そのため、「減価償却」という経費計上の方法があり、構造体と築年数により決まった減価償却期間にもとづいて、毎年決められた金額が経費化される。この減価償却期間は、築年数が古いと短く、例えば木造で築22年を超えると一律4年となる。他の所得がある人にとっては、一度に経費化できるものが多いと、節税できるためメリットに感じるのだ。

 

〈中古のデメリット〉

〇融資を受けにくい

〇修繕費などの出費が多く、空室リスクが高い

〇次の買い手がつきにくい

 

中古のデメリットは、新築のメリットの逆になる。特に修繕費は、よく調べて検討しないと経営を圧迫する。利回りばかりに目が向き、実際の建物の状態をよく調べないで購入すると、雨漏りやシロアリなど建物にトラブルを抱えていて、その修繕費が購入費と同じくらいかかったなどという話も珍しくない。中古物件のリスクは、素人の目視だけでは修繕費がいくらかかるかわからないことだ。

 

中古物件を買い慣れている家主は、購入を検討する不動産を訪問する際、現地に建築業者に同行してもらう。建築業者と共に建物の外、中を確認して、すぐにどの程度の修繕費用が必要なのか見積もりを出してもらうためだ。それにより、購入前におおよその投資費用がわかり、購入すべきかどうかの判断ができる。

 

また最近は「ホームインスペクション」と呼ばれる建物診断サービスが出てきた。ホームインス ペクションでは、建物の状況を調査し、不具合がある場合は、どの部分を修繕する必要があるかの診断シートを作成する。家主は、その診断シートをもとにリフォーム業者に見積もりを取り、購入判断ができる。

 

いずれにしても、中古物件は買いやすい半面、持ち続けるのも、売却するのも新築と比べて難易 度が高い。その点を理解しないと、運営コストがかかり、入居者が一度出てしまうと空室期間が長期化して家賃収入が減るという悪循環に陥る。単に利回りが高いとか、価格が安いなど、表面的なところばかり見るのではなく、建物の状態をきちんと調べることが重要だ。RC造マンションは融資を受けやすい

 

永井ゆかり
「家主と地主」編集長

 

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永井 ゆかり

プレジデント社

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