ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

炎上するまでクライアントを放置する悪辣

ウェブマーケティングの効果がなかなか上がらないとき、事業者は「SEOの施策は万全なので様子を見ましょう」「アクセス数は伸びているので、おいおい売上増にもつながっていきます」などと弁明しますが、実はほとんど何もしていなかったというケースが少なくありません。

 

後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)
後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)

氷山の一角ですが典型的な例を紹介しましょう。

 

元広告代理店勤務のAさんは、リスティング広告の運用代行サービスをしていました。インターネットでキーワード検索をすると、検索結果を表示したページの上下や右側に文字広告が出てきます。これがリスティング広告で、インターネットでの集客にはよく使われる手法です。

 

リスティング広告を実施する際は、「どのキーワードが検索されたときに広告を出すか」をまず設定します。その広告の下線が付いた文字列をクリックすると企業が用意したプロモーション用のウェブサイトに飛び、製品やサービスの紹介から始まってサンプルの提供、イベントへの招待、会員登録などを案内するのが一般的です。

 

しかし、キーワードを設定して広告を出せばすぐに反響があって、製品やサービスがどんどん売れていく――ということにはなりません。設定を何度もやり直してようやくターゲット層にうまくヒットすることも多く、そのあたりの運用ノウハウがウェブマーケティングのプロとしての腕の見せどころでもあります。

 

Aさんは「効果があるからやりましょう」と口説いて、受注した後は放置したまま。いつクレームが来るかと毎日ヒヤヒヤしながら仕事をしていたといいます。

 

Aさん曰く、その広告代理店では新規顧客の開拓に忙しくて既存クライアントのフォローは後回し。それでも誰かが広告を見てクリックしてくれれば、広告代理店にはお金が落ちてくる。全然売上につながらないとお客さんに指摘されても、そういうときもあると説明すれば、ウェブ広告の実態がよく分かっていないクライアントはいくらでも言いくるめることができたといいます。解約すると言われたらあわててキーワード設定を見直して取り繕い、契約を延ばし延ばしにするというのがパターンになっていたというのです。

 

これでは、効果があると思って広告を出した企業側はたまったものではありません。

 

後藤 晴伸

後藤ブランド 社長

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

業界を知り尽くした著者がウェブマーケティング業界の闇を暴露する衝撃の一冊。 インターネットがビジネスでも必須の存在となり、ウエブを活用した賞品宣伝や集客が当たり前になり、検索順位を上げたり、広告から商品の購入に…

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