※本記事は、2015年11月25日刊行の書籍『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

3000万円どこいった…?同居長女、唖然の一言

ところが、3年前から出ていた認知症の症状が1年ほど前から悪化したため、長女が面倒を見きれなくなり、兄である長男と妹である次女に

 

 

「うちだけで面倒を見るのは無理だから、3人で持ち回りにしてほしい」

 

と言いだしました。そこで長男が、「うちで面倒を見るから、母親の財産管理もさせてほしい。差し当たって、銀行通帳をこちらに渡してくれないか」

 

と提案したところ、長女は煮え切らない態度を取り始めました。

 

「通帳を紛失した」「最初から預かっていない」

 

など、言うことがコロコロと変わって一貫性がありません。

 

不審に思った長男が銀行預金の取引履歴を調査したところ、およそ3000万円あったはずの預貯金がほとんど引き出されていることが分かりました。

 

長男は、

 

「親の金を勝手に使うとは何ごとだ! これは横領だぞ!」

 

と長女をなじり、長女は、

 

「これは、私がお母さんからもらったお金なのよ。もらったお金をどう使おうと私の自由でしょ!」

 

と開き直ります。

 

肝心の母親はというと、認知症が進んでいて、すでに記憶が曖昧になっているため、事実関係が分かりません。

 

長女のことが許せない長男は、母親に裁判を起こさせてお金を取り戻すことを決意しました。

 

母親にお金があって、意識もはっきりしていて、自分で自分のことができるうちはいい顔をしていた長女ですが、認知症が進んできたら負担に感じ、「どうして自分だけが親の面倒を見なければならないの?」と半ば被害者意識を感じるようになったようです。

 

母親の預貯金を引き出したことも、親のお金を横領しようという気持ちからではなく、通帳を預かってお金を下ろしているうちに、何となく自分のお金のような気がして自由に使ってしまった、というのが本当のところでしょう。

 

親の面倒を見ていた子どもが、親のお金を使い込み、後で発覚して騒ぎになるのはよくあることですが、大抵の場合、はっきりとした悪意があってのことではありません。この長女のように、自分に大金があるように錯覚してしまうことがほとんどです。

次ページ子どものいない夫婦に訪れた悲劇。それは…

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