経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』から一部を抜粋した原稿です。

憧れの「サラリーマン大家」の魅力とは

家主業の魅力は、大きく分けて4つある。

 

1つ目は、本業と両立しやすく、確実に収入を増やせる事業である点だ。家主業は、基本的に不動産会社に管理業務を委託することができる。委託すると、入居者との契約や家賃の集金、入退去時の立ち会い、原状回復の手配、入居者からの建物の不具合や他のトラブルに関しての問い合わせまで対応してもらえる。そのため、緊急事態が起こらない限り、サラリーマンの就労時間への影響は少ない。

 

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

しかも、働き方改革の一環で、2018年に厚生労働省の「モデル就業規則」から副業禁止が削除され、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が提示されたことで、「副業解禁」の企業が増えた。会社に隠すことなく、サラリーマンも副業として始めやすい環境になりつつある。なお、書くまでもないだろうが、サラリーマンの就労時間外では、管理会社への連絡、空室対策、市場動向の情報収集など家主業を営む時間は必要である。

 

2つ目は、資金さえきちんと準備しておけば、金融機関からも融資を受けやすく事業として始めやすい点だ。ここで重要なのは、自己資金を準備しておくことである。

 

投資用シェアハウス「かぼちゃの馬車」は、自己資金ゼロでも不動産が購入できるというのが謳い文句だったが、サブリース会社が倒産した結果、借金返済で苦労している家主が増えたことから、金融機関が一斉に融資の厳格化を進めている。しかし、この金融機関の姿勢について、10年以上前から始めている人の中には「厳格化」ではなく、「正常化しただけ」という声が少なくない。これまで、自己資金ゼロでも融資をしてきたこと自体が異常だったからだ。たとえ、融資の審査が緩かった時代に、自己資金ゼロで不動産を取得し賃貸経営を始められたとしても、返済比率が高いために危ない橋を渡るような状況の人は少なくない。

 

最近では、自己資金として、購入予定の物件価格の最低2割、基本3割を用意することを融資条件として提示されるケースが増えている。自己資金が用意できなければ、始められない。だが、自己資金さえ用意できれば不足分を借金して購入でき、自己資金以上のリターンが期待できる。いわゆる「レバレッジ」が利かせやすい点は、メリットとして大きいだろう。

 

3つ目は、基本的には毎日あくせく働かなくても、毎月家賃が入ってくる点だ。満室であれば、ほとんど何もやらなくても家賃が安定して入ってくる。ただし、入居率が低いと毎月口座に家賃が振り込まれる金額が少ないばかりか、借り入れ返済への資金が不足するという事態になりかねない。満室で運営するためには経営努力が必要なのだ。

 

最後に4つ目は、不動産会社という存在のおかげで、生涯現役で稼ぐことができる点だ。魅力の 1つ目でも紹介したように、委託すれば不動産会社が日常業務を担ってくれるので、家主が自ら動いて対応しなくてもいい。大半の業務をアウトソーシングできる事業なのだ。たとえ高齢になり、判断能力に問題が生じる事態になったとしても、「不動産信託契約 ※」を事前に締結していれば、家賃収入を受け取る状況を維持できる。賃貸経営は良きビジネスパートナーを見つけられるかどうかが、成功できるかどうかに大きく影響する。

 

なお、資産運用として、よく株式投資と比較されるが、本連載では、家主業を不動産投資として捉えてはいない。むしろ、「投資」として捉えることにリスクがあると認識している。金融機関は投資にはお金を貸さない。不動産投資にお金を貸すのではなく、不動産賃貸事業に貸すことを頭に入れておかなくてはいけない。

 

※不動産信託契約は、委託者が所有する物件の所有権を信託契約に基づき信託会社(信託銀行など)に移転。信託会社は信託契約に定められた管理・処分を行う。信託の契約内容が賃貸物件の管理の場合、信託会社は自らまたは第三者によってその物件の賃貸管理を実施。一定の時期にその間の租税公課、共益費、管理費用や手数料などを差し引いた利益を受益者(委託者であることが多い)に配当する。

 

永井ゆかり
「家主と地主」編集長

 

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    永井 ゆかり

    プレジデント社

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