株式会社ビジネス・ブレークスルー執行役員である高松康平氏の書籍『筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」』(朝日新聞出版)より一部を抜粋してお届けする本連載。初回は、ビジネスシーンで問題に直面した際、多くの人は「楽しくない」という単純な感情を根拠として、もっとも大切な現状理解(WHERE)をないがしろにし、本質的課題発見(WHY)や解決策立案(HOW)に進みたくなる傾向があることを解説した。本記事は第2回目。現状理解(WHERE)にあたる思考プロセスとは、具体的に何を指すのか?

「ちょっと悪い部分」は無視していいものか?

■問題を特定できれば楽ができるし、一番効果的な検討ができる

 

現象を分けた結果、「良い部分」「悪い部分」「良くも悪くもない部分」に分解できると、そのあとが、だいぶ楽になります。

 

私は問題解決は、ずる賢く考えることが大切だと思います。問題を分解して「悪い部分」が特定できれば、その部分のことだけを考えればよいのです。考える対象を特定できれば、そこに集中できます。できるだけ全部を考えたいと欲張ってはダメです。悪い部分だけを直すことで、効率的に業績を回復させるのです。

 

たとえば、売上が下がった際にも、売上を分解してみて、特定の商品だけが大きく下がっていると分かったならば、その商品の売上がなぜ下がったのかだけを考えればよいのです。つまり、ほかの商品のことを検討しなくてよいわけです。一番悪い部分だけを検討すればよいので、楽ができるし、効果的な検討ができるのです。

 

ただし、一番悪い部分に絞って検討を進めるというと、少し気になることがあるかもしれません。悪い部分だけを見て、他の部分は無視してよいのかという点です。

 

一番悪い部分以外は、全く問題がないということならば、他の部分の検討は全く必要ありません。でも実際には、一番悪い部分以外にも、ちょっと悪い部分があるかもしれない。

 

「悪い部分」もあれば「ちょっと悪い部分」もあります。これは、どこまでを問題と認識するかの話になってくるのですが、基本的には悪い部分以外は、無視でよいと思います。

 

ビジネスは限られたリソースで行わなければいけません。あれもこれも問題だと考えて、すべてを検討してはリソースが足りません。まずは、一番悪い部分を直せばOKで、ほかの部分の検討を捨てる勇気も必要です。それで最初の問題が解決することができたならば、そのときに次の問題に取り組めばよいのです。

 

なお、何をもって問題と認識するのかに関しては次のステップ2で学んでいきます。

 

【次回に続く】

 

 

高松 康平

株式会社ビジネス・ブレークスルー執行役員/問題解決力トレーニングプログラム講座責任者/ビジネス・ブレークスルー大学専任講師

 

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