ドライな日興証券、ウェットな野村證券
私は営業専門の契約社員でしたので、そもそも退職金をもらえるような立場ではありませんでしたが、さすがシティグループ傘下の外資系企業という感じで、おのおのに「退職を希望する場合、貴方の退職金は○万円です」という事務的な案内メールが届きました。提示された額はけっこうなもので、「これだけもらえるなら」と、支店にいたFAの半分ほどが退職を決めました。
ちょうどそのタイミングで、道路を挟んだ向かいにある野村證券がFAを募集していました。「すぐ目の前の職場に移るだけでまとまったお金がもらえるなら」と、私も退職を志願。株を仕事にできるなら、正直働く場所などどこでもよかったのです。
すぐに面接を受けたところ、野村證券にもすんなり入社が決まりました。2008年12月末に4年半勤務した日興証券を退職、野村證券には2009年3月に入社のスケジュールで、またも最高の休暇を得ることができました。
野村證券は、日興証券のドライな雰囲気とは一転し、ウェットな感じでした。入る前は先進的なイメージを抱いていたのですが、営業の仕方は旧態依然としていて、受話器を握り続けて投資信託や債券の乗り換えを提案し続けるような営業を、営業員一丸でやっていました。
システムも旧式で、入社した直後にシステム部の部長が私のところへやってきて「日興のシステムのことを教えてほしい」と尋ねるような状況でした。日興証券同様に契約社員でしたが、日興のように自由に商品を勧められる雰囲気はなく、会社から指示された商品だけを販売していればいいという方針で、株式を勧めていると疎まれるような、非常に息の詰まる現場でした。
株式取引を得意としている私としては、本領発揮する場を奪われ、消沈した気分で淡々と仕事をこなす日々を過ごします。非常に面白味に欠け、ずば抜けた成績を出すことも難しく、結局1年ほどで退職を決めたのです。
次回は明日(7/21)配信。
※本記事は書籍『株オタクの現役IFAが指南!本当に儲かる「株」講座』を抜粋したものです。
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原田 茂行
IFA/自由が丘財産コンサルタンツ合同事務所代表/一般社団法人シニアウェルスライフ協会代表理事