「メガネ不要」の暮らしが実現…「3焦点眼内レンズ」の特性

研究開発が進み、多焦点眼内レンズの選択の幅が広がりました。ご自分の目とライフスタイルに合った「眼内レンズ」を選び、「若いころの快適な視界」を取り戻せる時代がやってきたのです。それぞれのレンズの特性について学び、白内障に備えましょう。 今回は、『「見える」を取り戻す白内障手術』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、3焦点レンズの特性の解説とともに、主要なレンズについてご紹介します。

3焦点レンズの選択で、「メガネ不要」の暮らしが実現

多焦点眼内レンズには、「遠方」「中間」「近方」の3つの距離に焦点が合う3焦点の製品があります。このタイプの眼内レンズを選択すると、ほとんどの方がメガネから解放されます。ガイドブックを見ながら街歩きをする、パーティなどでは、手元のプログラムを確認しながらひな壇に立っている人の顔がよく見えるなど、生活の利便性が非常に高くなります。

 

ただし、レンズにより加入度数や光学特性が違うため、どこまで近くが見えるかは差があります。ハロー・グレア・スターバーストもそれなりにあります。

 

製品例:ファインビジョン、レイワン、パンオプティクス、アクリバ・トリノーバ

 

【ファインビジョン】

ベルギーのPhysIOL社が2011年に発売した3焦点眼内レンズです。どの年齢の方にも満足度の高いという特徴があります。PhysIOL社の公式発表によると、使用者の97%が、もし次に眼内レンズを選ぶ機会があったとしても、同じファインビジョンを選ぶと回答しています。

 

PhyIOLより
ファインビジョン(ベルギー PhyIOL社

 

目に入ってきた光量の配分も、近方30%、中間15%、遠方40%とバランスが良く、中間距離でもクリアに見えます。中間1.75D加入に加え手元3.5D加入であるため手元も30cmほどの距離までよく見え、書類に記入する際などにも、老眼鏡が必要ないことがほとんどです。

 

光利用率は86%とやや低めで、夕暮れ時など薄暗いところで少し見えにくい場合があります。3焦点と呼ばれるレンズはいくつかありますが、日本人の読書距離である30cmが確実によく見える3.5D加入を実現しているのは、このファインビジョンと次のレイワンだけです。

 

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日本人の読書距離である「30cm」が確実によく見える、3.5D加入を実現

 

ハロー、グレア、スターバーストはそこそこありますが、気にならない方がほとんどです。

 

ハロー、グレア、スターバースト
ハロー、グレア、スターバーストの見え方

【レイワン】

イギリスのRayner社が2017年に発売した3焦点眼内レンズです。ファインビジョンと同じ手元3.5D加入であるため手元30cmまでよく見えます。中間もファインビジョンと同じ1.75D加入で80㎝にピークがあります。ファインビジョンより光学的ロスが少なく(光利用率89%)コントラストの高い見え方を実現しています。

 

イギリスRayner社より)(PhyIOLより
レイワン(英国 Rayner社)

 

 

その代わりハロー、グレア、スターバーストは強めです。水晶体嚢の収縮によってレンズの位置がずれてしまうリスクがあり、嚢を補強するため「拡張子リング」を使用することが必要です。アドオンレンズ(眼内レンズが入っている状態の目に追加で挿入できる眼内レンズ)もあるため、既に単焦点眼内レンズの入っている目に使用して3焦点機能を獲得することができます。完全オーダーメイドも可能です。

 

【パンオプティクス】

米国のAlcon社が2017年に発売し、国内では2019年に認可された3焦点眼内レンズです。すなわち、選定療養(社会保険に加入している患者が、追加費用を負担することで、保険適用外の治療を、保険適用の治療と併せて受けることができる医療サービスの一種。 健康保険法で規定されており、保険外併用療養費制度に基づいたサービスである)の対象となる最初の3焦点眼内レンズです。

 

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パンオプティクス(米国 アルコン社)

 

特徴としては中間距離の加入度数を他の3焦点眼内レンズより強い2.17Dとしたことで中間距離のピークが60cmにあります。これは、コンピューター操作など、快適な中間距離は60cmであるという考えに基づいています。

 

近方の加入度数は3.25Dとファインビジョン、レイワンよりやや低く、手元は40cmがよく見えます。30cmは、若い人ほど視力が出やすい傾向があります。光利用率は88%です。もともと長年単焦点眼内レンズとして定評のあるアクリソフの形状を継承しているため、眼内レンズの嚢内固定の安定性が高く、乱視矯正にも優れた軸安定性があります。ハロー、グレア、スターバーストはそれなりにあります。

 

【アクリバ・トリノーバ】

1.5Dと3.0Dが加入された3焦点眼内レンズで、40cmより中間〜遠方にかけて連続したクリアな視界が得られます。

 

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アクリバ・トリノーバ(オランダ VSY Biotechnology社)

 

 

板谷 正紀

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。
埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

▼はんがい眼科の公式ブログ「目のブログ」▼
https://eyeblog-hangai.com/
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著者紹介

連載近くも、遠くも、快適に…「見える」を取り戻す白内障手術

「見える」を取り戻す白内障手術

「見える」を取り戻す白内障手術

板谷 正紀

幻冬舎

レーザー白内障手術は、安全・快適・短時間に「見えない」という病気状態を解決し、「見える」を取り戻し、さらに快適に見えるを手に入れるまでに進化しました。この本では、進化した多焦点レンズ、レーザー白内障手術の最新情…