ビジネスで海外の人々と関わる際、自国の歴史の知識は必須だといえます。しかし、日本人が注意しなくてはならないのが「外国人に関心の高い日本史のテーマは、日本人が好むそれとは大きく異なる」という点です。本連載は、株式会社グローバルダイナミクス代表取締役社長の山中俊之氏の著書『世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ』(朝日新聞出版)から一部を抜粋し、著者の外交官時代の経験をもとに、外国人の興味を引くエピソードを解説します。今回は奈良時代から平安時代の日本における、世界との結び付きを紹介します。

 

約300年にわたり断続的に続いた遣隋使・遣唐使ですが、唐の衰退による政治的意義の低下や商船による文物往来の活発化によって9世紀末には遣唐使が廃止されました。その後の日本は遣唐使からの文物を基盤にしながらも独自の文化を発展させたのです。まさに融通無碍(ゆうずうむげ)であり創意工夫です。

 

まずは、これまでの漢文に代わり現在の平仮名を使ったかな文学が誕生しました。この時代までは、漢字の音訓を借りた万葉仮名が使われていました。かな文学を担ったのは『源氏物語』の紫式部、『枕草子』の清少納言、『更級日記』の菅原孝標(たかすえ)の女(むすめ)といった女流文学者でした。

 

また、貴族の邸宅として唐風を脱した寝殿造りが生まれました。寝殿造りでは、床が高く、靴を脱いで家に入るなど後世の日本建築の源流が生まれました。この寝殿造りは、明治維新後に東京に皇居を建造する際にも参考にされるほど、その後の日本文化に影響を残したと言えるでしょう。

 

絵画では大和絵が誕生してなだらかな線と上品な彩色の日本風絵画が生まれました。

 

平安時代の国風文化には現在の我々の生活に繋がるものも生まれています。ここに現在にも繋がりうる日本風文化の原点が誕生したのです。

 

 

山中 俊之

株式会社グローバルダイナミクス 代表取締役社長

 

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    山中 俊之

    朝日新聞出版

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