日本の東西分裂を回避した「東京奠都」という究極の大英断

ビジネスで海外の人々と関わる際、自国の歴史の知識は必須だといえます。しかし、日本人が注意しなくてはならないのが「外国人に関心の高い日本史のテーマは、日本人が好むそれとは大きく異なる」という点です。今回は、株式会社グローバルダイナミクス代表取締役社長の山中俊之氏の著書『世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ』(朝日新聞出版)から一部を抜粋し、「東京奠都」の理由と、海外の人への説明が難しい、日本の「天皇の存在」について解説します。

第一に「政治権力を有しない」、第二に「特に平成の天皇は、災害時にお見舞いをするなどの行為を通じて国民に親しまれた」です。

 

また、私が希望する今後の天皇の役割についても話すようにしています。

 

第一に、今上天皇の即位の礼の際のお言葉にもあった通り、国民に寄り添う役割です。

 

日本に限ったことではありませんが、人々は置かれた立場・境遇によって分断されています。貧困や障がい、病気、被災、高齢などにより困窮している人々は社会に多く存在します。このような人々に寄り添い、日本社会全体に「優しさ」を創り出すことは天皇や皇族の方々の大きな役割だと、私は考えます。

 

私事ですが、私自身、阪神・淡路大震災で実家が全壊し妹が亡くなりました。当時住んでいたサウジアラビアから急遽帰国して、がれき処理や葬儀などの対応に追われました。

 

このときに、当時の天皇・皇后両陛下が自宅近くの体育館に被災者を励ましに来られた際は、究極的に疲弊していた心身が癒され、勇気付けられたことを思い出します。当時の皇后陛下が、バスの窓から「頑張ってください」という意味を込めて、ガッツポーズのようなジェスチャーをされたことには感激しました。

 

困窮する人々の気持ちに寄り添うことは、日本人に対する行為に限ったことではありません。現在の上皇陛下(平成時代の天皇陛下)が敵味方や国籍を問わず戦没者の冥福を祈られたように、世界の困窮する人々を視野に入れてお気持ちを届けられるのは、素晴らしいことだと考えます。ご公務が増えてしまうことは本意ではありませんが、世界の人々に、日本の天皇の存在とはどういうものなのかを知っていただく機会にもなりそうです。

「文化の伝統を受け継ぎ、世界に伝える」役割を持つ

第二に、日本文化の伝統を受け継ぎ、世界に伝えていく役割です。

 

令和元年の10月に行われた天皇の即位の礼で身に着けられた伝統的な日本の装束は、世界のメディアを釘付けにしました。

株式会社グローバルダイナミクス 代表取締役社長

神戸情報大学院大学教授。「世界と日本」の歴史や文化に関する企業研修やセミナーを多数実施。1968年兵庫県西宮市生まれ。東京大学法学部卒業後、90年外務省入省。エジプト、英国、サウジアラビアへ赴任。対中東外交、地球環境問題などを担当する。また、首相通訳(アラビア語)や国連総会を経験。外務省を退職し、2000年、株式会社日本総合研究所入社。全国の自治体改革の案件に多数関与。09年、稲盛和夫氏よりイナモリフェローに選出され、アメリカ・CSIS(戦略国際問題研究所)にてグローバルリーダーシップの研鑽を積む。10年、グローバルダイナミクスを設立。SDGsカードゲームファシリテーターとしてSDGsの普及にも務める。ケンブリッジ大学大学院修士(開発学)。高野山大学大学院修士(仏教思想・比較宗教学)。ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA、大阪大学大学院国際公共政策博士

著者紹介

連載世界96ヵ国をまわった元外交官が教える「外国人にささる日本史12のツボ」

世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ

世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ

山中 俊之

朝日新聞出版

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