
視界にゴミや虫のようなものが映る「飛蚊症(ひぶんしょう)」。年齢に関わらず発症し、患者数が多い病気です。視力低下や痛みを伴わないため、特に問題のないものとして見過ごされがちですが、実は「怖い病気」の唯一の症状として現れている可能性もあるのです。年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香氏が「飛蚊症」について解説。※本記事は、アイケアクリニック院長の佐藤香氏の語り下ろしによるものです。
「網膜剥離」のサインかも?放置すれば失明の可能性
目の前に虫やゴミのようなものが飛んでいるように見える方はいらっしゃいませんか? 手で振り払ってもなくならないし、目を動かすとついてくる…それがいわゆる「飛蚊症(ひぶんしょう)」という病気です。ある日突然出てきて気になっていたけれども、周囲の人に聞いてみると「私もある」「僕もある」などといわれるので、「よくあるみたいだから問題ないかな」と放置している方が結構多いのではないでしょうか。しかし、飛蚊症は失明の原因でもある「網膜剥離(もうまくはくり)」のサインである可能性があります。どういうことかを説明していきましょう。
飛蚊症は加齢に伴い生じる現象だが…
まずは網膜剥離の原因についてです。目の奥には「硝子体(しょうしたい)」というゼリー状のものが入っています。硝子体はもともと、目のいちばん内側についている「網膜」という部分にくっついています。網膜はカメラでいうとフィルムにあたる部分です。
硝子体は年齢とともにじょじょに小さくなるのですが、もちろん目の大きさは変わりません。硝子体だけがじょじょに小さくなってき、網膜にくっついていたところから剥がれていきます。縮小すると、硝子体は目のなかで動くようになり、これがいわゆる「飛蚊症」といわれる状態です。

それだけであれば特に異常というわけではないのですが、網膜から硝子体が剥がれるときに網膜を一緒に引っ張ってきてしまうことがあります。そうすると網膜に穴があき、網膜が剥がれてしまいます。これが網膜剥離です。
網膜剥離はあらゆる年齢で発症しますが、年齢が上がるほど、また、近視が強いほど発症しやすくなります。
軽度の飛蚊症でも、一度受診してみることが大切
初期に見つかった場合はレーザー治療や手術で治すことが可能です。初期であれば怖い病気ではありませんが、気が付かずに放置してしまうと、重症化してしまうことがあります。そうすると、気づいて手術をしても視力障害という後遺症が残ってしまうこともありますし、失明してしまうこともある怖い病気になってしまいます。

飛蚊症は網膜剥離の唯一のサインともいえますので、症状が軽度であったとしても、必ず一度は受診して検査をすることをおすすめします。
【動画/スゴ腕ドクターが徹底解説! 飛蚊症とは?失明原因となる病気のサイン!?】
佐藤 香
アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長