コロナ感染拡大第2波が懸念される今、再度緊急事態宣言が発令されてしまえば、ようやく再開しつつある様々な経済活動がまたも停滞してしまう。この不況をどう生き抜くのか。本記事では、亡き夫の借金に苦しんだ妻の事例を紹介する。 ※この記事は、烏丸リアルマネジメント株式会社代表取締役・矢田倫基の書籍『住宅ローンが払えなくなったら読む本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

家賃の支払いを免除してもらい、なんとか生き延びた

現在、御池さんの暮らしが成り立っているのは、自宅をお姉さんに買ってもらい、家賃の支払いを免除してもらっているためです。ほとんどの専門家がさじを投げる難しいケースでしたが、任意売却に成功したことで、長期的に継続できる生活再建を実現できたといえます。

 

◆「相続財産管理人」とはどのような役務か?

 

「相続財産管理人」は相続人がいない財産やいるかどうか不明な財産を適切に処分する役務です。相続財産について利害関係のある人および検察官にはこの「相続財産管理人」を選任するよう申し立てる権利があります。利害関係のある人とは具体的には親族やお金を貸していた人などを指します。

 

選任の申立先は被相続人が最後に住所地としていた地域を管轄する家庭裁判所で、申し立てに際しては「この人を相続財産管理人に」などと推薦をすることができます。

 

申立時には「予納金」と呼ばれるお金を裁判所に納めるよう求められます。「予納金」は「相続財産管理人」に支払われる経費や手数料を賄うために徴収されるもので、通常は50万円から100万円程度となっています。一般的には手続きに要するコストは数十万円程度なので、手続き完了後に精算され、余った分は返金されます。

 

「相続財産管理人」の仕事は相続されなかった財産を適切に管理し、公正中立の立場で分配することです。したがって債権者がいる場合には、債権者が持つ債権に応じて相続財産を分配します。

 

御池さんのケースでは相続人が御池さんと息子さんだけ、債権者も一つの銀行だけだったため、手続きが簡単かつスムーズに進みました。隠し子など複雑な事情のある相続人がいたり、債権者が複数にわたったりする場合には、権利関係の特定などにたいへんな時間と手間がかかります。そのため財産の処理が完了するまでには1年程度かかるのが一般的です。

 

◆意外に多い「不動産取引」×「法律」の知識と経験が求められるケース

 

私の事務所を訪れるまでに御池さんは複数の不動産会社や法律事務所に相談を持ちかけたものの、誰もが売却は不可能と決めつけ、解決に導ける人はいませんでした。

 

 

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住宅ローンが払えなくなったら読む本

住宅ローンが払えなくなったら読む本

著者 矢田 倫基   監修 矢田 明日香

幻冬舎メディアコンサルティング

夢のマイホームを購入する際、多くの人が利用する住宅ローン。ローンを組む際は、通常、専門家のアドバイスを受けながら無理のない返済計画を立てますが、長い返済期間では何が起こるかわかりません。思わぬトラブルによって返…

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