『Amazon Prime Video(アマゾンプライム・ビデオ)』『Netflix(ネットフリックス)』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用している人は多いことだろう。有料動画配信サービスに倣い、大手企業がこぞってサブスクを始めているが、解約率の高さに頭を抱えるケースも少なくない。そんなときに活躍するのが、チャットボットを解約ページに置き、その原因をヒアリングするシステムだ。本記事では、株式会社Macbee Planetエヴァンジェリスト・佐野敏哉氏の書籍『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、チャットボットを導入したバンダイチャンネルを例に解説していく。

「バンダイチャンネル」の希少性は何か?

◆さまざまな場面でチャットボットを利用する

 

バンダイチャンネルはアニメの専門チャンネルですから、動画配信サイトの中でもアニメの本数なら圧倒的に多くてここなら見られないものはない、アニメを見るならバンダイチャンネル、というのが目指すところでしょう。それにはなかなか見られないアニメが見られるという希少性や、ほかの動画配信ではやっていないようなサービスがあるという差別化が必要です。

 

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希少性ということでは、例えば特定の制作者の全作品が見られるのはバンダイチャンネルだけです。日本の本格的なアニメ作品の先駆けであり、アニメの歴史を振り返る意味でも一度は見ておきたい作品を紹介することで、バンダイチャンネルの立ち位置が鮮明になります。チャットボットでそれらの作品紹介ページへ案内するのも、解約防止のひとつの手段になり得るでしょう。

 

アニメチャンネルならではのサービスとして、夏休みや冬休みなどは無料とする日を設けたり、特定の作品の視聴を無料にするのはどうでしょうか。ビデオレンタル店でアニメを借りようにも、レンタル店が次々となくなっています。こんな日にバンダイチャンネルは無料で見られるという認識が定着すれば、ブランディングにもプラスになります。

 

サブスクリプションサービスにおいて長期ユーザーが優遇されていない中で、プラチナ会員は一般会員より早く新作が見られるとか、通常は視聴期間が10日間限定のレンタル作品が14日間見られるというサービスがあれば、長く続けることがメリットになります。ことにロイヤルユーザーの愛着が高まり、解約を未然に防ぐことができるはずです。

 

バンダイチャンネルのチャットボットは、視聴するデバイスやOSごとに分けたシナリオが6種類まで増えました。性別などの属性や視聴ジャンルでも分けてさらに増やそうと考えています。チャットボットとの会話が蓄積されるにつれて、どのようなバンダイチャンネルの姿をユーザーが描いているのか、求められているサービスとはなにかがさらに明確になっていくでしょう。

 

チャットボットというと、機械的な応対をするものだと思われがちですが、導入後、解約ページに来たユーザーからの反対意見はまったくありませんでした。コミュニケーションもデータも取れる有効な手段として、バンダイチャンネルの社内でも理解が得られています。解約ページだけでなく、しばらくサービスを使っていない人や、入ったばかりで解約しやすい時期の人ともチャットボットで気軽にコミュニケーションを取って会話をしてみたいという声も出てきています。

 

 

 

 

佐野 敏哉

株式会社Macbee Planet エヴァンジェリスト

 

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