
PCやスマートフォンなどの普及に伴い、裸眼視力が1.0未満の人々が著しく増加しています。もちろんメガネやコンタクトなどの視力補正器具もありますが、「補正しないと見えない」という状態はやはり不自由です。しかし、そもそも近視や乱視は治療可能であり、メガネやコンタクトのわずらわしさと一生付き合う必要もありません。年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香氏が、近視や乱視を矯正する「屈折矯正治療」について解説。※本記事は、アイケアクリニック院長の佐藤香氏の語り下ろしによるものです。
改めて考える「メガネ・コンタクト必須」の不自由さ
普段からメガネやコンタクトを使用している方々のなかには、「最近困ったことがあった」という方が多くいらっしゃると思います。たとえば突然の緊急事態宣言を受けて、コンタクトがなくなりそうだけど外出が不安で買いに行けないとか、いつも利用しているお店が閉まっていて購入できないとかです。じゃあメガネを使おうかなと思ったのに、むかしに作ったメガネだから度が合わなくて、もうどうしようもなかった…という方もいらっしゃったかもしれません。
また、夜中に地震速報のアラームが鳴ったのでメガネを探したけど近くになくて困ったという方や、部屋が暗いのでつまずいてしまい、怖い思いをしたなどという方も多いと思います。

不規則な働き方をしていたら、コンタクトを長時間つけたまま、お仕事せざるを得ないこともありますよね。24時間つけっぱなし、なんてケースもあると思います。ほかには、メガネもコンタクトも使えないスポーツをしていてちょっと困っていたり、夜中に赤ちゃんが泣いたけど、近くにメガネがなくてアワアワしてしまったり…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
メガネやコンタクトがないと見えないという不便さから解放されたい人におすすめなのが、近視・乱視を治療する「屈折矯正治療」です。種類は大きく分けて2つあります。「レーシック」、そして「ICL」と呼ばれるものです。
「即日手術OK」が魅力のレーシック
まず「レーシック」からお話します。皆さんのなかにも聞いたことがある方が少なくないと思います。黒目にレーザーを当てることで黒目のカーブを変え、近視や乱視といった屈折異常を矯正するという治療です。どのように治療するかというと、まず目薬のように点眼する麻酔を使い、両目の手術をいっぺんに進めていきます。両目をあわせてもだいたい10分程度の治療です。
これは患者さんご自身の黒目に直接レーザーを当てる治療なので、ご希望があればすぐに治療可能という点がメリットです。一方、デメリットとしては、強い近視がある方や、強い乱視がある方、黒目の厚みが薄い方の場合は完全な矯正がむずかしくなるという点があげられます。
1、2ヵ月待ちだが「レーシック以上に良好」なICL
次は「ICL」についてお話します。こちらは目のなかにレンズを入れて屈折異常を矯正するという治療です。目のなかにレンズを入れることから、「眼内コンタクトレンズ」と呼ばれることもあります。こちらも目薬の麻酔を使い、両目を同時に手術します。だいたい15分程度の治療になります。
ICLなら、強い近視がある方や、黒目が薄くてレーシックができない方でも問題なく手術できますし、レーシックよりもよく見えるようになると言われています。ただ、角膜を削るだけで治療できるレーシックとは違って眼内レンズが必要になるので、その分どうしても値段が高くなってしまうことや、個人個人に合ったレンズを準備しなくてはならないため「今日やりたい」「明日やりたい」というご希望には応えられないなどのデメリットもあります。レンズを準備して手術にとりかかるまでだいたい1ヵ月から2ヵ月ほどかかってしまうこともデメリットかなと思います。

自分にはどっちの治療法が合っているのかなと悩んだ場合には、一度眼科に相談してみるとよいかなと思います。
【動画/スゴ腕ドクターが徹底解説! 近視・乱視の治療法『レーシック・ICL』とは】
佐藤 香
アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長