本連載の執筆者・吉岡憲章氏は、60歳を過ぎてから大学院の門戸を叩き、77歳で経営学博士号を取得した。1000社を超す中小企業の経営改革の実践的指導・支援を行っている同氏は、『定年博士 生涯現役、挑戦をあきらめない生き方』(きずな出版)にて、人生100年時代と謳われる日本社会でどう生き抜くかを提言している。

シニアが「転職時に役立った」と感じているスキルは…

◆人生100年時代の働き方改革

 

さて、最近「人生100年時代」という言葉が本やテレビなどで目につくようになってきました。そのきっかけの一つに、2017年9月に政府が「人生100年時代構想会議」を設置したことがあります。

 

少し硬い内容になりますが、その中心となっている政策が「人づくり革命」です。幼児教育の無償化、高等教育の無償化、大学改革、リカレント教育そして高齢者雇用の促進の5施策を柱としています。

 

必要に応じて、教育機関で再教育を受けられるシステムを「リカレント教育」といいます。たとえば、大学や大学院が社会人向けのカリキュラムや通信教育で資格や技能を取得する講座の提供などがあります。この政策は定年時代にとってはとても利用価値のあるものです。

 

このような環境の中で、企業は人手不足の対応として定年時代であるシニア世代の活用に前向きになっている傾向があります。

 

KDDI総合研究所が、「人生100年時代の働き方戦略充実して働き続けるために今わたしたちがすべきこと」という報告書を2018年6月に発刊しています。その中で興味深い分析資料があります。定年まで大企業に勤務し、現在セカンドキャリアで働いているシニア世代の人が、転職時に役立ったと感じているスキルの調査です。

 

特に、「管理職としてのマネジメント経験・実績」:43.5%、「専門分野の技術の業務経験・実績」:35.0%、そして「社内外の人脈、ネットワーク構築」:27.8%が役立つ3大スキルとなっていることが注目されます。前述の政府の「人づくり革命」とあわせて考えますと、定年時代に、自分の持つマネジメントや専門スキル、人脈などをさらに磨き充実しておくことが、定年を前にして重要なことなのだ、ということを改めて認識できます。

 

 

吉岡 憲章

未来事業株式会社 代表取締役

 

定年博士 生涯現役、挑戦をあきらめない生き方

定年博士 生涯現役、挑戦をあきらめない生き方

吉岡 憲章

きずな出版

「心打たれる『知の再武装』への挑戦。一次元上の力を得て、中小企業経営に貢献する姿に敬服。」 77歳で経営学博士号を取得! 1000社以上の中小企業を救い、「常識破りの再生請負人」と称された著者は、なぜ60歳を過ぎて…

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