
今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、国民への外出自粛や一部業種に対する休業要請などにより、経済にも大きな影響を及ぼしています。将来に向け、中小企業経営者はこれまで以上に、様々な課題を検討していく必要があるでしょう。そうした課題のひとつが、経営者の資産形成です。小企業経営者が自分の老後をどのように捉えているのか、見ていきましょう。
データから見る「中小企業経営者の将来への意識」
アクサ生命保険株式会社では2019年5月~8月、全都道府県の中小企業経営者6,622人に対面式でアンケートを行い、その結果を『社長さん白書2019』にまとめています。
アンケートの内容は多岐にわたるのですが、ここで注目したいのは「勇退後の時間をどのように過ごしたいですか」という質問に対する回答です。
最も多いのは「趣味を楽しみたい」(29.5%)で、「一生懸命働いてきたので、のんびりしたい」(22.4%)、「家族との時間を大切にしたい」(16.8%)が続きます。
「勇退せず社長を続けたい」「社長は退いても会社に残っていたい」「別な事業を始めたい」といった回答もありますが、全体の15%ほどに過ぎません。中小企業の経営者のうち80%以上が、いずれは「勇退(引退)」してのんびりすることを考えているようです。
しかし、その一方で事業承継の方針や時期を「決めていない」割合がほぼ半数に上ります。事業承継だけが勇退の前提ではないとはいえ、やや気がかりな結果です。
また、中小企業の経営者にとって、最大の資産は自社の株式というケースが多いと思われます。ところが、勇退(引退)へ向けての準備にあたって「自社株式の評価を試算したことがあるか?」という質問に対して、「ない」という答えが全体で59.3%にのぼります。しかも、創業者ほどその割合は高く、74.9%に達します。そんなことよりとにかく事業に集中しているのかもしれませんが、やはり勇退(引退)へ向けた準備という点ではやや気がかりです。
