無駄に老後不安を抱えてしまう…「年金情弱」な日本の人々

公的年金の減額や老後資金不足のリスクについて、マスコミ等の報道で目にする機会が増えています。しかし、老後不安を訴える方のなかには、年金の仕組みや、将来の受取額の目安を知らない方も散見されます。ここをしっかり押さえれば、対策も立てやすく、余計な不安も軽減できるはずです。今回は、年金の仕組みについて改めて解説します。経済評論家の塚崎公義氏の「人生100年時代の老後資金を考える」シリーズ、連載第16回目です。

将来が不安なのに、年金を正しく理解しないなんて…

少子高齢化の進展による年金受給者比率の急増、そして積み立てられた年金原資の運用利回りの不振など、公的年金の運営状況については、不安になるような報道が少なくありません。

 

しかしながら、「自分の老後はどうなるのか」と慌てふためき、未来を悲観している方にお話を聞くと、年金制度にたいする正しい知識や理解を持っていないケースも案外多いのです。

 

たしかに、年金制度は一般の方には少々難解ですし、ましてやお役所が公表している資料に少々目を通した程度では理解できないかもしれません。

 

ただし、はっきりといえるのは、自分の老後を「成り行き任せ」にしてしまうと、本当に困窮してしまう可能性がある、ということです。それを防ぐには、年金制度等を正しく理解し、とるべき対策をしっかりとることが大切です。

 

そうすれば、将来の心配に無駄なエネルギーを費やすこともなくなります。

 

あああ
自分の老後を「成り行き任せ」にしてしまうと…

年金制度は3階建て…国民年金+厚生年金+私的年金

年金とひと口にいっても、その制度は複雑です。まず「公的年金」「私的年金」があります。公的年金というのは、加入が義務付けられているもので、20歳から60歳までの全員が加入する国民年金、そして、サラリーマン(サラリーウーマンや公務員等を含む、以下同様)だけが加入する厚生年金があります。

 

国民年金1階部分厚生年金2階部分と呼ぶことが多く、この2つを「公的年金」とよんでいます。本稿は、この2つについて記すこととします。

 

この制度の基本的な考え方は、現役世代が高齢者を支える、つまり現役世代が支払った保険料を高齢者が分け合う、というものです(賦課方式といいます)。

 

その上に3階部分と呼ばれる「私的年金」があります。これは任意ですから、企業が運営する企業年金、生命保険会社が販売している個人年金保険など、さまざまなものがあります。筆者は、税制上のメリットが受けられるiDeCo(個人型確定拠出年金)をお勧めしていますが、それについてはまた別の機会に執筆したいと思います。

 

出所:首相官邸
[図表]年金の仕組み 出所:首相官邸

「1階部分」の国民年金加入者の3つのグループとは?

国民年金は、加入者を3つのグループに分けています。

 

第1号被保険者
  自営業者等々(学生、失業者等を含む、第2号と第3号でない人々)

第2号被保険者
  サラリーマン

第3号被保険者
  サラリーマンの配偶者である専業主婦(専業主夫を含む)

 

第1号は、年金保険料を自分で支払う必要があります。年額20万円ほどの保険料を20歳から60歳まで欠かさずに支払うと、老後(65歳以降)に毎月6万5000円(年額78万円)ほどの年金が受け取れます。支払っていない期間があると、その分だけ老後に受け取れる年金額が少なくなることは当然です(以下同様)。

 

75歳まで生きていると「元が取れる」ので、男性なら平均寿命の6年ほど前、女性なら12年ほど前まで生きていればプラスに転じます。それは、高齢者に支払われる年金の原資として現役世代が支払った年金保険料だけでなく、税金も投入されているからです。

 

第2号は、給料から厚生年金保険料を天引きされます。それによって、国民年金保険料も払ったものとして扱ってもらえます。第3号は、配偶者が厚生年金保険料を天引きされたことで、自分も国民年金保険料を払ったものとして扱ってもらえます。

 

1号も2号も3号も、1階部分の国民年金(支払われる時は老齢基礎年金と呼ばれます)については、現役時代の所得等に関係なく、月額6万5000円です。2号と3号の時期が長い人については、支払っていない期間は少ないでしょうから、多くの人が満額近い金額を受け取れるはずです。

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載経済評論家・塚崎公義氏の「人生100年時代」を生きる資産管理・資産形成術

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