乱視矯正にも効果的!はんがい眼科の「レーザー白内障手術」

白内障手術には、眼科医が手動で行う手術と、レーザーによる手術の2種類が存在します。今回は、『「見える」を取り戻す白内障手術』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、レーザー手術の効果をより高める「ガイダンスシステム」と、レーザー手術の手順について解説します。

手術をより正確にする、白内障手術ガイダンスシステム

白内障手術では、取り出した水晶体のかわりに、人工の眼内レンズを目の中に挿入・固定します。近年登場した、多焦点機能や乱視矯正機能などを持つプレミアムレンズは、レンズの傾きや位置のズレにより、術後の見え方に大きな影響が生じます。

 

これまでの手術では、眼科医の経験と勘、目視によりレンズの固定位置を決めていましたが、白内障手術ガイダンスシステムは、あらかじめ外来で撮影した前眼部の形状認証に基づき、目が動いたり回旋したりして位置が変わっても、その位置を追いかけて計画した眼内レンズを固定するための位置や乱視の角度を正確に教えてくれます。このガイダンスシステムにより、眼の中の狙い通りの位置にプレミアムレンズを固定できるのです。

 

1.眼球の測定と解析(Imaging and analysis)

手術前に前眼部(角膜、白目、水晶体など)の高解像度のデジタル画像を撮影します。正確性を期すために撮影は高速に約1000回行われます。このデジタルデータを次の鍵になる2つの機能に生かします。

 

①前眼部認証

「認証」という言葉は、顔認証や指紋認証で使われます。人はみな自分だけの特徴ある顔や指紋を持っているように、1人ひとり異なる白目の血管走行パターン、輪部形状、虹彩紋様などの前眼部の特徴を持っています。これを記録して解析し次のように手術中に用います。

 

治療プランの決定
治療プランの決定

 

ア)目の動きに左右されない

手術中の目の動きを追いかけて(トラッキング)、創口作成、前嚢切開、眼内レンズ中心固定、トーリック眼内レンズ軸固定などの位置をリアルタイムに正確にガイドできるのです。すなわち、目の動きや顕微鏡の倍率に左右されない正確さが実現したのです。

 

白内障手術ガイダンスシステム「ベリオン」
白内障手術ガイダンスシステム「ベリオン」

 

 

イ)仰臥位での目の回旋に左右されない

人は仰向けに寝ると、眼球が時計回りまたは反時計回りに回転するのをご存じでしょうか。この回転のことを「回旋(かいせん)」といいます。外来での検査は座った姿勢で行い、手術は仰向けの姿勢(仰臥位)で行いますので、この回旋が問題になります。角膜や瞳孔は丸いため、肉眼では回旋したことがわからないのです。これは乱視を矯正するトーリック眼内レンズの固定位置の決定に致命的な問題になります。

 

しかしガイダンスシステムは、白目の血管と虹彩の模様を記録しますので、手術中もリアルタイムに正確な乱視の軸を表示してくれます。つまり、回旋の影響に左右されることはありません。

 

②中心決定

瞳孔形状・角膜反射位置・視軸偏心量などを測定して目の中心を決めます。目の中心は前嚢切開を行うガイダンスに必要な情報です。

 

2.治療プランを定める(Planning)

ビジョン・プランナー(VisionPlanner)というソフトウエアを用いて、眼内レンズの度数計算や乱視矯正プラン(トーリック眼内レンズの軸決定、切開創の位置、角膜弧状切開)を立てます。

 

3.術中の顕微鏡内にデジタルマーカーを重ねる(Guide system)

撮影・解析データを基に、計画した切開の位置、前嚢切開の位置、眼内レンズの中心固定位置、乱視矯正用トーリックIOLの軸などを、手術中に医師が覗く顕微鏡の画面にラインで表示します。目の回旋や目の動きをリアルタイムに追いかけますので、常に正確に表示されます。

 

術中の顕微鏡内にデジタルマーカーを重ねる
術中の顕微鏡内にデジタルマーカーを重ねる

 

4.レーザー白内障手術装置との連携

レーザー白内障手術装置LenSxは、ガイダンスシステム「ベリオン」があらかじめ撮影した患者さんの前眼部デジタルデータを取り込んで、それに基づいて治療プランを立てます。先述したベリオンの機能の前眼部認証や中心決定を用いて、コンピューター制御の再現性の高い正確な切開が行われます。

乱視矯正レンズの機能を最大限発揮できる!

多焦点眼内レンズには、乱視の矯正もできるトーリックレンズがあります。多焦点眼内レンズは大きい乱視が残るとぼやけや変な見え方の原因になる可能性がありますので、できるだけ乱視を小さくすることが求められます。

 

乱視矯正機能を発揮するためには、患者さんの目がもつ正乱視の軸と、乱視矯正用レンズの軸を正確に合わせることが求められます。ガイダンスシステムでは、目の回旋に影響されずにリアルタイムに乱視の軸を表示してくれますので、その表示に合わせて正確にレンズを固定することができます。手術時間の短縮にもつながります。

 

ではいよいよ、レーザー白内障手術の手順をご紹介します。

 

【レーザー白内障手術の手順】

 

1.点眼薬をさします

手術前に、点眼麻酔薬と瞳孔を開くための目薬をさします。

2.レーザー手術用のチェアに横になります

レーザー手術機器へ移動して、チェアに横になります。歯医者さんにあるチェアを思い浮かべていただくとわかりやすいですが、背もたれは電動(自動)で倒れます。背もたれは180度フラットになるわけではなく、少しだけ腰の部分が曲がった楽な姿勢になります(歯医者さんの椅子も少しだけ腰の部分が曲がっていますよね)。腰痛などをお持ちで、まっすぐ仰向きの姿勢をとることが難しい方でも安心して手術を受けていただけます。

 

レーザー手術用のチェア
レーザー手術用のチェア

3.点眼薬による麻酔をします

麻酔は点眼で行います。手術中も意識はありますが、痛みはまったく感じませんのでご安心ください。

4.眼球表面に固定具を取り付けます

眼球の表面にサクションリングという固定具を取り付けます。眼球を吸い付けて動かないようにするためのもので、少し吸われたような感じがするかもしれません。痛みはありませんのでご安心ください。

 

サクションリング
サクションリング

5.OCTで撮影し、プランニング

その場で目をOCTで撮影し、ベリオンから取り入れた前眼部認証データにより補正した後に、前嚢切開、核分割、角膜切開の位置を設定しプランを決定します。

 

OCT撮影、プランニング
OCT撮影、プランニング

6.レーザーの開始!

まず、水晶体の前側の袋をレーザーで切開します。水晶体を包んでいる袋の前側(前嚢)をフェムトセカンドレーザーで円形に切開します。レーザーでは、円の直径を100ミクロン単位で設定することができます。目の中心にコンパスで描いたような正円に切開されます。

 

フェムトセカンドレーザーにより円形に切開
フェムトセカンドレーザーにより円形に切開

7.水晶体の核を細かく分割切開します

水晶体を、レーザーを使って核分割用切開を行います。レーザー白内障手術機器によって核分割を行った場合、そうでない場合に比べて超音波エネルギー量を大幅に減らすことができます。そのため角膜内皮細胞などへの影響を最小限に抑えることが可能です。

 

核分割用切開
核分割用切開

8.レーザーで角膜を切開します

人の手による手術の場合は、角膜を切開したあと前嚢切開を行いますが、レーザー手術の場合は、水晶体を粉砕した後に角膜切開を行います。角膜のどこの位置を切開するかは、白内障手術ガイダンスシステムによるデータをもとに決めます。

 

角膜切開
角膜切開

9.砕いた水晶体を吸引します

患者さんに手術用顕微鏡まで移動していただき術者の手による操作に移ります。角膜切開をした場所に超音波水晶体乳化吸引用プローブを入れ、細分化された水晶体を吸い取っていきます。

 

水晶体の吸引
水晶体の吸引

10.眼内レンズを挿入します

すべての水晶体を吸引して除去をしたら、角膜の切開部分から眼内レンズを挿入します。眼内レンズは、インジェクターと呼ばれる細い筒に入れて押し込むと丸められてインジェクターの外へ押し出されます。

 

インジェクター
インジェクター

 

眼内レンズは筒から押し出されると目の中で自然に開き、水晶体の袋(嚢)の中に設置されます。このときも、白内障手術ガイダンスシステムによって指し示されるセンタリング用マーカーを参考にして、できるだけ中央の位置に固定します。

11.眼帯をつけて終了です

ガイダンスシステムにより正しい位置に眼内レンズが設置されていることを確認したら、手術は終了です。角膜の切開創は2.2〜2.4ミリ程度のため自己閉鎖しますので創口を縫う必要はありません。

 

最後に眼帯を装着して手術は終わります。回復室でしばらく横になって休んでいただいたら帰宅いただけます。

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。
埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

▼はんがい眼科の公式ブログ「目のブログ」▼
https://eyeblog-hangai.com/
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著者紹介

連載近くも、遠くも、快適に…「見える」を取り戻す白内障手術

「見える」を取り戻す白内障手術

「見える」を取り戻す白内障手術

板谷 正紀

幻冬舎

レーザー白内障手術は、安全・快適・短時間に「見えない」という病気状態を解決し、「見える」を取り戻し、さらに快適に見えるを手に入れるまでに進化しました。この本では、進化した多焦点レンズ、レーザー白内障手術の最新情…