「上場会社・非上場会社」の違い…限界まで平易に説明してみた

株は証券取引所で売買できるけれど、扱っているのは上場会社のみ。でも、日本の株式会社の99.8パーセントは非上場会社。では、非上場会社の株の売買ってどうするの? 上場会社と非上場会社、根本的にどこが違う? などなど、超基本的な疑問について、軽妙なコラムで多数のファンを持つ経済評論家・塚崎公義氏が渾身の力を込めて平易に回答します。

そもそも「株式会社の定義」とは?

株式会社とはどういうものか、まず軽く解説してみましょう。

 

たとえば、筆者が友人と「塚崎パン」という会社を作るとします。その場合、筆者と友人の2人で「資本金」を出す必要があります。資本金を出した人は「株主」となり、「株券」という紙を受け取ります。株券には下記の3点が書いてあります。

 

①会社が儲かったら「1株あたり何円」という計算をして、利益を山分けする。山分けのことを「配当」と呼ぶ。

②会社が解散するときには、持っているものを全部売って、借金を全部返し、残りを「1株あたり何円」という計算をして、株主で山分けする。

③社長の選挙では、1株あたり1票の投票権がある。

 

このあたりのお話は、拙稿『子どもに「株式会社ってなに?」と聞かれたときの正しい答え方』『大学教授が中学生に「株式会社の資本と負債」を説明してみた』をご参照いただければ幸いです。

 

さて、株券に記載されている①~③を読み解くと「出した金は会社が解散するまで戻ってこない」ということがわかります。そのため、もし株主が金が必要になったときには、株券をだれかに買ってもらう必要が発生します。

株券を買ってくれる人をどうやって探す?

しかし、株券を買ってくれる人を探すのは簡単ではありません。そんなとき、「証券取引所」というところが「塚崎パンの株を売りたい人と買いたい人、集まれ!」といってくれたら、大助かりですよね。

 

とはいえ、証券取引所は忙しいので、日本中のすべての株式会社の株の売り買いの世話をしてくれるわけではありません。

 

証券取引所に選ばれた会社だけが世話をしてもらえるわけで、選んでもらうことを「上場する」といい、選ばれた会社のことを「上場会社」と呼ぶのです。

 

あああ
上場すると、証券取引所が株の売買を世話してくれて、超便利

非上場会社の株が「買われにくい」理由

塚崎パンのような無名の会社は、なかなか人々から信用されません。「いつ倒産するかわからない」ということもあるのですが、「もしかしたらパン製造の裏側で、なにか悪いことをしているかもしれない」などと思われ、信用してもらいにくいのです。

 

企業が人々の信用を勝ち取るには、長期間にわたって誠実な取引を継続する必要があります。知名度のない会社が初めて取引する相手に信用してもらうには、大変な苦労が伴います。

 

しかし、上場企業は人々に信用されます。なぜなら、証券取引所は「立派な会社だ」と認めた場合しか上場させないからです。

 

上場会社が信用される理由がもうひとつあります。それは「みんなから注目されている」ということです。

 

株を売り買いして儲けようという投資家たちは、上場会社に関する情報を鵜の目鷹の目で真剣に調べています。そんなとき、不正を働いている上場会社があれば、たやすく知れ渡ってしまうでしょう。これを逆にいうと、「不正が知れ渡っていない上場会社は、不正をしていないと推測できる」ということになります。

 

一方で、塚崎パンのような無名の会社は、不正を働いても人々の話題になりません。そのため、「塚崎パンという会社が不正を働いたという話は聞いていない。しかし、それは私が知らないだけかもしれない」と思われてしまうわけです。

上場すると、株の売買が簡単になるので…

上場企業に関するニュースは頻繁に報道されるので、有名になります。しかも信用がつくわけです。「就職するなら上場企業がいい」と考える学生は少なくありませんから、そうなると、優秀な人材も集まってくるはずです。

 

また上場すると、社長が持っている株が高く売れるようになります。上記で申し上げたように、会社の信用度がアップする、優秀な人材の採用が進むといった多数のメリットが相乗効果を生み、会社が儲かるようになるからです。

 

しかし、さらに重要な理由があります。それは「上場会社の株は、売りたくなったときに買い手を探すのが簡単である」ということです。社長が株を売りたくなったときにすぐ売れる、というだけでなく、投資家にもメリットがあります。

 

もし投資家が株を買おうと思ったとき、塚崎パンのように上場していない会社と、トヨタのように上場している会社の株があったら、後者のほうを買いたいはずです。「売りたくなったら簡単に売れる、だから気楽に買ってみよう」と、考えられるからです。

 

社長が株を売るときに、気楽に買ってくれる投資家が大勢いるほうが、高く買ってくれる人が見つかりやすい、というわけですね。

ただし、上場すると手間やコストで大変になる面も

もちろん、いいことばかりではありません。上場すると、投資家たちにしっかり会社の情報を提供する義務を負います。

 

それだけではありません。まったく見知らぬ他人が、株主総会で意地の悪い質問をするかもしれず、それに対する準備も必要になります。

 

そしてなにより、会社が儲かっていないと株主たちが不満に思い、株主総会で行われる「社長の選挙」に落選してしまう可能性が出てくるわけです。

 

もしかすると「この会社の株を大量に買って自分が社長になろう。そうすれば、この会社はもっと儲かるようになって、株価も上がるだろう」と考える人が出てきて、社長の座を追われてしまうかもしれません。

 

そんなことにならないよう、立派な社長として上手に会社を経営していく必要が出てくるわけです。

 

まあ、そういったコストやリスクがあっても、上場するメリットの方が大きいと考えるから、多くの大企業が上場しているのですね。

 

 

本稿は、以上です。なお、このシリーズはわかりやすさを最優先として書いていますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

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