薬で治療できない「白内障」…手術を受けるべきタイミングは?

目がかすんで、よく見えない症状があっても「できれば病院には行きたくない」「手術なんて怖いから受けたくない」と、考える方は少なくありません。しかし、白内障は薬で治療することはできないため、症状を改善するには手術を受ける必要があるのです。今回は、『「見える」を取り戻す白内障手術』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、白内障手術を受けるべきタイミングについて解説します。

「白内障を治せる薬」は存在しない

目がかすんでよく見えなくても「できれば病院には行きたくない」「手術なんて怖いから受けたくない」と、多くの方が思われていることでしょう。そのために、目に良いとされるサプリメントや市販の目薬などを使っておられるというお声をよく聞きます。

 

しかし残念ながら、サプリメントや市販の目薬では白内障を治すことはできません。サプリメントには、アンチエイジング効果はあるかもしれませんが、白内障の症状改善には無力です。市販の目薬には人の白内障の進行を抑制するエビデンスのあるものはありません。こうしたものに、無駄なお金を使わないように気をつけてください。

 

また医師の処方する目薬には、白内障の進行を多少遅らせる効果が期待できるものは存在しますが、白内障を治すことのできるものは存在しません。

 

たとえばピレノキシン製剤は、水晶体が濁っていくことを防止する効果、グレタチオン製剤には、白内障の原因となる変質したタンパク質の増加を抑える効果がありますが、あくまで“病気の進行を遅らせる効果”であり、すでに症状が進んでしまった白内障を治す効果や見え方を改善する効果はないのです。

 

たとえ点眼薬を使い続けていても、完全には進行を止めることはできません。残念ながら、白内障を遅らせる効果を人で実証できている薬は存在しないのです。

白内障を完全に治せる治療方法は手術のみ

現在のところ、白内障を完全に治せる治療方法は手術しかありません。白内障は水晶体が濁る病気ですが、その濁った水晶体を薬などで元の透明な状態に戻すことはできないからです。

 

手術で水晶体を取り除いて、水晶体の代わりになる人工の眼内レンズに置き換えることで根治することができます。

 

水晶体は加齢や紫外線などの影響により、濁ったり、硬くなったりと経年劣化していきます。他の臓器も年を重ねるといろいろ不具合が出てきますが、ほとんどの臓器は取り替えることができません。しかし、水晶体は人工物ながら元の透明性を持つ新品に取り替えることができ、クリアなビジョンを取り戻すことができます。加えて、現在は乱視や老眼も治療できる高性能の眼内レンズも開発されています。

 

目の手術というとどうしても怖さが先立つかもしれませんが、この30年間で手術器具や技術は驚くほど進歩しており、80〜90歳代の患者さんでも、安全に手術を受けることができます。

 

手術中に目に近づいてくる器具はほとんどの場合、あまり見えません。それは術前に瞳孔を開くためのお薬を使いますし、視界に強い顕微鏡の光があるためです。

 

また、術前に点眼薬による麻酔を行うため通常の症例では眼球の痛みもありません。ひと昔前は注射による麻酔を行っていたのですが、現代は点眼薬による麻酔ですので、麻酔自体の痛みもありません。

 

手術は開瞼器という器具でまぶたを開けて行うのですが、まぶたの開きが小さい高齢の方がまぶたに痛みを覚えることはあります。その場合は、痛みのでにくい開瞼器を用いたり、大きく開かなくて済む耳側切開という方法で、手術を行います。

 

どうしても不安があるという方には、当院では低濃度笑気麻酔を用いています。低濃度笑気麻酔は、不安を取り除きリラックスする効果と痛みを感じにくくする効果があります。

 

術時間は片目で5〜10分程度です。手術は日帰りで行われ、術後少し休んですぐお帰りになれます。お身体への負担は最小限となっています。

 

はんがい眼科のリカバリールーム
はんがい眼科のリカバリールーム

見ることに不自由さを感じたときがタイミング

目というのは、非常に多くの情報を受け取る窓口です。その窓口がかすんでいたりして見えにくいと、歩く、走る、スポーツをする、料理をする、旅行をする、本を読む、仕事をするなど、生活すべてにおいて不便を強いられます。

 

白内障手術は、仕事や生活に不自由を感じたときがタイミングです。このタイミングは年齢、ライフスタイル、仕事など人により異なるのです。

 

日本人の寿命は延び続けており、人生100年時代が到来しています。しかし、単に寿命として生きるだけではなく、健康に暮らすことが幸せのもとです。ずっと自分の目ではっきりものを見て、自分の足で歩いて移動することが理想といえます。

 

人は、見えにくくなったり、足腰が弱ってくると年齢のためとあきらめて、仕事や趣味やスポーツなどいろいろなものを諦めていくことがあります。しかし、あらかじめ努力することで守れる健康も多いのです。足の筋肉を鍛えることで、歩く力を維持することは可能です。目の場合は、白内障手術ではっきりものを見る人生を守れるのです。

 

たとえば60歳前後で見えにくさを感じ始めたら、実に20〜40年もの間、見えにくさを我慢して生活をすることになります。おいしいご飯や四季の風景が見えにくくなってくると元気が出ません。旅行に出かけても景色を楽しめず、スポーツもできず、家にこもりがちになる方もいらっしゃるかもしれません。

 

手術を受けられた方は、「こんなことなら、もっと早く受ければよかった」と異口同音におっしゃいます。それだけ、「白内障手術」は人を幸せにすることができるのだ、ということができます。

 

 

板谷 正紀

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。
埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

▼はんがい眼科の公式ブログ「目のブログ」▼
https://eyeblog-hangai.com/
▼多焦点白内障手術 無料個別相談会 開催中!▼
https://hangai.org/cataract-seminar/

著者紹介

連載近くも、遠くも、快適に…「見える」を取り戻す白内障手術

「見える」を取り戻す白内障手術

「見える」を取り戻す白内障手術

板谷 正紀

幻冬舎

レーザー白内障手術は、安全・快適・短時間に「見えない」という病気状態を解決し、「見える」を取り戻し、さらに快適に見えるを手に入れるまでに進化しました。この本では、進化した多焦点レンズ、レーザー白内障手術の最新情…