社内は既存事業で手一杯なのに、なかなか業績が上がらない、と悩んでいる中小企業は少なくありません。「伸び悩む企業」の経営者がいますぐ実践すべきポイントとは、一体何なのでしょうか。本連載は原田将司氏の著書『スモールカンパニー 本気の経営加速ノート』より一部を抜粋し、大きな利益を生む小さな経営のヒントをご紹介します。

「仕事のための仕事」を増やしても収益はあがらない

経営資源に乏しいスモールカンパニーに必要なのは、“小さな経営”です。「あれは外せない、これは重要、これも大切だ」とあれこれ理由を並べて、やることばかり増やしていては、不用意に時間を浪費し、力を分散してしまいます。

 

手を広げ過ぎれば経営は煩雑になり、なかなか進みません。パンクするのは時間の問題です。

 

社内は既存事業で手一杯なのに、やれチャンスだ! やれ挑戦だ! と社長だけがいきり立ち、あれこれ手を広げてしまうが、結局やりきれず徒労に終わったり、業績は下がる一方なのに、社員たちは常に忙しそうにバタバタしているという会社はとても多いものです。

 

こんなに忙しいのに、業績は下がる一方…
こんなに忙しいのに、業績は下がる一方…

 

このような会社では、自分たちがやっていることは正しいと信じきっているので、無自覚に経営を煩雑にし、力を分散してしまっています。危機感や必要性を感じる気持ちはわからなくもありませんが、やはり、仕事のための仕事を増やしたところで、収益はあがらないのです。

 

会社の成長を加速させるには、まず物事を“やめる”ところからはじまります。

 

その極意は本質的に大切なことだけに集中し、余計なことは一切しないと決断するということです。まずはこれに腹を決めるべきです。

 

本質的に大切なことを「決断」し、周囲がびっくりするほど“断捨離”を徹底しなければ、スモールカンパニーが大きな価値を生み出し、成長することはできません。

 

徹底的に捨てて、離れることで、経営は最小化され、まさに身の丈にあった小回りのきく“小さな経営”が実現します。伸び悩む会社の多くは、断捨離が甘いので、仕事に忙殺され、決断に迷いが生じて右往左往しています。ぜひ、今一度、物事と思考の整理整頓をして、決断と断捨離をしっかりやりきってみてください。

 

ちなみに「決断」の反対語は「躊躇」です。

 

決断できていないということは、自動的にそれを躊躇していることになります。企業経営において、躊躇ばかりしていることは無駄、無意味だということに説明はいらないでしょう。

売上規模が小さい中小企業には「明確な理念」がない

◆理念は儲けるための大前提

あなたの会社には確固とした理念(ビジョン)があるでしょうか?

 

とあるシンクタンクの統計では、中小企業800社を対象に調査を行なったところ、売上規模が小さいところほど「明確な理念がない」という結果が出たとあります。

 

儲かればそれでいい、理念なんて無意味だという社長がたまにいますが、これはとんでもない考え方だと私は思います。少なくとも成長を目指す企業には必要不可欠だと、私は断言します。

 

理念なんて無意味だという社長は、儲けることと理念が無関係であると誤解しています。そうではありません。儲けるための大前提として理念が必要なのです。

 

考えてみてください。会社は“社長おひとり様”でがんばっているわけではありません。社員はもちろん、お客様や周囲の協力が必要不可欠です。この協力を引き出すために必要なのはお金だけではありません。それには何の意味があって、どうすればよいのか、未来を示す必要があります。

 

お金とお金以外の何か意義・価値のあるものに向かって人は動きます。人が動くためには「大義」が必要なのです。人は、お金をきっかけとして動き出し、「大義」によって力を発揮します。そしてその力が向かう先は具体的な「目標」なのです。

 

理念が、事業を方向付けて組織を一つにしてくれます。

理念と事業の結びつきを社内で共有しておく必要がある

物事を決断するとき、それは目的に適ったものでなければなりません。目的が曖昧だと決断に迷いが生じます。「本当にこれでよかったのか……」などと、結果が出るまで不安は尽きませんが、最低でも目的に適っていると思えばこそ、自分の決断を信じて全力で取り組むことはできます。

 

目的そのものが曖昧だと、ちょっとした壁にぶつかっただけで、本当にうまくいくのか? という不安に負けて力が入らないでしょう。決断をするためには、目的がはっきりしていなければなりません。

 

しかし実際のところ、経営の目的と目標を結びつけてクリアに描けている社長はとても少ないのです。むしろ、自分の目的は何だろう? と追い求めている人のほうが多いのだと思います。また、会社としては理念を掲げているものの、あまりにも漠然としていて、経営目標とどう結びついているのかがよくわからなかったりします。

 

理念と事業の関係性が薄く、遠くに感じてしまうところが問題です。理念と事業がどう結びついているのか、因果関係の解釈が必要ですし、それを社員全員で共有していなければなりません。

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