年々増加する「うつ病」。なかでも40代~60代が総患者数の多くを占める事実をご存知でしょうか。「50代になれば、定年までの期間はもはや消化試合」と自分に言い聞かせ、だましだまし働きつつも、ようやく定年を迎えたころには人生を楽しむ気力さえ残っていなかったという場合は珍しくないのです。※本連載は、脳科学・心の問題の専門家である高田明和氏の著書『定年を病にしない』(ウェッジ)より一部を抜粋し、定年をきっかけとする深刻な問題を抱えた人々の事例をもとに、第二の人生を明るく歩むための「定年後の自分を育てる」ヒントを紹介します。

意欲がないからこそ「生きがいのために再就職」を選択

まず高雄さんが取り戻さなければならないのは、プライベートに対する意欲です。うつ状態になっていると十分に考えられますので、自分の好きなこと、心から楽しめることを続けることで改善できます。すでに説明したとおり、好きなことをやっていると、脳内に幸せホルモンのセロトニンが分泌されるからです。

 

気軽に始められる趣味を再開してみるのもいいでしょう。そして気が向いたら、思い切って昔やってみたかったことに挑戦してみるのもおもしろいかもしれません。

 

あるバブル世代の知人は、なにごとにも意欲を失い、このままではいけないと思って、学生時代にやってみたいと思ったストリートダンスに挑戦しました。かなり勇気がいったみたいですが、中高年の初心者クラスがあるダンススクールが見つかったのも背中を押してくれたといいます。半ば自棄気味に始めたダンスでしたが、会社の忘年会の出し物として少し踊ってみたところ盛り上がったため、健康のためにも一生続けると言っていました。

 

高雄さんは出世をあきらめていますが、意欲がない人は、生きがいのためにも定年後も働いたほうがいいでしょう。定年後の再就職先を見つけるためのスキルを会社で磨いていくのを目標にするのもいいでしょうし、出世を考えないのなら失敗を恐れず、いろいろとチャレンジすればいいでしょう。そのうち仕事が楽しくなってくると思います。

 

2018年の日本の全就業者6664万人のうち60~64歳が7.9%、65~69歳が6.6%、70歳以上が6.3%を占めています。つまり、シニア労働者が就業者の5人に1人なのです。この割合はますます増えていくでしょう。高雄さんが定年する8年後には、日本の会社の多くがシニア社員の戦力化を考えるようになっていてもおかしくはありません。

 

<50代から「定年後の自分」を育てるヒント>

●ストイックでタフな人ほどがんばりすぎる傾向があるので、自分の限界を知っておく。

●意欲を失っている人は定年後に充実した日々が送れない。お金や出世ではなく、生きがいのために再就職を検討する。

 

 

高田 明和
浜松医科大学 名誉教授

 

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