日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、預金通帳にまつわる相続トラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

解説:「遺産隠し」を回避するには?

「遺産隠し」は、相続人の1人が預金通帳を隠す、被相続人の口座から勝手に引き出す、口座そのものを教えない……さまざまなケースがある「遺産隠し」は、相続トラブルになりやすいパターンの1つです。

 

金融機関には、相続人から、被相続人の預金の内容について照会申請があった場合には開示する義務があります。この手続きは相続人全員の同意は必要ありません。口座がありそうな金融機関へ連絡し、口座の有無を確認 → 口座があれば残高証明書と取引明細表を発行してもらう、という作業を地道に行います。自分で行う以外に、専門家に依頼することもできます。

 

遺産隠しを突き止めるのは大変ですし、疑念のうえ、弁護士を立てて争うようなところまで発展すれば、家族仲の修復は難しくなるでしょう。そうならないためにも、遺志を遺言書に記しておくことが重要です。Bさんが預金通帳を隠したと仮定しますが、遺志を遺言書に記しておけば、トラブルが起きる可能性は抑えられたでしょう。

 

遺言書には大きく、公証役場で公証人が作る公正証書遺言と、自分の手で書き上げる自筆証書遺言があります。前者は、安全性と確実性が非常に高い遺言書です。大きく偽造変造のリスクが一切ないことと、公証役場で預かってもらえるというメリットがあります。後者は15歳以上の人であれば、誰でも作ることが可能ですが、細かな条件が色々とあります。

 

せっかく作った遺言書が不備があって無効になることもあるので、そのようなリスクを避けるなら、公正証書遺言のほうが安心です。

 

事例のように、お金が絡むと人は突拍子もない行動をとるものです。確実な遺言書があれば、そのようなトラブルは避けられる可能性が高くなります。

 

 

※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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