コロナ感染拡大の影響により外出自粛が続く今、多くの人が『Amazon Prime Video(アマゾンプライム・ビデオ)』『Netflix(ネットフリックス)』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用し、余りある時間に耐え忍んでいる。とはいえ、一定期間を過ぎればサブスクを解約する人も少なくないだろう。提供側としてはどうにか防ぎたいこの問題。株式会社Macbee Planetの佐野敏哉氏は、書籍『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』(幻冬舎MC)にて、解約率を下げる方法について解説している。

「誰もなにも言っていかないだろうと思っていた。」

◆モニター調査と考えても多くの貴重なデータが得られている

 

チャットボットを置いた企業の一番の驚きは、こんなにたくさんのユーザーからフィードバックが得られるのかということです。

 

「最後になってわざわざ誰もなにも言っていかないだろうと思っていた。こんなに意見をいただけると思わなかった」

 

「辛辣な声もあるが、こうしたらやめなかったのにという意見も多い。きちんと応えていかないといけない」

 

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「大量にデータが取れる上に、やめた後にどこのサービスに移るのかまで教えてくれるとは想像していなかった」

 

「アンケートと考えても効率がいい。モニター調査に100万円使うなら、それよりもチャットボットで話を聞く方にコストをかける方がいい」

 

このように企業からは、やめていく人の思いに目を向けていなかったという反省の声やチャットボットの効果を認める声が聞かれます。

 

考えてみれば、B2Cビジネスでは、解約する人を引き止めようとしてこなかったのかもしれません。「了解しました。この日をもって停止します。長い間ありがとうございました」と事務的な手紙かメールが1本送られてきて終わるだけです。それではなにかもの足りないという人が一定数いたことが、チャットボットの会話数の多さからうかがえます。

 

本当はもっと話を聞いてほしかったという隠れた願いが、解約ページに来て10%が解約をやめるという事実に込められているように思えます。

「最初になにを買うか?」で解約の傾向は大きく変わる

◆大量のデータをどう解析に活用するか

 

チャットボットとの会話からは、そのまま改善につながる意見が得られることもありますが、数多くの声を集めてそこから傾向を見つけ出す解約分析が大事です。

 

あるサイトのデータでは、男女別に見ると解約するまでの期間は男性が長くて年齢層は30代から40代、女性は短期間でやめていく若い層が多い、会員の男女比3対2なのに対してやめる人の男女比は4対1、等々の集計結果が出ています。性別や年代のほかに独身か既婚か、居住地域、年収などの属性別にも集計結果が出せます。

 

また解約ページに来た時間帯、チャットボットとの会話回数と所要時間、個々の質問に対してどの回答が多かったかというデータが蓄積されます。この質問にこう答えた人はその後どういうシナリオをたどっていくかも追跡できます。

 

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サプリ系のサブスクリプションサービスでは、最初になにを買うかによってどれぐらい続くかという傾向の違いがあります。痩せることを求めて買う製品の場合は、すぐに効果が出ることを期待しているので長続きしにくく、関節によいとされるものやコンドロイチン、グルコサミン、ビタミン剤のように飲み続けることが前提の製品は長続きするという具合です。

 

こうして得たさまざまなデータをどう関連づけるかによって、因果関係や傾向がうまく見えてくるか否かが変わります。複数の要素を掛け合わせるパターンは大量に出てくるし、基礎データ自体も大量ですから、コンピュータですべてのパターンについてシミュレーションしようとしても相当な時間がかかってしまいます。

 

例えば解約するかどうか迷っている人について、年齢別に、どんなコンテンツを使ってきたか、最初になにを見たかを出して解約防止率との関係を調べてはどうかというように、なにをどう組み合わせて探るかについては経験を積んだ人間の勘に頼るのが一番の近道です。こうした理由から、チャットボットのデータ分析も専門の分析官の仕事になっています。

「やめていく人に対するマーケティング」が鍵となる

◆チャットボットから解約防止マーケティングへ

 

ユーザーがサブスクリプションサービスを始めるきっかけは、広告やキャンペーン、雑誌の記事、口コミなどいくつかあります。そのきっかけと解約との関連性も調べることができます。

 

この広告を見て入った人は100人いて8割が解約するが、このキャンペーンでは50人入って1割しか解約しないので、キャンペーンを地道に続けた方がいいといったことが、解約率を振り返ることで見えてきます。会員サービスの出口でのマーケティング調査を、入り口に活かすことができます。要は売るときのことだけを見ていたマーケティングばかりでなく、やめていく人に対するマーケティングが重要だということです。

 

チャットボットからこれまでのマーケティング手法では得られなかったデータが得られていますから、後は分析するノウハウを積み重ねて、簡単に入って簡単にやめていくような行動の根幹も見えてくるはずです。

 

これまでのマーケティングはどんな人が契約するかには興味がありましたが、やめていく人には興味を持ちませんでした。チャットボットで解約者から得た貴重なフィードバックからLTV(顧客生涯価値)を最大化することを目指すのが解約分析であり、解約防止マーケティングです。LTV(顧客生涯価値)という見方が世の中に浸透するに従って、解約防止マーケティングの重要性が理解されていくだろうと私は思います。

 

 

 

佐野 敏哉

株式会社Macbee Planet エヴァンジェリスト