20~40代の白内障には「多焦点眼内レンズ」がオススメのワケ

目の病気として知名度の高い「白内障」。高齢者の病というイメージが強いものの、若い世代でも発症する恐れがあります。正しい知識を身に付け、きちんと備えておくことが重要です。今回は『「見える」を取り戻す白内障手術』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、はんがい眼科を受診された方の症状から「若年で発症する」白内障について解説します。

Case3:既往症はないが、若年で発症してしまうケース

【28歳女性のAさん】

 

小学生の頃からテニスが大好きで、社会人となってからもクラブチームに所属し、テニス選手として活躍していた。幼少期から視力は良好、目の病気とは無縁で過ごしてきた。

 

◆発症時の自覚症状

昼間の試合では異常にまぶしさを感じ、レシーブをするときに球が二重に見えたり、ラケットに当たらなくなったりした。また太陽を背にして立つと、相手の選手の顔や動きが見づらくなり、サーブミスが増加していた。

 

室内や夜間の試合では、こうした症状はほとんど起きなかった。

 

ある日、球をうっかり片目に当ててしまい、片目をつぶって隣のコートで練習している人たちを見ていたら、人や球の動きがぶれて見えていることに気づいた。試しにもう片方の目(球をぶつけた方の目)だけで見てみると、非常にクリアに見えた。

 

◆診断・治療

昼間の試合や練習で、球が二重に見えたり、異常なまぶしさを感じたりするようになって半年ほど経過した頃に受診。診断は「若年性白内障」。

 

水晶体の濁る部位による分類では、前嚢下白内障という種類。

 

白内障は片目だけだったので日常生活はなんとか送れていたものの、スポーツで重要な立体視ができないこと、若年性白内障は進行が早いケースが多いことから、すぐ手術を行うことを提案。1カ月後に手術を受けた。

 

現在は、1.2の視力を取り戻し、以前のようにテニスを楽しんでいる。

他のケースはこちら>>>【Case1】【Case2】

 

アトピー性皮膚炎に罹患していなくても、ステロイドを使用していなくても、若い年齢で白内障を発症することがあります。30〜40代での発症が多いですが、Aさんのように20代で発症することもあります。たいていの場合、片目のみです。

若年性白内障の特徴

症状の特徴としては、明るい所では見えにくい、朝起きてカーテンを開けるとまぶしくて外が見られない、映画館から外に出ると視界が真っ白になって見えないなどがあります。

 

また、Aさんのように片目が白内障になっているため立体視ができず、テニスをしていると球が二重に見える、サーブを打つときに空振りをしてしまうなどという症状が出てしまうこともあります。

 

若年性白内障は、水晶体の中身を包む袋である嚢(のう)の前側から濁り始める前嚢下白内障であることが多く、中心部がまるでヒトデのように濁るパターンが多く見られます。

 

[図表1]若年性白内障

 

瞳孔は明るい場所に出ると小さく閉じるので、中心部から濁り始める若年性白内障では、明るい場所に出ると途端に見えにくさを感じます。Aさんも、昼間の試合ではまぶしさや見えにくさを感じておられました。反対に夜間や暗い場所では瞳孔が広がるため、それほど見えにくさは感じません。

原因は「紫外線」?ほとんどは原因不明

原因はよくわかっていませんが、紫外線やストレスが関係するのでは、といわれています。

 

Aさんも、子どもの頃から、戸外での練習や試合を続けていました。適度な太陽光は、子どもの近視予防にも有効ですし、体内でビタミンDを合成するのにも欠かせませんが、過度に紫外線を浴び続けると、角膜や水晶体が変性しやすくなります。

 

[図表2]紫外線が目に与える影響
 

紫外線が目に入ると、およそ8割は角膜で吸収され、角膜を透過した残り2割は、目のレンズである水晶体によって吸収されます。それでも残った1〜2%は網膜まで到達します。

 

ほとんどの紫外線が角膜と水晶体で吸収されるため、網膜や黄斑(視細胞が集中しているところ)といった重要な器官は紫外線の影響を受けにくくなっています。

 

反対にいえば、角膜と水晶体は、身をもって紫外線から目の重要組織である網膜や黄斑などを守っているのです。

若い世代には「多焦点眼内レンズ」がオススメ

白内障を根治するための治療は、手術しかありません。手術は、目の中の水晶体を人工の眼内レンズに置き換えるものになります。

 

眼内レンズには、手元か遠くかどちらか一点にのみ焦点が合う単焦点レンズと、遠くと手元または中間距離に焦点が合う2焦点レンズ、遠くと中間、手元の3点に焦点が合う3焦点レンズがあります。

 

[図表4]レンズ別の見え方

 

若い世代の方が単焦点眼内レンズを用いた白内障手術を受けると、一晩で完成した老眼になります。通常、老眼は40歳頃から60歳頃まで約20年間かかってゆっくりと進みますので、脳が慣れて適応していきますが、一晩で進むとびっくりしてしまうわけです。

 

ただし白内障がない方の目は、老眼ではありませんので、ある程度カバーできます。通常の生活はほぼ問題ないでしょう。しかし、テニスのように立体感や動体視力が必要なスポーツには不利になります。アクティブな仕事にも支障を感じるかもしれません。

 

一晩で老眼になるのを回避するためには、遠くから近方まで広くピントが合う多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を選びます。

 

「見る」という行為は両眼で成立します。若い方の生活ほど、スポーツや運転、アクティブな仕事や通勤や趣味など単に見えるだけではなく便利に見える必要があると考えられます。どちらを選ぶとしたら多焦点眼内レンズの方がベターです。

 

 

板谷 正紀

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長

 

 

【Case4:「近視が原因の白内障」について読む】

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。
埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

▼はんがい眼科の公式ブログ「目のブログ」▼
https://eyeblog-hangai.com/
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著者紹介

連載近くも、遠くも、快適に…「見える」を取り戻す白内障手術

「見える」を取り戻す白内障手術

「見える」を取り戻す白内障手術

板谷 正紀

幻冬舎

レーザー白内障手術は、安全・快適・短時間に「見えない」という病気状態を解決し、「見える」を取り戻し、さらに快適に見えるを手に入れるまでに進化しました。この本では、進化した多焦点レンズ、レーザー白内障手術の最新情…