遠視と老眼って同じなの?「見えない悩み」のメカニズムを知る

目の病気として知名度の高い「白内障」。高齢者の病というイメージが強いものの、若い世代でも発症する恐れがあります。正しい知識を身に付け、きちんと備えておくことが重要です。本記事は『「見える」を取り戻す白内障手術』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、多焦点レンズやレーザー白内障手術の最新情報はもちろん、目の悩みの原因と治療法について、はんがい眼科・板谷正紀理事長が、わかりやすく解説します。

年々めざましい進歩を遂げている「白内障手術」

白内障手術は私が研修医になった1990年以降、年々めざましい進歩を遂げてきました。先人のさまざまな努力が実を結び、白内障手術が加速的に進歩した時代に、私は眼科医として一人前になりました。

 

医学が劇的な進歩を遂げるとき、医師は限りない喜びを享受して惜しまない努力を捧げ、自分の能力以上の仕事をするものです。それは、患者さんの喜びに裏付けられた医師としての矜持なのです。

 

このように、患者さんと医師が喜びを共有できる治療の進歩は、さらに加速します。なぜなら、人が喜ぶことはビジネスチャンスであり、進歩を支えるメーカー企業の投資も大きくなっていくからです。

 

医師は何が治療に必要かがわかりますが、自ら手術を支える機器や器具を作ることはできません。メーカー企業が医師の想いを実現するのです。患者、医師、メーカーが喜びを共有できるとき、加速的な進歩が起きるのです。

 

私は滋賀県出身ですが、近江商人の経営哲学を表す有名な言葉に「三方よし」があります。この患者、医師、メーカーの三方よしが、白内障手術の黄金時代を築き、現在の安全で短時間の、日帰り可能な白内障手術が完成したのです。

 

誰でも安全な「白内障手術」を受けることができる
誰でも、安全な「白内障手術」を受けられるように

 

そして、驚くべきことに、白内障手術の世界では、三方よしが完成させた技術の進歩が、今でも続いています。

10〜30代で発症してしまうことも…

なんとなく見えにくい、目がかすむと感じながらも我慢して過ごしてらっしゃる方は多いかもしれません。

 

白内障は50歳くらいから増えていきますが、その多くは年単位でゆっくりと症状が進み、症状が悪くなっていることに気づきにくいという特徴があります。一方で、実は10〜30代という若い世代でも発症することがあります。

 

若い世代の白内障は原因不明のことも多いのですが、症状の進み方が早いケースもあるので注意が必要です。

 

白内障とは、目の中のレンズの働きをする透明な水晶体が濁って視力が低下する病気です。白内障の多くは加齢に伴って現れる老化現象ですが、若年者や強度近視、アトピーの方やステロイドを長期に使っている方が発症しやすいタイプの白内障もあります。

 

【目のしくみ】

 

◆水晶体について

白内障のお話をする前に、少し水晶体と目のしくみについてご説明します。

 

水晶体は、直径およそ9ミリ、厚さおよそ4~5ミリの凸レンズの形をした透明な組織です。中身となる核や皮質などの組織は、水晶体嚢(のう)という袋で包まれています。

 

袋の周囲にトランポリンのバネのような役割を果たすリング状の筋肉(毛様体筋)があり、この筋肉がチン小帯という細い無数の線維を介して水晶体とつながっています。

 

[図表1]健康な目、白内障の目の比較

 

毛様体筋はチン小帯を通して水晶体の厚みを変えてピントを合わせる働きをしています。[図表2]をご覧いただくと理解していただきやすいかもしれませんが、近くを見るとき、毛様体筋は収縮してリングが小さくなるためチン小帯はゆるみ、水晶体(レンズ)は本来の丸い形にもどろうとして厚くなります。

 

[図表2]目の調節の仕組み

 

反対に遠くを見るときには、毛様体筋が緩んでリングが大きくなるため、チン小帯が緊張して水晶体をまわりから引っ張り、水晶体を薄くするのです。

 

◆「近視・遠視・老視」の違い

水晶体は、カメラで例えるとレンズのような働きをしています。目に入ってきた光は、角膜と水晶体で折れ曲がり(=屈折)集まります(=フォーカス)。

 

水晶体は厚みを変えてフォーカスの位置を変えてピントあわせをします。

 

それぞれ眼球の大きさが異なるためピントの合う位置が違う
[図表3]正常眼と近視眼と遠視眼 それぞれ眼球の大きさが異なるためピントの合う位置が違う

 

ピントを合わせる先はフィルムに相当する網膜で、網膜より手前でピントが合うものを近視、網膜を超えて外側でピントが合うものを遠視といいます。

 

この水晶体が加齢とともに弾力を失って硬くなり、ピント調節機能が低下した状態が、いわゆる老眼(老視)です。

 

そして加齢などの要因によって、水晶体に濁りが出てくる症状が白内障です。

濁って白内障、硬くなって老眼、大きくなって緑内障

私は水晶体が老化して起きる病気のことを、私は、「濁って白内障、硬くなって老眼、大きくなって緑内障」というフレーズで患者さんにご説明してきました。

 

水晶体が濁ると「白内障」になります。水晶体が硬くなって弾力がなくなり、ものを見るときにうまくピントを調節できなくなると「老眼」になります。

 

そして、加齢とともに水晶体が大きくなることで、目の中の水分である房水の出口がさらに狭くなると「閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)」*注という病気になってしまいます。

 

*閉塞隅角緑内障:眼圧が高くなり、視神経が圧迫されることで、神経線維が減って視野が欠けてしまう病気。50代以上の遠視の女性に多い。

 

 

板谷 正紀

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長

 

 

10〜20代でも「白内障」に⁉詳しくはこちら

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。
埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

▼はんがい眼科の公式ブログ「目のブログ」▼
https://eyeblog-hangai.com/
▼多焦点白内障手術 無料個別相談会 開催中!▼
https://hangai.org/cataract-seminar/

著者紹介

連載近くも、遠くも、快適に…「見える」を取り戻す白内障手術

「見える」を取り戻す白内障手術

「見える」を取り戻す白内障手術

板谷 正紀

幻冬舎

レーザー白内障手術は、安全・快適・短時間に「見えない」という病気状態を解決し、「見える」を取り戻し、さらに快適に見えるを手に入れるまでに進化しました。この本では、進化した多焦点レンズ、レーザー白内障手術の最新情…