ブルーベリーだけじゃない⁉眼科医が薦める「目にいい」食べ物

「黄斑」という器官には、ものを見るのに必要な視神経が集まっており、私たちの視界を常に支えています。そのため常に強いストレスが掛かっており、黄斑に悪い影響を与える生活習慣を続けることで、病気になってしまうことがあります。今回は、はんがい眼科・板谷正紀理事長の著書『目の悩みは眼底を疑いなさい「見える」を支える“黄斑”のチカラ』より一部を抜粋し、黄斑の健康を保つために必要な栄養素や食べ物について解説します。

「黄斑にいい」食事とは何なのか?

黄斑を守るポイントをズバリ言うなら「細胞の働きを活発に保つこと」になります。

 

そのためにはまず、細胞の働きを妨害する物質を抑制しなければなりません。それは「活性酸素」という物質です。聞いたことがあるのではないでしょうか? 

 

人間の細胞は日々生まれ変わっています。古くなって機能の落ちた細胞が死んで、新しく生まれたピチピチの細胞に取って代わられます。人間の場合、細胞の数は全部で約60兆個もあって、1日で約1兆個が入れ替わるとされています(生まれ変わる周期は細胞によって異なっていて、中には生涯生まれ変わらない細胞もあります)。

 

私たちにとって、それがいちばん見えやすいのは、肌ではないでしょうか。夏に日焼けをしても、皮がむけたりしてしばらくすると元通りの肌色になっています。紫外線でダメージを負った肌細胞が死んで、その下に生まれた新しい肌細胞と入れ替わるからです。

 

ところが、年齢を重ねてくると、だんだんとこの入れ替わりがスムーズにいかなくなってきます。そうするとしみやそばかすができたり、ひび割れたようになってシワが増えたりするのです。

 

だんだん、肌にダメージを受けやすくなる
年齢を重ねると、肌へのダメージが残りやすくなる

 

その細胞の生まれ変わりを妨害する主たる要因が「酸化」です。酸化は人間の身体が酸素を取り込むことによっておこります。こう書くと酸素が悪いもののように聞こえてしまいますが、もちろん地球上のほとんどの生物は酸素なしには生きられません。

 

酸素は食べたものを燃やしてエネルギーに変えるうえで欠かせないものです。しかし、取り込んだ酸素の2~3%が体内で毒性の強い「活性酸素」に変化してしまい、これがやっかいを引きおこすのです。

 

じつは活性酸素も“まったくいらないもの”ではないのです。

 

私たちが体内に入ってきた細菌やウィルスに対抗できるのは、白血球が活性酸素の毒を使って戦ってくれているからです。けれども活性酸素が増えすぎると、今度は正常な細胞や遺伝子にも攻撃が及んでしまいます。この活性酸素が増えるのを抑えてくれるのが「抗酸化物質」といわれる栄養素です。

 

どんなものがあるかというと、ルテイン、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸/エイコサペンタエン酸/ドコサヘキサエン酸)、βカロチン、ゼアキサンチン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、アントシアニン、アスタキサンチン……などなどです。

黄斑を強力サポート「ルテイン」と「ゼアキサンチン」

どれも大切ですが、なかでもルテインとゼアキサンチンは、とくに黄斑を強力にサポートしてくれる栄養素です。黄斑にはこの2つの物質がたくさん蓄積されていて、活性酸素の害を抑制するばかりか、紫外線やブルーライトを吸収してくれるのです。

 

ところが歳をとったり、たばこを吸ったり、紫外線を浴びるなどするうちにだんだん減ってきてしまいます。人間の身体はルテインとゼアキサンチンをつくり出すことができないので、食事から摂取するしかありません。

 

では、なにを食べたらいいでしょう? ルテインとゼアキサンチンが多く含まれる食品は次の通りです。

 

[図表1]ルテイン・ゼアキサンチンが多く含まれる食品

 

ほうれんそう100グラムの中にはルテインが10ミリグラム、ゼアキサンチンが0.02ミリグラム含まれています。ほうれんそうは黄斑の活性化を抑えてくれる他の栄養素、βカロチンやビタミンCなども豊富ですから、ぜひ食べてください。

 

このように書くと、明日から山ほどほうれんそうを食べだす人がいるかもしれませんが、大量に摂取するほど効くわけではありませんし、長続きもしません。

 

1日の摂取量として合理的とされるのはルテイン10ミリグラム、ゼアキサンチン2ミリグラムです。八百屋さんで売られているほうれんそうは1束200グラムです。たとえば特売の日に多めに買ってさっと茹で、適当な大きさに切ったものをタッパーに詰めて冷蔵庫に入れておいてはどうでしょう。

 

もちろん、ほうれんそうだけで摂る必要はありません。100グラムあたりのルテイン含有量でいうと、ケールはほうれんそうの2倍以上あります。また、ブロッコリーも、ルテインとゼアキサンチンの両方を含んでいます。

中性脂肪を下げる作用がある「オメガ3脂肪酸」

オメガ3脂肪酸はα-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)といった脂肪酸の総称です。これらは血中のLDLコレステロールが増えるのを抑制し、中性脂肪を下げる作用があります。

 

オメガ3脂肪酸の効果をひとことで言えば、血液をサラサラにしてくれるというものです。

 

現代の食生活は、気をつけないと糖質や脂質を多く摂りすぎてしまいます。分解しきれない糖質や脂質は血液をドロドロの状態にして、血管を詰まらせたりカチコチの状態にして血液のスムーズな流れを阻害したりする原因になります。

 

血管がしなやさかを失い、血液がスムーズに流れないと、精密で繊細な黄斑に悪影響を及ぼしてしまうので、注意が必要です。

 

[図表2]α-リノレン・EPA/DHAが多く含まれる食品

 

α-リノレン酸は植物油に多く含まれていますが、植物油ならどれにもあるわけではありません。たとえばごま油やコーン油やとうもろこし油にはリノール酸が多く、α-リノレン酸はほとんど含まれていません。

 

α-リノレン酸は体内でEPAやDHAに変換されるので、後述する青魚を食べていれば、無理にいま使っている油を変える必要はありません。また、くるみはナッツ類の中でオメガ3脂肪酸がもっとも多く含まれています。ほかにも、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、マグネシウム、銅、亜鉛など抗酸化作用のある栄養素が豊富に含まれています。

人間の体内ではつくり出せない、黄斑にやさしい栄養素

EPA/DHAは人間の体内ではつくり出せない栄養素です。血液をサラサラにする効果でいえばEPAがより有効なのですが、青魚を食べれば両方いっぺんに摂ることができるのでとくに区別する必要はないでしょう。

 

これからは「今日は肉にしようか、それとも魚にしようか」と迷ったときには、ぜひ魚を選んでください。そして「アジのフライ」よりは「お刺身」「塩焼き」を選んでください(フライよりは焼きのほうがEPA/DHAがはるかに多く残る)。煮魚の場合は、栄養素が出ている煮汁もいただいてください。

 

常備しておくと便利なのはサバ缶です。

 

EPA/DHAは加熱によってそれ自体が壊れてしまうことはないのですが、油が落ちたり酸化が促進されてしまうのが問題です。しかし、サバ缶は生のサバを詰めた後に缶ごと加熱調理しています。栄養素が缶のなかにギュッと詰まっているので、一緒に入っている煮汁もいただけば、EPA/DHAを余すことなく摂ることができます。

ビタミンC、ビタミンE…黄斑にやさしい栄養素は他にも

ビタミンC、ビタミンE、βカロチンは「抗酸化ビタミン」と呼ばれる栄養素です(βカロチンとは「ビタミンA」の仲間です)。

 

亜鉛は細胞分裂に必要なミネラルで、傷の修復を早めてくれます。加齢黄斑変性は「見る」ことによって傷んだ部分の修復が追いつかなくなることが原因の1つですから、亜鉛を摂ってこれをサポートしてあげることが有効です。

 

[図表3]ビタミンC・ビタミンEが多く含まれる食品

 

[図表4]βカロチン・亜鉛が多く含まれる食品

 

ピーマンを使うときは緑色より赤いものを選んだほうが栄養価が高いことがわかります。またケールやブロッコリーやほうれんそう、柿やみかんはルテインやゼアキサンチンのところでも出てきた野菜やくだものです。これらを日々の食生活に、少し意識して取り入れるだけでも効果があります。

 

 

板谷 正紀

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。
埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

▼はんがい眼科の公式ブログ「目のブログ」▼
https://eyeblog-hangai.com/
▼多焦点白内障手術 無料個別相談会 開催中!▼
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著者紹介

連載眼科理事長が解説!「見える」を支える“黄斑”のチカラ

目の悩みは眼底を疑いなさい 「見える」を支える“黄斑”のチカラ

目の悩みは眼底を疑いなさい 「見える」を支える“黄斑”のチカラ

板谷 正紀

幻冬舎

欧米の成人失明原因第1位でありながら、あまり認知されていない黄斑疾患。初期症状や治療法、予防法を徹底的にわかりやすく解説した革新的一冊。