子どもに「損益計算書ってなに?」と聞かれたらどう答えるか

もしお子さんに「損益計算書ってなんのこと?」と質問されたら、あなたは答えられるでしょうか。もしかしたら「知っているつもり」になっているだけで、正しく理解できていないかもしれませんよ。軽妙なコラムで多数のファンを持つ経済評論家の塚崎公義氏が、経済初心者のための超入門講座を開講! 第6回は「減価償却」について解説します。

「売上高」から「費用」を引いて利益を計算したもの

「損益計算書」は英語で"Profit and loss statement"。略して「P/L」と記される場合もあります。要するに、会社の利益の額を計算した書類です。

 

売上高(売上)から費用を差し引いたものが利益だ、というわけで、バランスシートよりはるかにわかりやすいですが、費用にはさまざまなものがあるので、どこまでの費用を差し引くかによって、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期利益(税引前当期純利益)・当期利益(当期純利益)といった、いろんな利益額が出てくるわけです。

 

あああ
要するに、会社の利益の額を計算した書類だ

売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いて計算

売上高から売上原価を差し引いたものが「売上総利益」で、「粗利(あらり)」とも呼ばれます。

 

売上総利益  = 売上高 − 売上原価

 

「売上高」というのは、代金の支払いを受けていなくても取引が終わっていれば売上高です。「代金は翌月に支払います」といった取引も多いですが、それについては「売買自体はすんでいて、買い手に代金分だけ金を貸してある」という考え方になっているわけです。

 

「売上原価」というのは、仕入のコストや製造のコストのことです。去年作ったものが今年売れたら、去年の製造コストを今年の売上原価とします。今年作ったものを来年売る場合には、今年の製造コストは売上原価としません。

営業利益は、売上総利益から一般管理費等を引いて計算

仕入コスト、製造コストが「製品1個あたり何円」という対応をしているのに対し、そうではない費用も多いですね。社員の給料、オフィスを借りる家賃、広告宣伝費、等々です。そうした費用も差し引いたあとの利益が「営業利益」です。

 

営業利益 = 売上総利益 − 販売費および一般管理費

 

ただし、「借金の利子は営業活動の費用ではない」と考えて、ここでは計算に入れません。

営業外収益とは、本業以外から得られる収益のこと

「営業外収益」というのは、本業以外から得られる収益のことで、具体的には預貯金の金利等々のことです。「営業外費用」というのは、本業以外の費用のことで、具体的には借金の金利等々のことです。主に財務部門で生じる損益、と考えていいでしょう。

 

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用

 

ただし、毎年おおむね定期的に発生するものだけを計算に含めます。今年だけ突発的に発生した収益や費用は、ここでの計算には含めません。

 

「特別利益」「特別損失」というのは、突発的に発生した利益や損失のことです。たとえば、不動産を売却したときに発生した利益や損失、火災や災害による損失、などが含まれます。

 

税引前当期利益 = 経常利益 + 特別利益 − 特別損失

 

「当期利益」は純利益とも呼ばれ、まさに結果の数字、企業の利益そのものです。これが配当されたり内部留保されたりするわけです。

 

当期利益 = 税引前当期利益 − 法人税等

企業の実力を見るなら「経常利益」をチェック

当期利益は、文字通りの結果ですから、重要であることは疑いありませんが、偶然の要素等も含まれているので、会社の実力を知りたい場合には注意が必要です。

 

実力的には赤字会社なのに、昔から持っていた土地を売却した利益が出たので黒字になっている場合もありますし、反対に実力的にはピカピカの会社なのに災害に見舞われて今期だけ赤字に転落したという場合もあるからです。

 

したがって、当期利益で会社の実力を判断したいと思ったら、数年分の当期利益を眺めて、他の年と大きく異なっている年を除外して考える必要があるでしょう。

 

それに対して経常利益は、企業の稼ぐ力を見るうえで最重要の利益だといわれています。偶然の要素等があまり含まれていないからです。

 

もっとも経常利益も、リーマン・ショックや新型コロナ不況といった「突発的な出来事」で赤字に転落することはありますから、数年分の経常利益を平均して見る、といった工夫は必要でしょう。

「固定費」「変動費」「キャッシュフロー」にも要注目

損益計算書は重要な決算書ですが、会社の利益について考える際には、それ以外のことも考えてみる必要があります。

 

ひとつは、費用を売上原価や販売費といった分け方をする代わりに、「固定費」と「変動費」に分けてみることです。

 

固定費というのは、売上がゼロでもかかる経費のことで、正社員の給料などが含まれます。変動費というのは売上が増えると増える費用のことで、材料費などが含まれます。固定費が大きい会社は、利益の変動が激しくなる傾向があります。これについては別の機会に詳述します。

 

また、利益が大きければいいというものでもありません。売上が増えても代金の回収に時間がかかったりすると、材料費の支払い増加によって資金繰り倒産をしてしまう可能性もあるからです。

 

その意味では無理をして売上を伸ばしていないか、資金繰りも見る必要があります。これについても別の機会に詳述します。

 

今回は以上です。なお、このシリーズはわかりやすさを最優先として書いていますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

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