「4時間睡眠」を続けると…?医師が実践したら想定外の結果に

健康のカギともいえる「睡眠」を削るとどうなるのでしょうか? オタク気質の医師が、体を張って挑戦・結果を分析します。第一線の医師による渾身のレポート! 本記事は『110歳まで元気に生きる! 実験オタクなドクターに学ぶ健康長寿のウソ・ホント』(幻冬舎MC)から一部を引用し、内科医である永野正史氏の自ら体をはった検証と、医学的な根拠を解説します。

光の入らない場所に長くいると、時間感覚は消滅する?

●生体リズムが乱れて昼夜が逆転生活する

 

以前、暗い洞窟で何日も生活すると人間はどうなるのか、という実験が外国で行われた話を本で読み、それが頭の片隅に残っていたのだと思います。私は、大学4年生の夏休みに暇を持て余して、自分でも同じ実験をやってみようと思い立ちました。

 

中学時代は写真に凝っていて現像も自分でやっていたので、ちょうど暗幕を持っていたのも幸いしました。六畳の部屋の窓に暗幕を張り、真っ暗にしたら電気をつけるのも消すのも自由、寝たいときに寝て起きたいときに起きる、時計はわざわざ見に行かないと分からない場所に置き、お腹が空いたら食事を作っても外食でも良し、あとは好きに過ごすというルールを作り、10日間ほど暮らしてみました。

 

暗室生活を始めた当初は、原始的な生活を楽しんでいるところがありました。しかし、だんだんと「こんな怠惰な生活をしていてはいけない」と、人生について真剣に考えるように気持ちが変化し、ほとんどの時間を将来の夢に費やしていたのです。

 

そして、何日目だったのかは覚えていませんが、お腹が空いたので時計を見ると2時を過ぎていました。これではお腹も空くはずです。あまりにもお腹が空き過ぎて食事を作る気にもなれず、何か食べに行こうと外に出ると、なんと真っ暗で夜中の2時だったのです。てっきり昼間の2時と思っていただけに、これは衝撃でした。それで、急いで夜中でも開いている店に行ったのですが、完全に昼夜が逆転していたのです。これは、生体リズムが乱れて時間の感覚がズレていたからでした。

 

●夜更かしでも生体リズムは乱れる

 

生体リズムはとても大事です。例えば、胃液も生体リズムに応じて分泌されています。研修医の頃、患者さんの胃のバリウム検査を担当したとき、時間がかかり過ぎてしまい、最後の患者さんの順番が来たときには昼近くになってしまったことがありました。そうすると、患者さんは朝食を摂らずに来ているので、昼頃になると空腹のために胃液が出てくるのです。胃液が出ると、バリウムが胃粘膜に付着しにくくなり、病変を検出しづらいなど検査精度が下がってしまいます。

 

このように、ほとんどの人は食事の時間になると、胃液が分泌されるようになるのです。これも生体リズムの一つです。幸いにも私は実験中も元気で体に異変は出ませんでしたが、もっと長く続けていたら、おそらく体調を崩していたと思います。

 

暗室生活をしなくても、夜更かしが続けば生体リズムは確実に乱れます。高齢者の方には寝つけないので深夜ラジオを朝まで聴いて、それから昼過ぎまで寝ているという方も多いでしょう。これでは生体リズムがズレていき、余計に眠れなくなります。私の実験では、だいたい1日1時間くらいずつズレていっていました。こういった乱れを防止するためには、夜遅くまで起きていても毎朝同じ時間に起きて太陽の光を浴びることが大切です。

 

光の入らない場所に長時間いると時間の感覚がなくなる!?
→ホント

 

習慣にしよう!

●夜遅くまで起きていても毎朝同じ時間に起きましょう。これによって体がリセットされるので、休みの日でも朝寝坊をしないで規則正しい生活を心がければ、寝つきも良くなって健康が維持できます。

 

 コラム  不眠や疲労感等の不調が現れる「時差ボケ」も、生体リズムが乱れた結果

 

海外旅行の際に、現地到着後や帰国後に、不眠や疲労感、食欲不振、イライラするなど、体に不調が現れることがあります。これが「時差ボケ」で、生体リズムが時差によって乱され、体調に変化をもたらした結果です。

 

通常、4~5時間以上の時差があると、時差ボケになるといわれています。日本から米国やハワイなど東方面へ向かうときは1日の周期が短くなり、逆にヨーロッパなど西方面へ向かうときは1日の周期が長くなります。生体リズムは、1日の周期が長くなるほうには順応しやすいのですが、短くなると順応しづらい傾向にあります。そのため、時差ボケがひどくなりやすいと考えられます。

 

 

永野 正史
練馬桜台クリニック 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本腎臓学会 専門医
日本透析学会 専門医・指導医

 

練馬桜台クリニック 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本腎臓学会 専門医
日本透析学会 専門医・指導医

1958年10月生まれ。1985年に佐賀医科大学卒業後、三井記念病院にて内科研修医、内科腎センター医員を経て、1992年に敬愛病院内科に勤務。1996年に敬愛病院副院長を務めた後、2003年に練馬桜台クリニックを開業(内科・透析・健診)。マラソンは趣味の域を超え、自己ベストは東京マラソン(2014年)にて3時間41分35秒を記録。

著者紹介

連載 110歳まで元気に生きる! 実験オタクなドクターに学ぶ健康長寿のウソ・ホント

110歳まで元気に生きる!実験オタクなドクターに学ぶ健康長寿のウソ・ホント

110歳まで元気に生きる!実験オタクなドクターに学ぶ健康長寿のウソ・ホント

永野 正史

幻冬舎メディアコンサルティング

その健康法は本当に正しい?巷でよく聞く健康法の“真偽"を61歳内科医が自らの体を張って検証! 血圧は運動後に上がらない!?肉の食べ過ぎは血糖値には関係しない!?…etc.「健康で長生き」が多くの人にとって関心の高い…

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