新型肺炎、急増する罹患者…「致死率3%」の算出法は正しいか

これからの時代を経済的に困窮することなく生きるには、「経済センス」を磨くことが不可欠です。経済コラムで多くのファンを持つ久留米大学教授の塚崎公義先生が、身近なテーマを読み解きます。第9回は、新型肺炎の致死率として公表されている数値の信頼性を考察します。

実際の致死率は、公表された数値より高い可能性も

新型肺炎が猛威を振るっています。中国での流行はなんとか押さえ込まれたようにも見えますが、中国以外の国にも急激に広がりつつあり、先行きが大いに懸念されるところです。

 

未知の病気なので、恐怖心を煽るところがあるわけですが、安心材料のひとつとして致死率が高くない、という点を指摘する人が少なくありません。

 

新型肺炎の致死率は、当初2%といわれていましたが、最近では3%強となっていますので、3%程度という人が多いようです。しかし、筆者はこれを疑問に思っています。

 

最初に明言しておきますが、筆者は新型肺炎に関する医学的な知識はほぼ皆無です。そのうえで、発表されている統計の数字を見ながらさまざまなことを読者とともに考え、統計の解釈は慎重に行うべきだ、ということを示したいと思います。

 

3月6日現在の数字ですが、感染者10万1,926人に対して死亡者は3,466人ですから、死亡率は3%強となっています※。もっとも、中国の湖北省では医療が崩壊しているので致死率が高く、それ以外では低い、ということでしょうから、中国とそれ以外に分けてみてみましょう。

 

https://www.worldometers.info/coronavirus/?fbclid=IwAR009noq--RgpWV13bcMSk9c_dhFEKY3q3H0o2UdAIULmpvXYn7dQWHTcNM

 

中国の罹患者は8万576人、死亡者は3,042人、死亡率は4%弱です。中国以外は罹患者2万1,350人、死亡者424人ですから、死亡率は2%といえるでしょう。

 

しかし、筆者はこの計算方法には問題が多いと感じています。実際の死亡率はもっと高いかもしれないのです。

闘病者から死者が出れば「死亡率」は上昇する

罹患者は上記のように10万1,926人ですが、治癒した人は5万6,123人、死亡した人は3,466人で、残りの4万2,337人は現在も闘病中です。中国以外での罹患者は2万1,350人、治癒した人は2,194人、死亡した人は424人で、残りの1万8,732人は現在も闘病中です。闘病中の人のなかから死亡する人が出てくるならば、死亡率は上がっていくでしょう。

 

治癒した人と死亡した人だけについて見ると、死亡率は結構高いので、闘病中の人が似たような確率で死亡するとなると、最終的な死亡率は相当高くなるかもしれません。

 

最終的な死亡率は相当高くなる可能性も…
最終的な死亡率は相当高くなる可能性も…

罹患者数が急増しているなら、死亡率は低く算出される

中国以外の患者数は急増しています。もしも新型肺炎が「死亡するならば罹患してから数日後」という病であった場合には、数日前の罹患者数と死亡者数を比較しなくてはなりません。

 

通常であれば、単純に死亡者数を罹患者数で割ればよいのですが、罹患者数が急増している場合には、それだと死亡率が低く出過ぎてしまうわけです。

 

筆者は、医療にも新型肺炎にも詳しくないので、単に統計の見方の話をしています。数字は慎重に扱いましょう、というわけですね。

有力なのは「軽症者が多く、死亡率も本当に低い」説

もっとも、専門家たちが死亡率が低いといっているわけですから、上記にかかわらず、死亡率が実際には低いのかもしれません。そうである可能性を考えてみましょう。

 

もしかすると新型肺炎は、罹患するとすぐに症状がピークを迎え、それを越してから完治するまでの期間が長く、闘病中の人のほとんどがピークを越えた死亡リスクの低い人だ、ということかもしれません。それならば死者数を罹患者数で割るという上記の計算方法でいいのでしょう。

 

いちばん可能性が高いのは、罹患しても症状が軽いので検査を受けていない人が大勢いる、ということでしょう。そうであれば、検査をして罹患が確認された人に占める死亡者の割合は結構高いけれど、病気自体の死亡率は低い、ということになるわけですね。

 

もちろん、今後については特効薬が見つかって死亡率が劇的に下がるかもしれません。そうなることを期待しましょう。

 

反対に、ウイルスが変異して死亡率が高まってしまう可能性も皆無ではありませんが、そうならないことを祈りましょう。

 

末筆ながら、亡くなられた方にはお悔やみ申し上げます。患者の方にはお見舞い申し上げるとともに、早期の回復をお祈りしております。

 

今回は、以上です。

 

 

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塚崎 公義

久留米大学教授

 

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載経済評論家・塚崎公義の「身近なテーマで経済センスを磨く」実践講座

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