多忙な時期に突然の相続…親から譲り受けた土地の有効活用法

現役世代が突然の土地相続を受ける場合、どのような注意点があるか。「突然所有することになった土地。どんな活用法があるのか?」、「収益物件としての土地活用。有力選択肢となるのは?」、「収益狙いの土地活用でアパート経営。成否を分けるポイントとは?」といった視点で、相続した資産の運用・防衛方法を考察する。※本記事は、三菱UFJ不動産販売株式会社運営の不動産情報サイト「住まい1」からコンテンツの一部を抜粋し、編集を加えたものです。

 

親が亡くなった場合、親が所有している土地を相続することになっています。詳細について親と話し合ったこともなく、突然相続となったらと不安になっています。

 

もし、土地を相続したら、どうすればいいのでしょうか。

 

◆今回のポイント◆
・土地、建物を相続したときの手続きについて、事前に把握しておきましょう。
・相続を見越し、スピード感を持って土地活用の可能性を探り、実行していくことが大切です。

突然の土地相続。どんな注意点がある?

相続について、親子できちんと話し合ったことがあるでしょうか?


相続を話題にすることが不謹慎だと感じたり、縁起が悪いと感じたりして、なんとなく話し合いを後回しにしている人も多いでしょう。

 

しかし相続は、資産状況に大きく影響するライフイベントの1つです。ほぼ全ての親子間で発生する、とても身近な手続きでもあります。突然の相続で困ることがないように、まずは土地、建物を相続したときの手続きについておさえておきましょう。

 

親の死などによって土地の相続が発生した場合、最初に行うのは相続人同士で分配方法を話し合うことです。例えば、母親が亡くなり、すでに父親も他界していた場合、子供が2人であれば、そのうちの1人が土地を相続し、2人で分配方法を決めるのが一般的でしょう。


また、子供が自分1人であれば、自分が相続人となり土地を所有する権利を得ます。所有権を得た場合は、土地の名義を変更することになります。変更する義務や期限は法律上で定められていませんが、名義を変えない限り、土地を売却することができません。そのため、葬儀や遺品整理などがひと段落したら、速やかに手続きをするとよいでしょう。


手続きそのものは個人でもできますが、必要な書類を用意して、名義変更や登記の手続きをするのに時間も手間もかかります。遺産の合計額によっては相続税が発生しますし、被相続人(亡くなった方)である親が遺言状を残している場合や、相続人が複数いる場合には、分配の話し合いに手間取ることもあります。


そもそも、相続の手続きに慣れている人は少なく、現役世代は日々の仕事で忙しいでしょう。そのような点を踏まえると、多少の費用はかかりますが、手続きは弁護士や司法書士などに依頼するのが無難です。


自分で手続きする場合の書類は以下の書類を用意します。

 

出典:法務局「不動産登記の申請書様式について」(2019年)
出典:法務局「不動産登記の申請書様式について」(2019年)

突然所有することになった土地。どんな活用法があるのか?

土地を相続するとなった場合、次に考えるのがその土地や建物をどうするかです。


方向性は大きく3つあります。

 

ひとつは売却です。不動産の相続は資産が増えるという点では喜ばしいことですが、相続後は固定資産税などがかかります。また、相続人が複数いる場合、不動産を受け取らない相続人に分割相当分の現金を払うことがあります。


例えば、2,000万円の価値がある土地を兄弟2人で相続する場合、土地を相続する人は兄弟に1,000万円の現金を渡します。そのための現金が不足している場合も、現実的な選択として、売却を検討することになるでしょう。


2つめは、相続した土地や建物を自分で利用する自己使用です。相続人が持ち家の購入を考えている場合や、相続した土地や建物に住みたいと考えている場合には、この方法がよいでしょう。現在の住居や勤め先から遠い場合は、別荘として使用することもできます。


3つめは活用です。具体的な活用方法は後述しますが、活用する場合には、相続した土地を手放さなくてよい、 本業とは別に長期的な収入源となる可能性があるといったメリットがあります。

収益物件としての土地活用。有力選択肢となるのは?

では、土地活用にはどのような選択肢があるのでしょうか。ここでは代表的な方法を紹介します。


まずは、アパートやマンションなど集合住宅を賃貸経営する方法です。相続した不動産がもともと集合住宅だった場合は、その経営を引き継ぎましょう。相続物件が戸建て住宅だった場合や、建て直す必要がある場合には、いったん物件を壊し、新たに集合住宅を建設します。


集合住宅の収益性は、土地の広さ、物件の間取り、立地などに影響を受けますが、借り手さえ確保できれば継続的に収入を得ることができます。ただし、集合住宅の建設は初期コストがかかるため、うまくいかなかったからといって簡単に壊すことはできません。そのため、物件周辺の需要や家賃設定などについて慎重に調べ、黒字になる計画を立てる必要があります。


また、集合住宅の建築費用は、金融機関などから融資を受けて準備するケースが多いでしょう。しかし昨今は、シェアハウス問題の影響などによって融資の審査が厳しくなっています。金融庁による「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」(2019年)からも、銀行における投資用不動産向け融資の実行額が2017年3月期をピークに減少していることが分かります。そのため、建築費用の頭金となる自己資金がある程度ある人や、会社員として得る給料が高い人などを除くと、資金調達が障壁となるケースも考えられます。

 

出典:金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」(2019年)
[図表]投資用不動産向け融資の実行額の推移 出典:金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」(2019年)


土地活用の2つめは、駐車場経営です。駐車場経営には、月極駐車場と時間貸しのコインパーキングの2種類があります。いずれの場合も、駐車場にするためには更地にする必要があり、建物がある場合には取り壊し工事の費用がかかります。また、アスファルトなどで舗装する工事費用も必要です。


ただし、前述した集合住宅経営よりも初期コストが安くなるケースがほとんどです。コストが安い分だけ収益性も集合住宅経営より低くなりますので、集合住宅と比べてローリスク、ローリターンの選択といえるでしょう。また、賃貸経営と比べると、駐車場は始めるのもやめるのも容易といえるので、将来的に集合住宅を建てるための資金準備を進めつつ、いったん駐車場として活用するという選択もあります。


土地がそれなりに広く、駅や交通量が多い通りが近い場合には、商業施設向けのテナントビルが選択肢の3つめとなるでしょう。店舗の賃料は、住居よりも収益性が見込めるのがメリットです。また、賃貸の場合は個人が借り手ですが、テナントは法人が借り手となりますので、その点で安心感もあります。ビルを作るための費用はかかりますが、借り手店舗内の内装工事なども基本的には借り手負担で行うため、その後の運営費は抑えやすくなります。


土地が広い一方で、集客や賃貸需要が見込みづらい場合には、老人ホームなど高齢者向け施設が選択肢の4つめになります。賃貸物件とは違い、高齢者向け施設はアクセスの良し悪しに影響を受けづらいため、地方の土地や都市部から離れた場所にある土地でも有効活用できる可能性があります。また、日本は少子高齢化が進んでおり、高齢者向けの施設は基本的に不足しています。そのため、若い人をターゲットとする賃貸より、高齢者をターゲットとする施設のほうが需要を確保しやすく、安定しやすいといえるでしょう。

 

 

収益狙いの土地活用でアパート経営。成否を分けるポイントとは?

土地活用の方法は様々で、その土地や周辺環境の条件などによっても適した方法が変わります。


また、相続した土地などにかかる固定資産税などは、土地の価値と広さに比例して増えます。そのため、価格が高い都市部の土地、アクセスがよい土地、広い土地を相続する場合ほど、その後の活用を考える必要性が高くなります。


その点から見ると、都市部にあり、アクセスがよく、ある程度の広さがある土地は、条件面から見て、アパートやマンションなど集合住宅として活用するのが適しているといえるでしょう。賃貸需要の高い若年層は都市部に多く住んでおり、賃貸物件はアクセスがよいほど有利です。現状、金融機関の融資が厳しくなり、小資金で集合住宅を一棟建てるのは難しくなっています。しかし、すでに土地があればその分の資金は不要ですし、土地を担保にできれば、建物を建てる資金も借りやすくなります。


ただし、集合住宅は建てて終わりではなく、むしろ建ててからどう経営していくかが重要です。建物を建てるためのローンの返済や各種税金などを補うとともに、安定的に収益を確保し、将来に向けた資産形成につながるように、慎重に収支をシミュレーションすることが大事です。


その際のポイントとなるのは、土地周辺の賃貸需要の分析、ローン返済と家賃収入のバランス、融資元の確保とローンの返済計画などです。建物ができたあとは、入居者募集や建物の管理、メンテナンスなどが必要になりますので、その分野についてもあらかじめ勉強しておきましょう。


相続した土地で集合住宅を建てる場合、不動産活用に初めて取り組む人がほとんどです。基礎知識や予備知識が不足していることが多いため、信頼できる専門家を見つけて、相談しながら進めていくことが大事です。


また、収益性が見込めるのであれば、集合住宅経営を成功させるためのもうひとつのポイントとして、早期のスタートがよいといえます。


スタートした当初はローン返済があるため、賃料収入があっても、最終的な手取りは少なくなります。しかし、早期に賃貸経営を始め、早くローン返済が終われば、手取りの額が増える時期も早くなります。集合住宅経営で、ある程度の利益が得られれば、老後資金の不安も解消できるでしょう。そのような将来を見据えながら、スピード感を持って土地活用の可能性を探り、実行していくことが重要です。

 

<連載>ライフステージ・スタイル別にみる 賢い資産形成&防衛術

※三菱UFJ不動産販売株式会社運営の不動産情報サイト「住まい1」に遷移します。

【第1回】「時間」を味方に!長期積立投資の威力を知り、資産形成に生かす方法

【第3回】公的年金だけでは足りない!豊かな老後を送るための「自分年金」の作り方

【第4回】孫に直接資産を渡す!生前贈与、養子縁組、遺言、信託の賢い使い方

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著者紹介

連載ライフステージ・スタイル別にみる 賢い資産形成&防衛術

公開日時点の法令に基づき、不動産にかかわる資産形成について説明しています。個別の事例については、所定の要件を欠く場合があります。