高級車を乗り回す不動産屋…悪徳な「儲けの仕組み」を暴く

何かと黒い噂が絶えない不動産業界。消費者には知り得ない業界の慣習(ブラックボックス)の中で家を買おうとすると、どうしても損な結果になってしまう。『不動産屋は笑顔のウラで何を考えているのか?』(幻冬舎MC)の著者である、株式会社アルティメット総研代表取締役社長・大友健右氏は、業界全体の「構造悪」を危惧している。

「営業マン個人に渡るウラ金」、担ボー

不動産業界には、この不況のなかでもベンツやBMWなどの高級車に乗っている営業マンがたくさんいます。物件を紹介するためにお客さんのところに高級車でやってくる営業マンを見て「ずいぶん儲けているのだろうな」と思った人も多いことでしょう。

 

たしかに、不動産会社の営業マンとしてある程度の成績を上げている人は儲かっています。これはフルコミッションの営業マンであろうと固定給の営業マンであろうと同じことです。では、なぜ、この不況のなかでも不動産会社の営業マンは高級車に乗れるのか。それは、業界のなかに「担ボー」という個人が儲かるしくみがあるからです。

 

いろいろな業界に、その業界の人だけが使う業界用語・隠語があります。よく知られているのは、テレビ業界の“逆さ読み”や略語の類。食事を「アゴ」と言うのですが、「アゴ足つき(食事・交通費負担あり)」のように、それらの言葉のなかには市民権を得て一般的になったものもあります。

 

警察業界(?)も業界用語・隠語のオンパレードですね。「ガサ入れ」(強制捜査)、「半落ち」(一部自供)、シャブ(覚醒剤)などは広く知られている隠語です。また、銀行にも「ジャンプ」(手形支払期日の延長)、「飛行機手形」(めったに落ちない手形)など、たくさんの用語・隠語があります。業界ごとに挙げだしたらそれこそキリがありません。

 

なぜ、業界ごとに、そのようにたくさんの特殊な用語・隠語があるのでしょうか。きっと、「業界の外の人に知られるとマズイから」とか「業界のなかでは面倒な話を端折って手短かに事を進めたいから」といったことが理由でしょう。

 

「担ボー」というのは不動産業界の用語で、この言葉もあまり業界の外の人には知られたくないことを示しているのかもしれません。

 

業界外の人に知られるとマズい
業界外の人に知られるとマズい

 

では、「担ボー」とはどのようなことなのか。それは、言葉のイメージから類推できるように、「担当者ボーナス」の略です。「なんだ、担当営業マンが受けとるボーナスのことか」。そう思った人がいるかもしれません。でも、それでは隠語になっている意味があまりありません。

 

実は「担ボー」は、一般のサラリーマンの方が夏と冬に会社から受けとるボーナスとはまったく異なるものです。その金額や支払われるしくみが一般にはほとんど知られていなくて、家を買うみなさんも、「そんなものが支払われているのか」と、きっと首をかしげるかもしれません。

 

◆販売図面はダブルスタンダード

 

担当者ボーナスとは、かいつまんで言うと、売主である業者が成功報酬として仲介業者に仲介手数料を支払う際に、手数料とは別に、仲介業者の「営業担当者」に渡す「謝礼金」のことです。取引業者から担当者に渡るリベート報酬というほうが理解しやすいかもしれません。もうちょっと悪趣味な言い方をすれば、「営業マン個人に渡るウラ金」みたいなものです。

 

[図表1]担ボーの仕組み

 

みなさんが家の購入を考えて不動産会社を訪れたとき、その業者が取り寄せてくれた物件の販売図面を見せてもらったことがある人もいるでしょう。たとえば、[図表2]に示したような図面です。

 

[図表2]オビ付きのチラシとは?

 

その販売図面には何が描かれていますか? 現地の区画の概略や地図、セールスポイント、建物の間取り図などが示されていて、右のほうに物件種目、価格、所在地、面積、権利関係、地目、本体設備などが記されています。ここまでは、だれでもわかりますね。

 

では、その販売図面の下のほうを見てください。そこには、仲介業者(不動産会社)の名称や所在地、担当者名などが並んでいます。実は、ここにカラクリがあり、暗号があるのです。この販売図面は「オビつき」といって、その裏には一般の消費者は見ることができない次のような言葉が記されています。

 

「手数料:6%。業法にしたがってください」

 

一般の消費者であるみなさんは、この言葉の上に仲介業者名や連絡先などが記された「オビ」を貼られてコピーされた販売図面を見ているというわけです。では、この業法とはどういうものか。

 

それは宅建業法=宅地建物取引業法のことで、そこには物件の金額に応じた手数料が定めてあります。手数料の額は普通は家を買うとなると400万円以上になりますので、「(物件価格×3%+6万円)+消費税」です。

 

ところが、その販売図面のなかに「手数料:6%。業法にしたがってください」と記されたものがあるのです。ちょっとおかしいと思いませんか? 物件価格の3%が仲介手数料の基準なのに、なぜその倍の6%と記されているのか。実はその3%が「担ボー」であり、その担ボーが付いている物件が「担ボー付き物件」なのです。

 

ちなみに、この表記が「3%+6万円」なら、みなさんが売主業者であったとしても業法にしたがっているのですから、納得して支払うでしょう。でも、6%となると、その倍の数字です。金額に置き換えてみると、5000万円の家なら156万円+消費税の仲介手数料に150万円を上乗せすることになるのです。

 

「担ボー」は家を買うあなたが直接支払うわけではありませんが、めぐりめぐってあなたが肩代わりして負担しているのと、なんらかわりがありません。こんなことがだれにも知られずに普通に行われているのです。

 

「担ボー」は売主業者が仲介業者の営業マンに支払う報酬ですが、そうした報酬が支払われているとなると、営業マンはその報酬ほしさに営業しているのか、と思うのも筋が通った考えです。「結局、不動産会社の営業マンは、より自分の儲けになりそうな家ばかり紹介するのか」と、猜疑心の塊になってしまう人もいるでしょう。

 

では、担ボーはどのような物件に付くのでしょうか。実際のところ、多くの人にとって価値があると思える家は広告を出さずとも売れていきます。ですから、担ボー付き物件は、どうしても売れ残り物件となります。となると、担ボーで儲けたい仲介業者の営業マンが強く勧める物件は、売れ残りばかりということもできるでしょう[図表3]。

 

[図表3]仲介業者が勧める物件とは

 

そして、その金額は、5000万円の家を一棟売れば150万円になり、4000万円の家なら120万円になるのです。率にすればたった3%ですが、金額にすれば首都圏近郊で100万円、200万円の担ボーになる! そうとわかれば、担ボー付き物件を勧めるのもムリはありません。

 

さらに、担ボー付き物件に狙いを定めて、年に5棟、10棟を販売できれば、その営業マンはまさに濡れ手で粟です。そうなると、一発の儲けが大きい彼らにとって大事なのは、どんなお客さんと知りあうかということだけです。運よくカネ回りのいいお客さんと知りあうことができ、担ボー付き物件を勧め、購入してもらえば万々歳なのです。

 

「ふざけんじゃないよ。売れ残り物件を勧めておいて、100万円以上もよけいに儲けているのか! まったくの悪徳業者め……」と、仲介業者の営業マンに向かって怒りだす人がいるかもしれません。でも、ちょっと気持ちを静めてください。あなたにとっては理不尽に思える取引のやり方でも、この業界では“黙認された成功報酬”なのです。

「構造悪」とも呼べる不動産業の取引のしくみ

◆パンドラの箱が突然、開くと…

 

ところで、このような成功報酬を得る仲介業者の営業マンは、本当に悪徳なのでしょうか。フルコミッションであるか固定給であるかにかかわらず、より稼ぎが多い仕事に向かうのは、一般的な職業心理・就業心理としては当然のことです。その報酬を狙う彼らを一方的に責めることはできません。

 

悪徳なのは、その仲介業者の営業マン個人ではありません。なぜなら、これは不動産業の取引のしくみのなかで起こっていることだからです。もし、だれが悪徳なのかを特定するとすれば、それは不動産業界そのものです。悪いのは、取引全体のしくみをブラックボックスで覆い隠し、一般の人はだれも踏み込むことができないようにした業界そのものなのです。

 

その意味では、業者、営業マンのやり口が悪質・悪徳だというのではなく、業界全体が「構造悪」の状態で、そのなかで業者や営業マンは黙認された仕事をしている、という言い方が適切なのかもしれません。そのような取引構造が両手取引、両手片足取引などという、より儲けの多い取引の温床の入り口ともなっています。

 

ですから、みなさんにとって大事なのは、「家を売ったり買ったりするときは、このような『不動産業界』を相手にしている」という事実を知ることなのです。

株式会社アルティメット総研 代表取締役社長
株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役社長 

1972年生まれ。株式会社アルティメット総研代表取締役社長。株式会社プロタイムズ総合研究所代表取締役社長。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。次世代に向けた不動産流通を活性化させるための枠づくりを推進する一般社団法人全国不動産次世代流通振興会代表理事としても活動中。

著者紹介

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幻冬舎メディアコンサルティング

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