快適に運転したい、読書を楽しみたい…ニーズで選ぶ眼内レンズ

白内障手術に使われる「多焦点眼内レンズ」は、メガネを使用することなく近方も遠方も見える使い勝手のよいレンズです。しかし、ひとくちに多焦点眼内レンズといっても実は多くの商品があり、患者によって「最もよく見えるレンズ」は異なります。本連載では、年間1500件もの白内障手術を手掛ける、アイケアクリニック院長の佐藤香氏が、白内障治療に関する疑問を、Q&A方式でわかりやすく解説します。

レンズ選びは「カウンセリングが丁寧な医療機関」で

Q:多焦点眼内レンズはどういう基準で選べばいいのでしょうか?

 

A:一口に白内障手術といっても、最適な眼内レンズは症状の違い、見え方の違い、ライフスタイルの違いなど、さまざまな要素によって異なります。

 

そのうえ多焦点眼内レンズにはたくさんの種類があり、それぞれ特徴が異なります。自分にとって最適なレンズを選ぼうとしても、迷ってしまう方が多いのは当然のことかもしれません。実際、選び方は「ケースバイケース」で一概に基準を言うことはできません。

 

多焦点眼内レンズを選ぶときは、まず、白内障手術後に「どんな見え方を手に入れたいか」と「今どんな生活を送っているか」を考えることが大切です。また、患者さん自身の生活上のニーズのほかにも、患者さんの年齢も最適な眼内レンズ選びに関係する面があります。

 

「どんな見え方が望ましいか」
丁寧なカウンセリングのもと、最も希望に沿う眼内レンズを提案

 

たとえば30~40代の比較的若年層の方には、近方・中間・遠方とも見やすく、色のコントラスト感度もよいレンズがおすすめです。車を運転しない年配の女性の方は、近方の視力が特に出やすいレンズが有力候補に挙げられます。近方が見やすいことで「日常の家事・炊事が快適になった」という声を聞きます。

 

以上のことから、眼内レンズの選択に関しては、しっかり詳細なカウンセリングをしてくれる医師、施設を選ぶことが重要です。

 

【白内障ってなに? 手術件数月間300件の熟練ドクターがわかりやすく解説!】

運転に不向き?色覚が変わる?レンズごとに異なる特性

Q:夜、車を運転する機会が多いのですが、多焦点レンズは入れられるのでしょうか?

 

A:もちろん入れることができます。

 

運転中は手元だけでなく、遠くの道路状況や標識もよく見える必要があります。また、夜間の運転を考えると、ハロー(まぶしさ)やグレア(視界のにじみ)が起きやすいレンズは不向きです。そのため、ハロー・グレアがより少ないレンズ選択が必要です。最近では、ハロー・グレアがほとんど発生しないレンズもありますので、お勧めです。

 

Q:ゴルフをするのですが、多焦点眼内レンズは入れられるのでしょうか?

 

A:まったく問題ありません。ゴルフをされている方の場合、遠くをクリアに見たいだけでなく、足元を見るための中間部、スコアを書くための手元もはっきり見たいと思われるのではないでしょうか。また、ゴルフ場とご自宅の移動で、暗い中で運転する機会も多いことでしょう。

 

「遠方・中間・近方」に焦点の合う3焦点眼内レンズのうち、光がまぶしく見えにくいタイプのもの(ハロー・グレアが出にくいもの)を使うことをおすすめします。

 

 

Q:仕事柄、色をはっきり見分けなくてはなりません。私に合うレンズはあるでしょうか?

 

A:もちろんあります。

 

仕事上で色の判別が必要なシーンの多い人は、色のコントラストがきれいに見える眼内レンズが向いています。

 

ちなみに、以前は歯科医の方が多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を受けることは禁忌とされていました。色のコントラスト感度が低下してしまうため、診療に支障をきたすことがあったからです。

 

現在では多焦点眼内レンズがたくさん登場し、コントラスト感度が低下しない多焦点眼内レンズもあるため、歯科医の方も安心して選択することができるようになりました。

 

Q:仕事でパソコンを使うのですが、多焦点眼内レンズは入れられますか?

 

A:まったく問題なく入れることができます。

 

3焦点眼内レンズで、中間距離が60cmくらいに焦点が合うものを選ぶとよいでしょう。手元からパソコンまで連続的に見え方が良好であり、さらに遠くも見えます。また、50cmから遠くまでが連続的に見える焦点深度拡張型レンズもおすすめです。

 

Q:焦点深度拡張型レンズというのはどんなレンズですか?

 

A:焦点深度拡張型レンズは、50cmより先が連続して見やすくなる眼内レンズです。ハロー・グレアが出にくいという特徴があるため、夜間に車の運転をすることの多い人には特におすすめです。

 

レンズによって構造が異なるので、医師に個々のレンズの特徴をよく説明してもらい、ご自分のライフスタイルと照らし合わせて最善のものを選ぶようにするとよいでしょう。

どんなに強い近視でも対応できる「オーダーメイド」

Q:強い近視があるのですが、私に合うレンズはありますか?

 

A:どんなに近視が強い方でも、必ず合うレンズはあります。ご安心ください。今は既製の眼内レンズのラインナップもかなり豊富になってきたので、まずはそのなかから合うレンズを選びます。

 

もし、近視が強くて既製の眼内レンズでは追いつかない場合は、オーダーメイドで患者さんの目にぴったり合った眼内レンズを作ることもできます。ただしそれには、

 

●眼内レンズのラインナップの豊富な医療機関を選ぶこと

●既製の眼内レンズでは合わない場合、オーダーメイドに対応してくれる医療機関を選ぶこと

 

が前提条件になります。洋服と同じように考えていただくとよいでしょう。一般的なお店ではS~2Lくらいのサイズまでしかカバーしていませんが、あるお店は3L、4Lサイズの洋服も売っています。身長は高いけれどもウエストが極端に細い人には、オーダーメイドの服でないと合わないかもしれません。

 

どこで、どういう方法で入手できるかはわかりませんが、「自分の体に合った服」は必ず買うことができますよね? 眼内レンズもそれと同じなのです。

 

オーダーメイドの眼内レンズについては、次回詳述します。

 

 

佐藤 香
アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長

 

アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長 

集中力を要する緻密な作業を得意とし、特に最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。
日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケアー「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌などさまざまなメディアに取り上げられている。

http://cataract.eye-care-clinic.jp/

著者紹介

連載スゴ腕ドクター佐藤香の白内障治療Q&A

年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香院長の 白内障治療Q&A

年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香院長の 白内障治療Q&A

佐藤 香

幻冬舎メディアコンサルティング

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