50歳「白内障手術なんて、私には早い」がもったいないワケ

「白内障=70代、80代の病気」というイメージから、患者さんの年齢によっては手術をためらう人が少なくありません。しかし白内障は年齢に関わらず生じうる現象であり、「見えない」状態を放置し続けると、脳に負担がかかり頭痛や斜視になることもあるのです。本連載では、年間1500件もの白内障手術を手掛ける、アイケアクリニック院長の佐藤香氏が、白内障治療に関する疑問を、Q&A方式でわかりやすく解説します。

手術後6ヵ月以内なら、レンズの入れ替えが可能

 

Q:来院してからどれくらいで手術ができるのですか? 手術日は選べるのでしょうか?

 

Aまず、来院してからどれくらいで手術ができるかは、手術を受ける医療機関によります。手術を予定されている医療機関に直接問い合わせてみてください。

 

医療機関によっては1日あたりの手術の件数を3件とか5件などと、限定しているところがあります。そのような場合では手術の予約が半年先、1年先になることもあるようです。

 

当院では、初診(検査含む)から最短で3日後に手術を受けていただける体制になっています。術前3日間は患者さんにご自分で点眼をしていただく「事前点眼」が必要なためです。

 

ただし、緑内障の発作で急激に眼圧が上がり、失明の危険がある場合や、網膜剥離など緊急事態の場合は、初診の当日または翌日に手術を受けていただけることもあります。

 

なお、手術日が選べるかどうかについても、医療機関ごとに異なります。

 

たいていの場合、手術をする曜日や時間帯が決まっているようです。空いている日で最短の日程を選ぶということになるのではないでしょうか。

 

当院でもとりあえず手術の日を決めてはいますが、患者さんのご都合に合わせてフレキシブルに対応させていただいています。

 

そのため、手術のスケジュールを決める際、「いつがいいですか?」とお尋ねすると「えっ? 私の希望で決められるのですか?」と驚かれることがあります。

 

Q:単焦点眼内レンズを入れたのですが、見づらくて後悔しています。多焦点眼内レンズにしたいのですが、レンズを入れ替えるのは可能なのでしょうか?

 

A現在の眼内レンズを入れた直後から手術後6ヵ月くらいまでであれば、他の種類のレンズに入れ替えることは比較的容易です。

 

嚢(のう)の中に入れた眼内レンズがまだ癒着・固定していない状態なので、簡単に取り出すことができるためです。ところが、いったん入れた眼内レンズが固定されてしまうと、古いレンズを嚢ごと取り出して新しいレンズを強膜内に固定することが必要になり、手術が難しくなってしまいます。

 

また、強膜内に固定できる眼内レンズの種類が限られてしまうというリスクもあります。

 

白内障の手術をしたけれど、見え方に不満があるという場合は、なるべく早めに眼内レンズの入れ替えを検討することをおすすめします。

 

【白内障ってなに? 手術件数月間300件の熟練ドクターがわかりやすく解説!】

手術が早いほど「よく見える目」の期間は長くなる

Q:早めに手術することのデメリットはあるのでしょうか?

 

Aもしすでに白内障を発症しているのであれば、早期に手術をすることによるデメリットは何もありません。

 

私も目の不調で来院され、白内障という診断を受けた患者さんから「私はまだ50代なので、手術をするには早いんじゃないですか?」といったご質問を受けることがあります。そんなとき「白内障の手術は早くに受ければ受けるほど、快適にものが見える期間が長くなるので、むしろおすすめですよ」とお話ししています。

 

おそらくお友達から、70代や80代の親御さん世代の方が白内障の手術を受けたというお話を聞いて、「そういう年代の人が受ける手術なのね」と思い込んでいるのでしょう。

 

手術を遅らせるのは、せっかく「よく見える目」を手に入れるチャンスが訪れたのに、それをみすみす失うようなもので、もったいないなぁと思います。

 

手術なんて、自分にはまだ早い…と考えていると、「よく見える」期間が短くなってしまう
早めに手術すれば、「よく見える快適な期間」が長くなる

白内障の手術は「両目同時」がおすすめ

Q:数年前に右目だけ白内障手術をしたのですが、いま左目にも白内障のような症状が出ています。同じ方法で治療をしたほうがよいでしょうか?

 

Aすでに右目だけ白内障手術を受け、数年後の現在、左目にも症状が現れてきたという今回の場合、前回の治療方法や挿入した眼内レンズとは関係なく、ご希望に合わせた治療方法、眼内レンズを選ぶことができます。

 

もし、右目に使ったレンズが多焦点眼内レンズであれば、左目も同じように多焦点眼内レンズを用いることで、両目とも近方も遠方もクリアに見えるように改善されます。

 

右目が単焦点眼内レンズであれば、左目に同じ見え方の単焦点眼内レンズを使う方法もありますが、これまでメガネを使っていた方の場合、多焦点眼内レンズを使うことによって、メガネなしで快適な生活を送ることが可能となります。担当の先生と相談してみることをおすすめします。

 

●左右で異なる焦点距離のレンズを使うのはおすすめできない

 

異なる焦点距離の単焦点眼内レンズを用いる方法は「モノビジョン法」といいます。両方の目の焦点を別々にすることで、遠くも近くもある程度見えるようになる可能性があります。これは健康保険適用の単焦点眼内レンズを用いつつ、疑似的に多焦点眼内レンズと同じ効果を生み出そうとする方法で、多焦点眼内レンズでも使用することがあります。

 

しかし、実際はあまりおすすめできる方法ではありません。左右の視力がずっと異なっている状態ですから、その見え方に慣れるまで相応の時間がかかります。また、ピントが合わず物が2つに見えてしまいます。視神経を司る脳が混乱しやすくなり、そのせいで眼精疲労や頭痛がひどくなったという声も聞きます。

 

●白内障の手術は両目を同時期に行うのが基本

 

ちなみに白内障で最も多い加齢性白内障は、ほとんどの場合、両目とも同じように進行していきます。したがって、両目を同時期に手術する方法が一般的ですが、なかには左目と右目で進行具合が異なる患者さんもいらっしゃいます。できればそのようなケースも、両目とも同時期に手術することをおすすめしています。

 

というのも、片方の目だけを手術すると、左右の目で激しい視力差が生じ、日常生活で不便を感じるようになり、ひどい場合には、片方の目にズレが生じる斜視になってしまう可能性が高いからです。そうした事態を避けるためにも、白内障の手術は両目を同時に行うほうがよいでしょう。

 

 

佐藤 香
アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長

 

 

アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長 

集中力を要する緻密な作業を得意とし、特に最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。
日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケアー「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌などさまざまなメディアに取り上げられている。

http://cataract.eye-care-clinic.jp/

著者紹介

連載スゴ腕ドクター佐藤香の白内障治療Q&A

年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香院長の 白内障治療Q&A

年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香院長の 白内障治療Q&A

佐藤 香

幻冬舎メディアコンサルティング

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