「白内障手術は高齢になってから」…そんな考え方はもう古い!

加齢に伴い発症し、70代でほぼすべての人が患うとされている白内障。逃れられない病である一方で、白内障の治療技術は日々進化しています。今回は、アイケアクリニック院長の佐藤香氏の著書『年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香院長の 白内障治療Q&A』より一部を抜粋し、白内障手術に関する疑問を、Q&A方式でわかりやすく解説します。

根治治療は手術のみでも、サプリメントで予防は可能!

白内障治療の概要について、薬や手術、病院・クリニックによる治療の違いなど、治療を受けるにあたって知っておきたいことを解説します。

 

 

Q:白内障は薬で治らないのでしょうか?

 

A:白内障を根治させるには、現在のところ手術しか方法はありません。白内障治療用の点眼薬やサプリメントも存在しますが、それらを使う目的は白内障の進行を遅らせることです。

 

たとえば「白内障は発症しているが、視力が著しく低下したわけではないのでまだ手術はしたくない」という人がいたとしましょう。その場合は「グルタチオン製剤」や「ピレノキシン製剤」などの点眼薬を処方します。

 

グルタチオンは白内障が進行するにつれ、減少していく抗酸化物質です。それを補うグルタチオン製剤を投与すると、水晶体が濁る原因の1つである不溶性タンパク質の増加を抑えることができます。

 

また、ピレノキシン製剤は、白内障を引き起こす物質の1つであるキノイド物質の成長を抑制します。

 

いずれも白内障の進行をある程度は抑えることができますが、残念ながら、ひとたび濁ってしまった水晶体を元に戻すことはできません。

 

サプリメントで、進行を抑えることができる
サプリメントで、進行を抑えることができる

 

ちなみに「サプリメントで白内障を予防したり、治したりすることはできるのでしょうか?」と聞かれることがあります。

 

最近、目のエイジングに着目して開発されたサプリメントが発売されました。白内障は何度も言うように加齢性の変化ですので、加齢性の変化を予防できるサプリメントを使用することで、白内障だけでなく、眼精疲労や老眼などの予防もできます。「目全体のアンチエイジングをサポートするもの」と考えてみていただき、試していただくのもよいでしょう。

 

また、「根治治療は手術しかない」と言うとネガティブに聞こえるかもしれませんが、反対に「手術さえすれば治せる病気」が白内障ともいえます。国内だけで年間140万件もの手術が行われている現在の状況が、白内障の手術に対する信頼性を如実に表しているのではないでしょうか。

 

日々進歩を続ける眼内レンズがますます多様化し、今や白内障手術は「白内障の根治」だけでなく、より明るく、より快適な視覚をもたらしてくれる「目の若返り」の手術になりました。

 

【白内障ってなに? 手術件数月間300件の熟練ドクターがわかりやすく解説!】

眼内レンズの進歩によって老化を待たずに手術が可能に

Q:白内障と診断されたのですが、手術は必要ないと言われています。本当でしょうか?

 

A:あくまでも推測になってしまいますが、「まだ手術は必要ない」と判断されたのは、白内障が初期段階で、しかも白い濁りが水晶体の外側に発症した「皮質白内障」だったからなのではないかと思います。外側から混濁していく皮質白内障の初期段階は症状が現れにくいものです。

 

そのような場合、かつては「発症していても、日常生活で不便を感じなければすぐに手術する必要はない」という考え方をするのが主流だったからです。

 

●「白内障手術は高齢になってから」は一昔前の考え方

 

以前は、白内障手術で人工眼内レンズを入れる場合、1カ所にしか焦点の合わない「単焦点眼内レンズ」を使うのが主流でした。

 

つまり、手術で水晶体を取り出すことによって、目のピントを合わせる機能も失われてしまうことから、「手術を受けるのは高齢になり、老視が進行したあとのほうがいい」といわれてきました。老視は加齢によって水晶体のピント調節機能が衰えた状態ですから、「すでに老視が進んでいる人なら、今さらピント調節機能を失っても大差はない」という理屈です。

 

●多焦点眼内レンズを入れれば、すぐに「若い目」を取り戻せる

 

現在は多焦点眼内レンズが発達し、老視の進行を待たずに白内障手術を行うケースが増えました。多焦点眼内レンズなら2点もしくは3点に焦点を合わせたり、50㎝より先のすべての視界に焦点を合わせられるものもあります。

 

裸眼でも、遠近両用のメガネやコンタクトレンズを着用しているときのようにピント調節機能を補うことができるようになってきました。

 

これらを総合的に勘案すると、早期に手術をして快適な目を手に入れたほうが、生活の質の向上という点で、大きなメリットがあるといえるのではないでしょうか。

 

 

佐藤 香

アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長

 

アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長 

集中力を要する緻密な作業を得意とし、特に最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。
日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケアー「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌などさまざまなメディアに取り上げられている。

http://cataract.eye-care-clinic.jp/

著者紹介

連載スゴ腕ドクター佐藤香の白内障治療Q&A

年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香院長の 白内障治療Q&A

年間1500件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香院長の 白内障治療Q&A

佐藤 香

幻冬舎メディアコンサルティング

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