「理論脳」だけでなく「感性脳」が発達すると、潜在能力の発揮のみならず、優れた人間性を育むことができます。本連載では、25年前から幼児教育に取り組んでいる株式会社コペル・代表取締役の大坪信之氏が、子どもに「学ぶことの楽しさ」を教える方法を解説します。本記事では、幼児教育における「全脳」の重要性について見ていきます。

名門進学校ほど、「勉強しなさい」と言わない

面白い調査結果があります。東大生の多くは、子どものころ「勉強しなさい」と言われた経験が少ないのだそうです。

 

意外と思われるかもかもしれませんが、東大合格者数ランキングで、トップ10に名を連ねるような名門進学校にも、頭ごなしに「勉強しなさい」と命じたり、おしりを叩いてまで勉強させたりするような学校はありません。

 

ある進学校の校長先生は「いつまでも、教師が生徒を懐に抱えているようではだめ。ある時点で教師が生徒を手放し、生徒が自らの足で歩めるようにしてやらなければ、東大に合格させることはできない」と断言しています。

 

東大生は子どものころ「勉強しなさい」といわれた経験が少ない
東大生は子どものころ「勉強しなさい」といわれた経験が少ない

目標を持ち、自発的に勉強できる人が東大合格を果たす

人間の動機には、大きく分けて2種類あります。

 

「やらないと怒られるから勉強する」というような外的動機付けと、「自分の目標に近づきたいから勉強する」というような内的動機づけです。

 

つまり、外的動機づけだけでは、東大合格は果たせないと、多くの名門進学校の教師たちが口をそろえているのです。

 

そのような学校では、おしりを叩いて勉強をさせる代わりに「今、勉強しなくちゃいけないんだ」ということに気付かせる仕掛けを豊富に用意しているそうです。

 

OBとの交流、社会貢献活動、教科にとらわれない自由な研究体験などです。

 

そのような機会を通して、子どもたちはおぼろげながら、将来なりたい自分の姿をイメージし始めます。教師たちも「キミたちなら、なりたい自分に絶対になれる!」と励まします。

 

しかしそのためには、目の前の勉強を避けては通れないことを、子どもたちは悟っています。

子どもを怒るのではなく、勉強の必要性を説く

なかなか勉強しない子どもを見ていると、ついイライラしてしまいますが、そういうときに親がすべきことは、やみくもに「勉強しなさい!」と怒ることではなくて、「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」を語り合うことではないでしょうか。

 

巷にいわれる「教育危機」や「学力低下」の問題も、もとをただせば、「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」という問いに、大多数の大人自身が、答えを見出せなくなっている結果といえるのかもしれません。

 

教育改革が空回りを続けるのも、「教育とはそもそも何のためにするものなのか?」という、根本的な議論をなおざりにしたまま、表面的な手段ばかりが論じられているからなのではないでしょうか。

 

「今の教育はダメだ」と批判するのは簡単ですが、それだけでは根本的な解決にはなっているとはいえませんよね。まずは家庭で「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」を語り合うことから始めてみてはいかがでしょうか。

「役に立ちたい」という本能に訴えかける動機づけ

ただし、「一流の学校に行ったら一流の仕事ができて一流の給与がもらえますよ」などと言われて「よし、がんばろう」と思える子どもはいるでしょうか。

 

脳の奥深いところに眠っている無意識には、生まれながらにして「世のため人のために役立ちたい」という美しい気持ちが眠っていますので、その強い本能に沿った内容でないと、本来の気持ちと逆方向となってしまうので、ストレスになってしまいうまくいかないというわけなのです。

 

その本来の気持ちに沿った理由というのは、例えば「世のためのお役にたてるために勉強するのよ」ということではないでしょうか。

 

「本当の内的動機づけ」で子どもの心に灯をともしてあげましょう。

 

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    本連載は、株式会社コペルが運営するウェブサイト「コペル」の記事を転載・再編集したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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