「平凡な頭」で東大・京大に受かる親子の「ちょっとした工夫」

受験シーズン真っ只中。早くも合格を手にした受験生、すでに来年を見越している受験生…今年も様々なドラマが繰り広げられています。皆一様に努力しているなか、受験の明暗をわけるターニングポイントとは、一体? 本記事では、学習塾・灘学習院の学院長である江藤宏氏の著書『東大・京大に合格する子どもの育て方』より、特別な才能がなくても、難関大学に受かる親子の共通点について解説します。

「天賦の才」に恵まれた子どもは確かに存在するが…

◆東大・京大に進む子どもの共通点

 

もう30年以上、東大合格者数日本一をキープしている学校があります。東京にある私立開成高等学校です。同校はいわゆる中高一貫校であり、中学校から特別なカリキュラムに基づいた教育を行っています。

 

また、合格者数そのものでは開成高校に譲るものの、東大医学部に限れば合格者数トップを毎年競っているのが、兵庫県にある私立灘高等学校です。灘高校も中高一貫校として知られており、中学の入学試験は日本最難関として有名です。

 

開成中学校や灘中学校の入学試験には、共通する特徴があります。全体的に難易度が高い中でも、算数の問題が飛び抜けて難しいということです。その難しさは、大学院数学研究科の学生でも簡単には解けないレベルといえば、想像がつくのではないでしょうか。

 

例えば立体図形を回転させたり、切り取ったりした結果がどうなるかを問われるような問題があります。こうした問題を解くためには、立体図形を頭の中で思い描き、それを指示に基づいて再構築していく必要があります。まさに考える力が問われる問題です。

 

文章問題にしても、その意図を正しく理解しなければ正解を導き出すことはできません。毎年、趣向を凝らした問題が出題されており、これを解けるかどうかが合否の分かれ目となります。

 

「受験勉強=過去問題集」というように考えている人が多くいますが、これらの学校においては、単純に過去の問題を繰り返して解き、その方法を完璧に覚えたとしても、テクニックだけでは決して解くことはできないのです。学校側の思惑としては、優れた「考える力」を持っている子どもを選抜するために、こうした難問を出題していると考えてよいでしょう。

 

ではどのような子どもなら、こうした問題を解けるのでしょうか。ひと言で表すなら「頭の柔らかい子」です。「頭の柔らかい」子とは、一つの概念にとらわれることなく、多様な発想で考えることのできる子のことです。

 

そして、ごくわずかながら、生まれつき柔らかな頭を持って生まれてくる子どもが、世の中にはおそらく1%ぐらいいます。彼らは生まれながらにして考える力を与えられているために、極めて論理的にものごとを考えることができます。そのため、どんな問題にぶつかってもその突破法を見つけだし、前へ進むことができるのです。

 

天賦の才に恵まれた彼らが適切な教育を受ければ、すんなりと灘中学校や開成中学校に合格し、東大・京大に進むことができるでしょう。多くの受験生が莫大な量の問題を解き、大変な苦労や苦い経験をしている中、不公平といえばそれまでですが、こればかりは持って生まれた才能であり、どうしようもありません。

 

では、生まれながらその素質に恵まれなかった子どもたちに救いはないのでしょうか。決して、そんなことはありません。親のちょっとした工夫で、子どもは自分の頭を使って考えることができるようになり、どんどん柔らかくなっていきます。そのために必要なことは何でしょうか。

子どもの「なぜ?」「どうして?」への対応が鍵を握る

子どもの力を伸ばすマジックワードは、「なぜ?」と「どうして?」です。子どもたち、とくに幼い子どもは好奇心が旺盛です。彼らにとって世の中はたくさんの不思議に満ちた世界に見えています。みなさんも「なぜ、こうなるの?」「どうして、こんなことが起こるの?」としつこく尋ねられたことがあるでしょう。見ること、聞くこと、感じることのすべてに「?」を抱く。そうすることで考える力が育まれ、自然と頭は柔らかくなっていきます。

 

ただし、その際に絶対やってはいけない対応があります。

 

「これはこうなっているから」と、すぐに正解を「教える」ことです。こうすることで知識を与えていると思ってしまいがちですが、実は逆効果です。さらに、最悪な言葉は「忙しい」「うるさい」と聞いてくること自体を否定してしまうことです。このような言葉をかけられてしまうと、子どもは自分から考えることをやめてしまいます。

 

では、子どもから何か質問された時、すぐに答えを出さず「何でだろう?」と、子どもに問いを返せばどうなるでしょうか。

 

幼いなりに、子どもは自分で答えを考えるようになります。つまり頭を使うのです。何か新しいことに出会うたびに疑問が湧き、考える子どもに育ちます。そうやって考えれば考えるほど、子どもの頭には次から次へと新しい疑問が浮かんでくるはずです。そうすることで、いろいろな可能性や関係性に気付く頭の柔らかさを手に入れることができるのです。

 

どんな子どもでも考える力を持つ可能性を秘めています。ですから、適切なタイミングで然るべき訓練を受ければ、間違いなく頭の柔らかな子どもに成長していけるのです。

ごく普通の子どもでも東大・京大に合格できる

「知識欲」という言葉があるように、「なぜ?」と考え、答えを得ることができれば「嬉しい」とか「楽しい」という気持ちが湧き上がってきます。考える時間が長ければ長いほど、得られる喜びも大きいでしょう。ですから、考える力がつけば、学校の勉強が楽しくなります。授業を聞いてきちんと理解していけば、少なくとも国公立大学には十分合格できるだけの学力を身につけることができるといっても過言ではありません。

 

もちろん、頭を使って考える習慣をつけるには幼い頃から始めるのがベストです。それも早ければ早いほど良いでしょう。小学校に入る前、幼稚園に進む前からでも頭を使う訓練は可能です。

 

ただし、幼い頃から訓練した方がいいから、といって幼児教育の塾に入れたり、計算教室に無理に通わせたりしないよう注意してください。よほど特殊な塾でない限り、子どもの思考力を伸ばすどころか、考える力を失わせてしまう結果になる危険性が高いからです。

 

あるいは、幼い頃から計算能力が少しでも高まるようにと、そろばん塾などに通わせることも、一考すべきだと思います。なぜなら計算能力が高いことと、思考力があることは決して同じではないからです。

 

むしろ計算能力が高い子どもほど考えなくなる傾向も見られます。つまり算数の問題を見て計算だけで解けない場合に、考えることをすぐに諦めてしまうのです。自分の持ち味である計算の速さや正確さが求められない問題では面白くないからです。これでは頭を使えない子どもに育ってしまいかねません。意外に見落とされがちな、そろばん塾や計算教室に通わせるリスクです。

 

可能性があるからといって、早くからいろいろ「覚えさせる」ことはまったくの無駄です。無駄に終わるぐらいならまだ救いのある方で、逆効果になる恐れもあります。例えば「お受験対策」などで幼稚園に入る前から、テストの対策法など教え込んだりすると、その後の子どもの伸びしろを奪ってしまうリスクが高いのです。

 

繰り返しになりますが、覚えることと考えることはまったく違います。自分で考えたうえで得た答えは頭に残りますが、詰め込まれた知識は簡単には定着しません。それを強引に「こうなんだ」と定着させようとすればするほど、子どもの頭は固くなってしまいます。

 

子どものために良かれと思ってやった結果が逆効果になってしまう、これほど悲しいことはありません。

 

「頭の柔らかい子」を育てるには?
「頭の柔らかい子」を育てるには?

教育に「遅すぎる」ということは決してない

頭を使う練習を始めるのは早いに越したことはないとお伝えしました。しかし、だからといって、いつから始めても遅すぎるということは決してありません。やり方さえ間違わなければ、中学校からでもぐんと伸びる子はいくらでもいますし、高校から始めたとしても十分に間に合います。そもそも勉強をして考える力を伸ばす目的は、テストで良い点を取るためではありません。人生のゴールは名門大学に合格することではありません。

 

考える力は、すなわち生きる力です。生きる力は人生の苦難を乗り越えるために必要な力であり、誰もが持っている力です。たとえ大人であっても、「なぜ?」「どうして?」と考えていけば、頭を柔らかくすることは十分に可能なのです。保護者の皆さんに求めたいのは、「頭は使い方しだいで必ず柔らかくなる」と信じることです。

 

育ってきた環境や頭を使ってこなかった時間の長さにより、頭を使えるようになるまでの期間に個人差は確かにあります。けれども、正しい方法で訓練すれば、たいていの子どもが、必ず思考力を身につけられるのです。子どもの可能性を保護者がまず信じてあげるべきです。

 

だから、くれぐれも焦らないように気をつけてください。子どもの力は伸びるものだと信じること。そして、夢はできるだけ大きく持つことです。

 

子どもの夢をきちんと受け止め、できれば「もっと大きな夢だっていいよ。きっと叶うはずだから」と引き伸ばしてあげる。目一杯、大きな夢を持たせてあげる。それこそが親の、一番大切な役割だと思います。

 

関西教育企画株式会社 灘学習院  学院長

昭和42年に神戸市灘区に学習塾「灘学習院」を開校。開校以来、思考教育に特化した教育を実践している。自分の頭で考える子どもを育てるため独自の「思考教育」を確立。40年以上に及ぶ指導経験と独自のノウハウを蓄積し、現在は教師の研修指導にあたっている。大手学習塾のように受験を目標とした「詰め込み型」「暗記型」ではなく、考える力自体を伸ばす「思考型」の教育法を実践。

著者紹介

連載幻冬舎ゴールドオンライン人気記事ピックアップ

東大・京大に合格する 子どもの育て方

東大・京大に合格する 子どもの育て方

江藤 宏

幻冬舎メディアコンサルティング

「うちの子は勉強しているのに成績が上がらない」、「あの子は勉強しているように見えないのにいつも成績がいい」と感じたことはありませんか? 実はわかりやすい授業ほど、子どもの可能性を奪っているとしたら──。 40年に…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!