「子どもが将来稼げる人になってほしい」というのは、親にとって切なる願いともいえます。しかし、日々の生活のなかで「親の見栄」に付き合わせてはいませんか? 子どもがお金に困らない生活を送るためには、ただ養うのではなく、「北極星(=将来のビジョン)」を見据えて教育をする必要があります。そこで本連載では、公認会計士林總事務所・林總氏の著書『年収1000万円 「稼げる子」の育て方』(文響社)より一部を抜粋し、学歴だけにとらわれずに、令和時代を生きぬく子どもの育て方を解説します。

「なんとなく」住む場所を決めてはいけない

見栄に振り回されず、「北極星(=将来のビジョン)」を見据え、正しい「選択と集中」で子育てをしていくには、住む場所が非常に重要です。もし、住む場所を選べる状況にあるのなら、「見栄に左右されず」「価値のある選択を貫ける」場所選びをするべきです。

 

住む場所は、ママ友付き合いのある母親、一緒に遊び学ぶ友だちが必要な子どもにとって、人生を左右するほどの大きな意味を持ちます。「私はどこでも大丈夫」とわが道を行ける人であればいいのでしょうが、あまりに価値観の違う人たちのなかへポーンと放り込まれたら、「うちはうち、よそはよそ」を貫き通すことは、親子ともども大きなストレスをともなうからです。

 

同じ町でも、通りを一本挟むとまったく住民のカラーが違うように、住む場所によって付き合う人はがらりと変わります。

 

都内のブランドエリアに住む30代の知人から聞いた話ですが、「ご主人のお勤め先は? 年収は?」が母親同士のコミュニケーションであり、もっとも価格帯の高いタワーマンションの上層階に住む人が、ボスママとして君臨するという世界があるそうです。海外旅行は当たり前で、教育においても就学前から複数の習い事をさせ、小学校受験をさせる家も多い。年収をあからさまに聞く文化を、下品と思わない感覚の持ち主もいるのです。

 

また、地方都市から東京23区に引っ越してきた小5の女の子は、「東京はつまらない」と言い続けています。東京の女の子たちは受験勉強で常に寝不足。休み時間になっても校庭で遊ばないので、その子はいつもひとりぼっちで鉄棒をしているそうです。

 

かと思えば、ママ友みんなが携帯ゲームにはまっていて、LINEゲームのポイント交換が母親同士のコミュニケーションだというエリアもあります。もし、「オペラが好きでたまらない」という人がこういうエリアに住めば、「今シーズン、ミラノのスカラ座はマダム・バタフライで開幕なんですって」という自分にとっては当たり前の話題が、自慢と受け取られてしまうかもしれません。

 

これは極端な例ですが、価値観が合わない場所に住むと「見栄」を助長して、賢い「選択と集中」ができなくなってしまいます。自分たちが無理せず、「選択と集中」を実践できる場所はどこか。子育てには、こうした視点も大切なのです。

 

価値観に合った環境を選ぶ
価値観に合った環境を選ぶ

「教養」と「人間力」が高まる環境はどこなのか?

とはいえ、同質の人々ばかりでかたまるのも苦しいものです。個人的な考えにはなりますが、

 

●老若男女、幅広い年代が暮らしている

●さまざまな職業に就く、多種多様な人々が住んでいる

●大切にされている伝統はあるが、排他的ではない

●文化や歴史がある

●公園が多い

 

といった町は、町自体が成熟して風通しがよい上に、多様な価値観が存在している環境のため、自分の家の価値観を貫きやすいといえます。

 

私自身は、長男が小5のときに東京の下町にあるいまのマンションに引っ越してきました。同時に検討していたのが、公団が分譲していた、関東近郊の新築マンションでした。いまのマンションより広く、価格も安かったのですが、入居者は自分たちと同じ子育て世代ばかり。

 

同世代でかたまるよりは、昔からの文化やコミュニティがあり、商店街なども活発で若者やお年寄りなど多様な人と関われる点が、豊かな人間力を身につけさせたかったわが家の北極星をかなえるには合っていると、いまのエリアを選んだのです。

 

もし、異なる北極星を持っていれば、別の物件を選んでいたでしょう。娘がいてピアノが大好きだったら、のびのびピアノを弾ける都心から離れた場所に、一軒家を買っていたかもしれません。どちらのエリアが上か下かという問題ではありません。自分たちの北極星に合致する、ベストな場所を見つけたいところです。

「当たり前」になっている「教育費のコスパ」を見直す

塾や習い事にいったん通わせ始めると、いつのまにかそれが習慣化し、「行くのが当たり前」になってしまっていませんか?

 

しかし、そもそも教育費は成果を定義してから使うべきものです。集団生活から得るものや友だち関係などを「長期的成果」として定義しているなら、通うこと自体に意味があるのでOK。ですが、もしその長期的成果より、「○○できるようにしたい」と明確な「短期的成果」を重視するなら、塾や習い事の成果は、半年に一度くらいチェックするようにしたいところです。そうすると、意外な無駄が見えてきます。

 

塾に行ってもまったく成績が上がらず、毎月3万円をドブに捨てているも同然なら、早々に塾に見切りをつけ、家庭教師に切り替えたほうが、確実に成果があがり、結果的に費用も安くすみます。

 

スイミングにしても、年間10万円かけて何年も通っているのにまったく上達しないなら、マンツーマンの先生にお願いすれば、レッスン1回につき1万円かかったとしても、1カ月で泳げるようになるので、トータルでは安くすむのです。子育てははじめてのことだらけですから、あとから振り返ると「無駄なお金を使っていた!」というケースがかなりあります。迷ったら、「子どものために自分が求める成果は何か」「コストパフォーマンスを最短で最大化するにはどうすべきか」を考えてみてください。

 

note work

●家計のなかで教育費の範疇にいれるべきものは何ですか?  教育費をこまかく書き出してみましょう(費目は親の価値観で定義します。マンガ代や映画代、交際費などでも、「北極星をかなえるための支出」であれば教育費にカテゴライズします)。

●教育費のコスパを見直してみましょう。

 

 

林 總

公認会計士林總事務所 公認会計士/明治大学特任教授

 

年収1000万円 「稼げる子」の育て方

年収1000万円 「稼げる子」の育て方

林 總

文響社

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