年間約130万人の方が亡くなり、このうち相続税の課税対象になるのは1/10といわれています。しかし課税対象であろうが、なかろうが、1年で130万通りの相続が発生し、多くのトラブルが生じています。当事者にならないためには、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、長男が相続放棄を妹たちにお願いしたことで始まった相続トラブルについて、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

 

長男から一報を受けたふたりの妹は、急いで故郷に帰省。しかし、最期の瞬間には間に合わなかったといいます。まだ父は60歳前。早すぎる死でした。

 

「夜は飲んでばかりいたから。無理がたたったのかもしれないな」と長男。父は長い間、医者から高血圧を指摘されていました。しかし「社長として、夜の誘いは断れないよ」と、毎日のように接待に出かけては、顔を真っ赤にして帰ってくるのが日常だったのです。

 

突然の社長の死でしたが、実質、会社の経営の多くを長男にまかせていたので、大きな混乱はなかったといいます。

 

「でも、まさか自分がこんな風に、急に死ぬとは、思ってもいなかったようだな」と長男。というのも、父は遺言らしいものを一切残していませんでした。「仕方がないわよ、60歳手前よ。これからあなたに社長の席を譲って、きっとのんびり暮らそうとか、思っていたのかもしれないわね」と長女。

遺産放棄をお願いする兄の家に、高価なバッグが……

突然の父の死から1ヵ月ほど経ったときのこと。「相続のことで相談がある」と、長男から妹たちに連絡があったのです。その週の日曜日、実家に三人の兄妹が集まりました。

 

長女「なに、兄さん、あらたまって」

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