医師の「退職金」はどれくらい? 勤務医の最新お金事情

定年退職後の生活を考えるうえで重要な「退職金」。医師は高収入のため退職金も多くもらえるイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか? 本記事では勤務医の退職金事情に着目します。医師向けの資産形成サイト「勤務医ドットコム」を運営する、東京不動産投資株式会社の代表取締役・秋葉侑輝氏が解説します。

「退職金がもらえない」ことを知らない医師たち

◆退職金とはどのような制度なのか?

 

退職金の額を考える前に「自分は退職金そのものをもらえるのか?」を知っておく必要があります。なぜなら、「退職時に支払う」といった制度は法律で定められおらず、あくまでも病院側が主体的に定めている制度だからです。

 

そのため、「自分が勤務している病院には退職金制度がない」ということも考えられます。もちろん支給されると思っていた退職金が出ないとなると、老後の計画も一変してしまいますよね。不安に思った勤務医の方は、総務部に問い合わせるか、手持ちの契約書などを確認してみましょう。

 

ちなみに、開業医の場合も自分自身で退職金制度を設けていなければ、退職金はありません。そのため、自身の定年後に備えて「小規模企業共済」に加入し、毎月掛け金を積み立てていく人も多いようです。

 

また、退職金が出たとしても、収入である以上、税負担が発生します。

 

退職金にかかる税金は【退職金-退職所得控除×1/2】で計算することができます。なお、退職所得控除は勤続年数によって異なり、20年以下は【40万円×勤続年数】、20年以上は【800万円+70万円×(勤続年数-20年)】です。

 

◆医師の退職金はどれくらい?

 

退職金制度がある病院に勤める勤務医の場合、退職金の相場は1,000~2,000万円程度とされています。勤務医の平均年収1,700万円(厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」)から見るとそれほど多い額ではなく、老後に不安を覚える方もいるかもしれません。

 

退職金の額が多くない理由としては、その働き方に原因があると考えられます。退職金は通常、「勤務年数に比例して額が増えていく」ものなので、勤務医も1つの病院、1つの局で長年働き続ければ退職金の額は大きくなるはずです。

 

しかし勤務医の場合、特に若いころは2~3年で病院を移ることが多く、40代になってから1ヵ所の病院に落ち着くというケースが少なくありません。40代から65歳まで働き続けた場合、連続勤続年数は約20年です。一般の会社員が新卒から1つの会社で働き続けると40年以上になるので、およそ半分の年数です。ほかの職種よりも多忙を極めて働き続けているのに、この仕組みのために退職金は増えていかないのです。

 

では、思ったよりも退職金が出ずに、老後の計画を見直さなければならなくなった医師はどうしているのでしょうか。よく「医師に定年はあってないようなもの」といわれますが、実際に定年後も勤務先の病院に非常勤として勤めたり、クリニックに再就職したりしている医師が多いようです。

 

決して多いとはいえない
自分は退職金をもらえるのか?

医師の「支出」は膨大…老後への資産形成は必須

◆退職金をもらうために

 

勤務医が退職金をしっかりともらうためには、勤務する病院が変わる際に、新しく務める病院の制度を事前に確認する必要があります。冒頭でお伝えしたとおり、退職金制度は法律で定められた一律のルールがあるわけではなく、病院が決めているものなので、条件が細かく異なります。

 

退職金制度はあるのか、それとも毎月の給与に上乗せされているのか。加えて、退職金の計算方法も知っておきたいところです。

 

退職金は、勤続年数別に設定された金額が支払われる「定額方式」、退職時の基本給に勤続年数と支給率を掛ける「退職時基本給」、役職や勤続年数をポイントにして計算する「ポイント制」など、さまざまなものがあるので事前にチェックしておきましょう。そのほかにも、退職金が支給される年数は勤続何年以上なのか、という点も確認すべきです。

 

転職するときに、退職金のことを第一に考えて動く医師は少ないかもしれませんが、退職金があるかないか、多いか少ないかは、老後の生活に大きく影響します。

 

得てして医師の方の生活水準は高いです。そのためいくら収入が高くても、それに比例して支出が多ければ、貯蓄に回せないケースが多いのです。退職金がもらえるか否かは大きなポイントになりますね。

 

◆まとめ◆

退職金が出ないかもしれない、もらえたとしても、少額かもしれない。本記事を読んでちょっと憂鬱になった勤務医の方もいるでしょう。でも、定年時にそれに気づくよりも、若いうちに気付いて「老後に向けて対策を打つ」ことができると前向きに考えることもできます。できることから始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

秋葉 侑輝

東京不動産投資株式会社 代表取締役

 

東京不動産投資株式会社 代表取締役

■運営サイト:「勤務医ドットコム」(https://kinmui.com/


22歳で不動産ベンチャー企業に入社し、わずか3年後、社内最年少の25歳で取締役に就任。
その後、不動産デベロッパーにて取締役副社長に就任。2015年、東京不動産投資株式会社を設立。長年のキャリアの中で、医師をはじめとした高所得者に対する重い税負担が「不動産投資」によって軽減され、労働収入だけに頼らない効率的な資産形成となることに気づく。
その運用方法を解説する東京不動産投資株式会社主催のセミナーに参加した医師は、実に700人を超える。

著者紹介

連載勤務医ドットコム発!「医師×お金」の最新事情

本記事は、『勤務医ドットコム』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。