購入前に知っておきたい、関西特有の不動産事情
投資対象として様々な魅力を持つ大阪の不動産だが、本格的に購入を検討する前に、まず関西特有の不動産事情を知っておきたい。株式会社ゼストエステート専務取締役の菅氏は、「東京の不動産よりも大阪の不動産のほうが、節税効果を感じてもらえる」という。

「大阪は東京に比べると土地価格が安いため、物件価格に占める建物比率が大きいという特徴があります。東京が50%なのに対し、大阪は70%程度です。建物比率が大きい物件ほど、減価償却費として計上できる経費が増えるため、より節税効果を感じていただけるのではないでしょうか」
また大阪には、入居者から敷金・礼金、そして更新手数料を徴収する習慣がない。
「大阪で敷金・礼金を取るのはタワーマンションぐらい。ほかの物件は、一切徴収しません。更新手数料も同様で、必要となる物件は全体の5%程度です。通知を送ることもなく、自動更新となります」
東京の場合、賃貸物件の契約期間は2年であることが一般的で、更新の数ヵ月前には管理会社からの通知が入居者へ届く。もし引越しを検討している場合、これが決断を急がせる可能性も高いので、大阪の自動更新式は「空室リスク軽減に貢献している」といえる。
「敷金・礼金の習慣がないことは、関東の投資家にとってマイナスイメージになるかもしれません。しかし近年、敷金は原則として退出時に返却することが求められています。礼金も家賃滞納の担保としては不十分です。連帯保証人や保証会社とより良い関係を結んでおくほうが、得策ではないでしょうか」
東京&大阪の分散投資で、不動産投資のリスクを回避
不動産投資においては、いかにリスクを分散するかが、安定経営の鍵となる。ひとつめの物件が不振に陥ったとしても、他の物件がコンスタントに家賃を回収し続けていれば、全体が軌道を外れることはないからだ。しかし近年、東京の物件価格は上昇し、利回りも低下している。
「オリンピック景気で、東京の不動産は過剰に上昇しすぎました。1軒目が順調だから、都内に2軒目を、という具合には進めづらくなっています。またオリンピック以降の動向が読めないという不安もありますね」
さらに懸念されるのが、首都直下型地震の存在である。政府の地震調査委員会は「今後30年以内に70%の確率で発生する」という予想を発表しているが、その経済被害は約95兆円にものぼる見込みだ。都内で複数の物件を運用していたとしても、自然災害で総倒れとなってしまうようでは、分散投資の意味がなくなってしまう。
「近年、多数の企業が大阪に本社機能を移転させていますが、首都直下地震への対策が理由という企業もあると思われます。本気で不動産投資での成功を考えているのなら、これからは都内だけでなく、大阪にも目を向けるべきではないでしょうか」
もちろん大阪にも、南海トラフ地震という自然災害リスクはある。しかし、東京と大阪のどちらか片方に投資物件を集中させるよりも、分散投資を進めていくほうが、より安定した不動産経営が実現するだろう。

首都圏在住…遠方の不動産管理はどうすべきか?
関東の投資家が大阪の物件を検討するにあたり、一番の懸念材料となるのが、物件管理ではないだろうか。投資家の拠点から近距離にある物件なら、問題が発生した際に現地へ赴くことも難しくはない。しかし大阪と首都圏の間には、数百kmの距離がある。
「距離の問題で二の足を踏むケースはありますね。やはり投資物件が近くにあるほうが、精神的には安心ですから」
現在、株式会社ゼストエステートでは、取扱い物件の管理はすべて自社で行っている。菅氏は力強く「家賃滞納などを巡って裁判のようなトラブルに発展した事例はありません」という。
「東京から距離のある物件への投資に難色を示す方は多いですが、我々の経験則として、所有物件が近くにあるからといって、定期的に視察に来られる方はほとんどいません。信頼できる管理会社であれば、視察など必要ありませんから。それであれば首都圏に拠点を持ち、大阪に物件を所有していても同じことでしょう。不動産投資において、投資対象と拠点との距離はまったく関係ありません。
それよりも、きちんと分散投資をして安定経営を目指すことを最優先すべきではないでしょうか。複数の物件を所有するオーナーは、お忙しい方ばかりです。だから『どうか必要以上に心配なさらず、我々にお任せください』と、声を大にして申し上げています」

近年は副業として不動産投資を行うサラリーマン大家も増えているが、本業で忙しい彼らもまた、所有物件を見に行くことはほとんどないという。それを可能にしているのは、サポート体制が手厚く、不動産経営を任せきりにできる管理会社の存在だ。
首都圏を拠点にする投資家が大阪の不動産を所有するシーンでも同じである。現地で実績のあるプロフェッショナルに任せれば、何も心配することはないのだ。
次回は、株式会社ゼストエステートの正木透次郎代表取締役に、同社の強みや今後の方向性などを伺う。