不動産投資の「融資トラブル」…弁護士相談のタイミングは?

サラリーマン大家の融資トラブルは対処が遅れるほど被害が大きくなり、弁護士に相談した頃にはすでに手の打ちようがない…という事例も珍しくありません。今回は、相談のベストタイミングや、弁護士の実力を最大に発揮してもらうためのコツを紹介します。※本連載は『融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策 』(幻冬舎MC)の内容を一部抜粋・改編したものです。

トラブル解決に動き出すタイミングが遅れてしまう理由

融資のトラブルの内容はさまざまですが、どんな内容のものであれ、基本的にはうまく解決できます。ただし、トラブル解決に向けて動き出すタイミングが遅れるほど、事態が複雑化し、解決する難易度が高くなります。

 

困ったと感じたら、すぐに相談しましょう。このままだと危ないかなと感じたら、とりあえず相談するようにしましょう。その時に「まだ大丈夫」と根拠なく楽観視してしまうことが、のちに命取りになるものなのです。

 

サラリーマン大家は、この判断が遅くなる傾向があります。

 

その理由としては、本業が忙しく、不動産の運用状況をしっかり確認できていないこともありますし、本業が問題なく、かつ不動産投資もできるくらい成功したことで、「自分の人生はうまくいくもの」と自信過剰になっていることもあります。

 

いずれにしても、根本的な原因は危機感が薄いことです。結果、物件の運用費で持ち出しが発生したときに「満室になればなんとかなる」「インフレになれば物件価値が上がる」などと考えてしまい、トラブル解決に動き出すタイミングが遅れてしまうのです。

 

このような思考と心理のバイアスから抜け出すためには、「不安に感じる」ことが大切です。「大丈夫だろうか」「このままでいいのだろうか」という視点を持てば、月々の収支や空室率を見る目も変わります。

 

「このままだと返済不能になるかもしれない」といった危機感が生まれ、どうにかしよう、何か手を打たなければならないと考えるようになります。

 

弁護士に相談するタイミングも早くなるはずです。

 

知り合いの弁護士によると、相談にくるサラリーマン大家のなかには、すでに手の打ちようがないほど行き詰まった状態に陥っている人が珍しくないのだそうです。早く相談していればさまざまな解決策が提示できたにも関わらず、「大丈夫」「なんとかなる」と思い込んでいる間に、改善や回復につながる有効な解決策がどんどん消えていきます。

 

「何でもっと早く来なかったの?」という弁護士はいますが、「相談が早すぎる」と迷惑に感じる弁護士はいません。仮に相談のタイミングが早かったのなら、「今のところ大丈夫のようだ」と安心すればよいだけの話なのです。

最初からお金の話ばかりするのはエチケット違反!?

弁護士への相談は、ほとんどの人にとって初めての経験だと思います。そのため、何を聞けばいいか、いくらかかるか、どんな準備が必要かなど、わからないことも多いはずです。

 

まず費用については、最初の相談だけなら無料の弁護士もいますが、基本的には相談時間に応じた費用がかかります。解決できるかどうかわからない状態でお金がかかることや、相談料が高いといったイメージを持っている人もいますが、そこで選り好みしていては先に進めません。弁護士からすると、対面の相談とインターネット上で情報を提供することは別のもので、相談を受ける際には、相談者一人ひとりの状況を聞き、必要な情報を提供します。そのための対価が相談料であると考えて、相談したい内容をしっかり伝えましょう。

 

安く抑えたいという気持ちはあるかもしれませんが、弁護士を頼る目的はトラブル解決であり、安く抑えることではありません。「あっちの弁護士は安かった」「ネット相談は無料だった」などお金のことに固執していると、せっかくの相談の時間が無駄になりますし、弁護士のモチベーションも下がります。

 

弁護士とのやりとりに限ったことではありませんが、最初からお金の話ばかりするのはエチケット違反ですし、「相談に乗ってもらって助かった」という感謝の気持ちを持つことはマナーです。感謝の気持ちをしっかり伝えることにより、依頼者と弁護士の良好な関係も築きやすくなります。

 

相談する際の準備として、返済不能に陥った(または陥りそうになっている)現状をわかりやすく説明できるように、事実関係を明らかにしておくことも大事です。事実関係とは、現在の負債状況、不動産投資を始めた動機、物件を決めたきっかけ、通ったセミナー、取引やローンの内容などです。そのような経緯を時系列に並べて整理しておくとともに、関連する契約書なども準備しておくと、弁護士も具体的な話しがしやすくなります。相談者であるオーナーとしても、限られた相談時間を有効に使うことができるでしょう。

 

ちなみに、弁護士は有限である時間を切り売りする形で、相談者の相談に乗り、依頼者の弁護を引き受けています。相談したり依頼するということは、貴重な時間を使ってもらっていることとも言い換えられます。事実をあらかじめ整理しておくことを含め、時間を有効に使えるように準備することや、時間を使ってもらっていることに敬意と感謝の気持ちを持つことは社会人としてのマナーともいえるでしょう。

事実関係を隠さず話し「望む結果」を伝える

弁護士とのやりとりでは、相談時だけでなく、正式に依頼したあとも時間を有効に使うことが重要です。

 

弁護士は、オーナーが抱えたトラブルを解決するために、必要な情報を把握し、必要な手続きを取ってくれます。当然、オーナーが置かれている現状が詳細まで分かれば、素早く適切な処置をしてくれますし、現状が把握できなければ、把握するためだけに余計な時間がかかります。これは弁護士業務の生産性を低下させますし、オーナーにとってもデメリットです。なぜなら、時間が経過するほどオーナーが置かれている状況は悪化していくからです。

 

それを防ぐためにも、弁護士には事実関係を包み隠さず話し、どんな結果を期待しているか明確に伝えるようにしましょう。自分のことを説明するのが苦手な人もいますし、説明が下手な人もいますが、そんなことを言い訳にしている場合ではありません。

 

面談時に状況説明などを求められ、うまく説明する自信がないのであれば、あらかじめ事の顛末を時系列で書き出すなどして、メモにまとめておきます。わからないこと、聞きたいことがある場合も、あらかじめメモしておけば時間を無駄にせずに済みます。

 

オーナーは、自分が抱え込んでいるトラブルのことで頭が一杯ですし、自分のことですので、何が、どうなって現状に至ったのかわかっています。しかし、弁護士は何十人、何百人という人のトラブルを同時進行で対応しています。弁護士を味方につけ、最大限の力を発揮してもらうためにも、自分に関する情報を正しく伝え、理解してもらえるように準備することが大事なのです。

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事

1983年、東京都生まれ、埼玉県出身。大学卒業後、不動産投資会社勤務を経て、2012年に独立し起業。2018年1月には業界の健全化を図る目的で、一般社団法人首都圏小規模住宅協会を発足。代表理事に就任。『「融資地獄」行き予防サロン』を設置して投資家の無料相談を受け付けるなど、あくまで公平・中立な立場から各方面に提言を行い、業界の健全化にむけて活動している。主な著書に『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

■一般社団法人首都圏小規模住宅協会運営サイト「不動産投資塾
 (https://ft-school.com/

著者紹介

連載融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策

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