不動産投資で大失敗…担保の「自宅」は手放すしかないのか?

スルガ銀行、レオパレス21……。名だたる企業が今ニュースに登場し、惨憺たる不動産業界の実態が露呈しました。しかし、これらは公表されていなかった「不動産業界の闇」の氷山の一角に過ぎません。本記事では、全ての不動産投資家がこれらを対岸の火事として受け止めず、自らが融資地獄への一途を辿らぬよう、事件の発端を振り返りながら、万が一の際の救済方法を伝授します。※本連載は『融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策 』(幻冬舎MC)の内容を一部抜粋・改編したものです。

自己破産ではなく「民事再生」にすべき理由

返済不能に陥ったオーナーにとって、最も厳しい処置が自宅を差し押さえられてしまうことだと思います。

 

衣食住という言葉にあるとおり、住居は基本的な生活を営んでいくために不可欠なものです。しかし、収益物件を買う場合に、融資を受けるために自宅を担保に入れてくださいと求められる実態があります。

 

事情はどうあれ、返済不能になれば担保は差し押さえられます。その結果として住む場所を失ってしまう前に、自宅を守る方法をしっかり押さえておくことが大事です。

 

では、自宅を守るにはどうしたら良いのでしょうか。

 

自宅の住宅ローンを完済しているか、もともとローンを組まずに所有している場合を考えてみると、債務者であるオーナーは自宅を手放したくないと思っていますが、債権者である金融機関は家を欲しがっているわけではありません。なぜなら、金融機関が欲しいのは現金であり、現金化するための手間がかかる家をもらっても困るからです。

 

また、家はいくらで売れるかわかりません。相場で3000万円の価値がある家でも、実際に3000万円払う人がいなければ現金化できません。現金化を優先するなら価格を下げる必要がありますし、その結果、3000万円の家が2500万円になったり、2000万円まで下げなければ売れないこともあります。金融機関としては、ここが悩みのタネです。早く現金化したいという気持ちがある一方、現金化を急ぐと価格が下がり、融資の回収額が減ってしまうというジレンマがあるのです。

 

ここが債務者側として有利な点です。

 

例えば、競売や業者相手に2000万円でしか売れない物件があり、その物件を2300万円で買ってくれる人を見つけたらどうなるでしょうか。

 

金融機関は債権回収額が300万円増えますので喜びます。債務者側としては、そこから再びお金を貯めることで、家を買い取ってくれた人から買い戻せるチャンスも生まれます。

 

このような流れに持っていくための条件は、自己破産ではなく、民事再生にすることです。破産した場合は自宅などの処分方法を誰かに委ねます。民事再生の場合も、返済不能になった時点で自宅は債権者のものなのですが、再建計画を作り、その内容を裁判所が認可し、債権者から承認を得られれば、自宅を守れる可能性も出てくるのです。

自宅の換金処理が「任意売却」か「競売」か…

返済不能になった時点で自宅のローンが残っている場合は、「個人再生における住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度が活用できます。

 

この制度を使うことにより、まず住宅ローンのリスケができます。ローンを組んだ当初の返済期間を20年から30年にするようなことです。なぜリスケが認められるかと言うと、前述の通り住居が基本的な生活を営んでいくために必要なものであるからです。

 

リスケより売却したほうが良いと思う人もいるかもしれませんが、そこは慎重に考えなければなりません。なぜなら、仮に返済不能になってから自宅を時価より高く売れたとしても、支払不能になっている時点で担保に入っている自宅は原則として債権者のものであり、「勝手に動いてほしくない」「もっと高く売れたかもしれない」と指摘される可能性があるからです。

 

自宅を守れるかどうかは、担保に入っている自宅の換金処理が、任意売却なのか競売なのかによって変わります。任意売却は、不動産を所有するオーナーの意思で売却すること、競売は、オーナーの意志に関係なく、債権者や金融機関が主導して不動産を売却することです。任意売却の方が高く売れる可能性があり、債務者であるオーナーとしては返済額を減らすことになり、債権者である金融機関としては貸し倒れとなる回収不能の金額を減らすことになるため、双方にとって望ましい方法といえます。

 

収益用物件に関しても同じことが言えるでしょう。任意売却の場合、買いたいという人がいれば、競売よりも高く売れる可能性が高くなります。競売になると売却価格は下がるため、結果としてオーナーが返済する金額も減りますし、金融機関としても返済不能になった時の損失が大きくなるため、任意売却で高く売ることがオーナーにとっても金融機関にとってもより良い方法だと言えます。

 

ただし、収益不動産の場合は、売却価格よりもローンの残債の方が多く残ることがあります。例えば、2億円の融資を受けて購入した物件が、任意売却でも1億2000万円にしかならないようなケースです。この場合、仮に物件を現金化できたとしても、8000万円のマイナスになります。このように、不動産の時価よりも残ったローンの額が大きく、ローンが完済できなくなる状態を「オーバーローン」と呼びます。

 

そのような状態を避けるためにも、物件の価値と融資額を購入時にしっかりと確認することが重要です。

 

また、任意売却はあくまで任意ですので、オーナーが嫌と言えば売却には至りません。実はそのような理由で任意売却のチャンスを伸ばし、結果として競売で安く売り叩いているケースもあります。

 

オーナーの心理として、物件売却を自分の意志で決定するのは辛いものです。競売のように一定のルールに従って進んでいくものと違い、ルールがない任意売却は、競売より高く売れるとわかっていたとしても、心理的な壁が売却の判断を邪魔することが多いのです。

 

この状態まできたら、「物件を手放したくない」という心理はいったん脇に置き、できるだけ負債額を少なくすることを優先して考えることが重要です。

 

任意売却は、複数の買い手が現れますし、誰に売るかによってその後の展開も変わります。知識とスキルがモノをいうことも多いため、自分で損得や売り時を判断するのではなく、一定の経験がある専門家に任せたほうが良いと思います。

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事

1983年、東京都生まれ、埼玉県出身。大学卒業後、不動産投資会社勤務を経て、2012年に独立し起業。2018年1月には業界の健全化を図る目的で、一般社団法人首都圏小規模住宅協会を発足。代表理事に就任。『「融資地獄」行き予防サロン』を設置して投資家の無料相談を受け付けるなど、あくまで公平・中立な立場から各方面に提言を行い、業界の健全化にむけて活動している。主な著書に『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

■一般社団法人首都圏小規模住宅協会運営サイト「不動産投資塾
 (https://ft-school.com/

著者紹介

連載融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策

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