本記事は、2017年6月23日刊行の書籍『人生を破滅に導く「介護破産」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本来、施設の種類によって「入居」「入所」と書き分けるべきですが、文章の分かりやすさに配慮し、すべて「入所」に統一しています。

「社会保障費」抑制のため国が在宅介護を促している?

なぜ、介護保険制度が導入され、社会保障が手厚いといわれている日本でこのようなことが起きているのでしょうか。そこには少子高齢化の進展に伴う社会保障費の増大が国の財政を圧迫しているという理由があります。国は介護保険報酬を抑制するため、高齢者ケアを費用がかかる施設介護から、できるだけ在宅介護を目指す方針へと大きく舵を切っています。

 

日本の介護保険制度について簡単に説明しておきましょう。昔はほとんどの家庭で、家族が在宅で介護をしていました。その中で身寄りのない高齢の生活困窮者や介護が困難な家庭に対しては、自治体が個別に福祉サービスの必要性を判断して、行政が主体となって税金を使う「措置制度」として、各サービスを提供していました。

 

ただし、自治体がサービスの種類や提供事業者を決定するため、サービスの質がなかなか向上しないという問題点がありました。また、「措置制度」はすべて公費でまかなわれていたため、社会保障費(医療・年金・福祉・介護・生活保護などを支える予算)が増大する一因にもなっていました。

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人生を破滅に導く「介護破産」

人生を破滅に導く「介護破産」

杢野 暉尚

幻冬舎メディアコンサルティング

介護が原因となって、親のみならず子の世帯までが貧困化し、やがて破産に至る──といういわゆる「介護破産」は、もはや社会問題の一つになっています。 親の介護には相応のお金がかかります。入居施設の中でも利用料が安い…

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