抗議デモが長期化…「香港」の経済に与える深刻な影響とは?

三井住友DSアセットマネジメント株式会社が、アジアリサーチセンターのレポートを基に、2019年9月のアジアマーケットと見通しについて解説します。※本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するマーケットレポートを転載したものです。

香港<ピックアップマーケット>

抗議デモで経済に深刻な影響デモ収拾にあたって波乱の展開も

 

【株式市場】抗議デモ収束見えず市場心理好転に時間

 

10月は自律反発の動きとなったが、依然抗議デモ収束への道筋は見えない。11月24日に予定される区議会議員選挙に向けてデモが過激化する可能性もあり、当局のデモ対応方針がより強硬的なものに転じると波乱の展開も予想される。当面、株価バリュエーションの拡大は想定しづらい。香港域内からの売上構成比率が低く、中国本土に収益基盤を有する企業への選別投資が望ましいだろう。

 

【社会情勢】デモは長期化する見込み

 

香港政府は10月23日、逃亡犯罪人条例改正案を正式に撤回した。しかし政府とデモ隊はすでに互いに譲歩する機会を失っており、暴力的なデモが週末中心に繰り返されている。選挙管理委員会は10月29日、民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)の区議会選挙(11月24日開催予定)の立候補を却下した。黄氏の主張が香港政府の独立を目論んでいるなどが却下の理由である。黄氏は2014年の雨傘運動の学生リーダーの一人であり、今回のデモにおいても反政府の象徴的な存在だ。この選挙委員会の判断が、デモ隊の反発を招き、デモは長期化する様相を呈している。

 

【マクロ経済動向】2019年はマイナス成長の可能性

 

デモは週末に過激化する傾向があり、商店が休業に追い込まれるケースが頻発している。また人民元安香港ドル高の進展、デモの過激化で、中国本土からの観光客が急減しており、9月の小売売上高は前年同月比▲18%減少した。陳茂波(ポール・チャン)財政司長(財務相に相当)は10月27日、2019年の香港の実質GDP成長率がマイナスに転じる可能性に言及した。

 

(注)データは2018年1月1日~2019年10月31日。  (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
ハンセン指数 (注)データは2018年1月1日~2019年10月31日。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
(出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)データは2007年1月~2019年9月。春節休暇の影響を除くために1-2月は平均値。  (出所)CEICのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
香港小売売上高 (注)データは2007年1月~2019年9月。春節休暇の影響を除くために1-2月は平均値。
(出所)CEICのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

ベトナム<ピックアップマーケット>

低インフレ、安定成長見通しで海外資金の流入継続を見込む

 

【株式市場】良好なファンダメンタルズを背景に上昇を見込む

 

今年春先からのボックス圏推移を経て、VN指数は上値抵抗線だった1,000ポイントを漸く超えつつある。2018年に記録した高値まではまだ距離があるが、高成長、低インフレを実現し、通貨ドンも安定しており、株価見通しは良好だ。他国に追随した予防的な利下げも企業業績にプラスに働こう。株価バリュエーションに割高感もない。中期的には新興国市場への格上げ観測もプラスに働く。

 

【為替動向】ドンの安定性が高まる

 

従来、中国人民元との相関が高かったベトナムドンだが、8月以降の人民元安に追随することなく、安定的に推移している。低インフレ、経常収支黒字などベトナムドンが評価される要因が多く、ベトナムへの資金流入が継続している。人民元の動向には注意が必要だが、経常収支黒字、低いインフレ率、比較的高い経済成長率など、ベトナムの良好なファンダメンタルズがドンの安定性に寄与する動きが続くと予想する。

 

【マクロ経済動向】高い生産の伸びと低いインフレが持続

 

10月の鉱工業生産は前年同月比+9.2%と、9月の同+10.2%に続き、高い伸びとなった。1-9月の実質GDP成長率は前年同期比+7.0%であり、2019年の政府成長率目標6.0~6.8%の達成は確実だろう。

 

10月の消費者物価は前年同月比+2.2%と、引き続き政府目標の4%を下回った。低インフレは国内需要の安定成長のための重要な要素となる。

 

(注)データは2018年1月1日~2019年10月31日。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
VN指数 (注)データは2018年1月1日~2019年10月31日。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注1)データは2018年1月1日~2019年10月31日。  (注2)逆目盛。  (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
ベトナムドンと人民元 (注1)データは2018年1月1日~2019年10月31日。
(注2)逆目盛。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)データは2016年1月~2019年10月。 (出所)CEICのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
消費者物価上昇率 (注)データは2016年1月~2019年10月。
(出所)CEICのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

インドネシア<ピックアップマーケット>

政治が安定化、ルピア堅調、金融資産は上昇へ

 

【株式市場】追加利下げ期待で堅調な展開

 

業績見通しの悪化方向は変わらないが、ルピアが安定しており景気テコ入れのための追加利下げ期待が可能な状況となっている。財政規律を重視する方針をジョコ大統領が示したため、財政拡大期待は後退しているが、財政健全化は長期金利、ルピアの安定を通じ金融政策の柔軟性を高めるため、中長期的に株式市場にプラスに働くとみられる。株価バリュエーションは適正水準にあり、堅調な相場展開を予想する。

 

【為替動向】景気回復を視野にルピアは安定化の方向

 

中銀は10月24日の金融政策決定会合で市場予想通り政策金利を5.25%から5.00%へ引き下げた。中銀は次回の政策は経済指標次第としたが、7-9月の実質GDP成長率が前年同期比+5.0%と低迷を続けたことから、追加利下げ観測が続きそうだ。利下げ観測に伴う国債の利回り低下期待は海外投資家によるインドネシア国債投資意欲を高め、ルピア安定につながると予想する。

 

【政治動向】ムルヤニ財務相が留任

 

ジョコ大統領は10月23日、第二期ジョコ政権の閣僚名簿を発表した。第一に、スリ・ムルヤニ財務相が留任した。この点は政府が財政規律にこだわる姿勢を明確に示しており、将来的なソブリン格上げの可能性を示唆する。第二に、大統領選のライバルであったプラボウォ氏が国防相に就任した。同氏は最大野党グリンドラ党の党首であり、同党の取り込みは国会における与党議員のシェアが74%まで拡大することを意味する。ジョコ大統領の政権基盤の安定につながりそうだ。第三に、副大統領にイスラム指導者が就任したことはイスラム教徒が多いインドネシア社会の安定に寄与しそうだ。

 

(注)データ期間は2018年1月1日~2019年10月31日。  (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
ジャカルタ総合指数 (注)データ期間は2018年1月1日~2019年10月31日。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注1)データ期間は2018年1月1日~2019年10月31日。  (注2)対米ドルは逆目盛。  (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
為替レート (注1)データ期間は2018年1月1日~2019年10月31日。
(注2)対米ドルは逆目盛。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(出所)各資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
(出所)各資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【アジアリサーチセンター】Market Monthly/三井住友DSアセットマネジメント

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