融資地獄…支払の請求に対抗する「手元不如意の抗弁」とは?

※本連載は『融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策 』(幻冬舎MC)の内容を一部抜粋・改編したものです。

インターネットを探しても「適切な情報」がないワケ

今回は、融資の返済が厳しくなってきたときにどうすれば良いかというテーマで考えてみます。

 

融資や不動産に限らずですが、何か調べようと思ったときにインターネットで探すのが当たり前になりました。実際、インターネットは便利ですし、たいていの情報は見つかります。しかし、融資やローン返済についてはそこまで簡単ではありません。

 

その理由は単純で、解決方法などが書いてある法律や金融関係の記事は見つかりますが、その内容が難しすぎて、意味がわからないからです。

 

正しい解決策があっても、その文章に法律用語や、金融・不動産といった業界用語が多く、読み手として意味が理解できなければ、読んでも無駄です。むしろ、意味を誤解したり、重要な部分を読み飛ばしてしまうことにより、間違った方法をとったり、そのせいで状況が悪化する可能性もあります。

 

ですから、インターネットでの答え探しはやめましょう。難解な文章を解読するために貴重な時間を使わずとも、重要なポイントだけしっかり押さえれば、ローン返済という難しい問題にもきちんと向き合えるようになるのです。

支払の請求に対抗する「手元不如意の抗弁」は最強

融資とはつまるところ借金です。一般的に借金はいずれ返すものと認識されていますし、ほとんどの人が返しますが、そもそも借金は必ず返さなければいけないものなのでしょうか。

 

例えば、自己破産する人がいます。夜逃げする人もいます。

 

このような例からもわかる通り、「借金は必ず返さなければならないもの」ではありません。ローン返済も同じで、借りたときに「返済できる」と判断したとしても、返せなくなることは十分ありえます。そういう状態になったときこそ、「借金は必ず返さなければならない」というモラルを疑うところから始めるのが大事なのです。

 

これは私個人の見解ではなく、借金問題などに詳しい弁護士の見解です。「とうてい返せない額の借金を、無理をし、周囲に迷惑をかけてまで返さなければならない」というのは誤った固定観念であり、捨て去るべき偏見だというのが弁護士たちの常識です。なぜなら、どんな債権者であっても、いかに優秀な取り立て人であっても、法律の実務上、「ないところからは取れない」のが現実だからです。

 

ローン返済が滞り、もうダメだ、諦めるしかないと思いつめているのだとしたら、「手元不如意(てもとふにょい)」という言葉を覚えておくと良いと思います。これは「家計が苦しくお金がない」という意味の言葉で、テレビの時代劇などでは「手元不如意なので払えぬものは払えぬ」「不如意で支払いもままならぬ」などと「返したいのは山々だが、お金がないので返せない」と開き直るときのセリフとしてよく使います。

 

手元不如意は法律の世界でも非常にメジャーな言葉で、「払いたいが払えない」という「手元不如意の抗弁」は、支払の請求に対抗するための最強の理由といわれています。

 

返せるなら返したほうが良いのですが、生活を切り詰めるにも限界があります。消費者金融などから借りるとさらに傷が深くなります。家族や友人に頼って借金すれば、彼らの信用を失うことにもなるでしょう。そのような手段を考えるなら、手元不如意の抗弁を武器にして、しぶとく、したたかに生きましょう。モラルに縛られるよりも、生き残ることが最優先です。

金融機関も「事故は起きるもの」と認識している⁉

返済が滞った場合、貸す側である金融機関はどのような処理をするのでしょうか。

 

金融機関には「事故率」という言葉があります。これは返済不能になる人の割合のことで、何千人、何万人もの人に融資しているため、そのなかには必ず返済不能に陥る人がいます。つまり、金融機関としても「事故は起きるもの」と認識していますし、そもそも審査によって無理なく返せる金額と判断したうえで融資しているわけですので、返済不能になった背景として、金融機関側の責任もゼロとは言い切れないのです。

 

返済不能になったら、金融機関はマニュアルに従って事故処理の手続きを粛々と進めます。ただし、どのような方法をとるにしても、「ないものは取れない」という現実は変わりません。

 

例えば、1億円借りていた人が破産し、ホームレスになったとしましょう。手順としては、この人を相手に裁判を起こすのが普通かもしれませんが、訴訟するためには弁護士費用などがかかります。

 

さて、仮にそのコストが100万円だとして、訴訟は得策でしょうか。相手がホームレスの場合、訴訟で勝っても貸したお金が返ってくる可能性は限りなくゼロです。勝ってもゼロ円の訴訟に100万円かけるのはビジネスの面から見てもコストパフォーマンスの面から見ても最悪ですし、普通の人は放置したほうが良いと考えます。

 

一般的なお金のやりとりは、お金を借りるほうよりも貸すほうが力が強いのですが、返済不能は「一般的」ではありません。一般的でなくなった世界では、債務者が圧倒的に有利になります。この革命的とも言える環境に甘んじることが、ローン返済のトラブルと向き合うための最良の方法なのです。

払えないことに悲観したり、絶望する必要はない

返済不能になる例としてホームレスの訴訟を挙げましたが、オーナーは実際にはホームレスではありません。一文無しではなく物件という換金可能な資産を持っているため、返済不能になった場合は、融資を受ける際に担保に入れているはずの物件が差し押さえられます。

 

差し押さえられた物件は、その後、競売を通じて現金化されます。そのお金を返済の一部に充てることで、金融機関は損失を埋めるわけです。

 

しかし、競売価格は相場より安くなるため、金融機関の損失は完全には埋まりません。残りはどうするかというと、おそらく強制執行という仕組みを通じてオーナーの預金、不動産、給料などを押さえることになります。ただし、金融機関側から見ると、債権回収になっても全額回収できるわけではなく、時間や手間がかかります。オーナーの資産状況によっては金融機関が大損することもあります。

 

そのため、出来るだけオーナーが返済不能になるのを防ぎたいと考えます。返せ、どうなっているんだなどと強く返済を迫ってくることはありませんし、返済期間を調整するなどして返済を継続できるように手伝ってくれることもあります。

 

もし返済が厳しくなったとしたら、そのような手助けを受けながら再起を目指しましょう。どうにもうまくいかなかった場合は、最後の手段として物件や預金などが取られることはありますが、命までは取られません。まして、オーナー側が自分の命を絶とうなどと考える必要はまったくなく、無理に払おうとする必要も、払えないことに悲観したり、絶望したりする必要もないのです。

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事

1983年、東京都生まれ、埼玉県出身。大学卒業後、不動産投資会社勤務を経て、2012年に独立し起業。2018年1月には業界の健全化を図る目的で、一般社団法人首都圏小規模住宅協会を発足。代表理事に就任。『「融資地獄」行き予防サロン』を設置して投資家の無料相談を受け付けるなど、あくまで公平・中立な立場から各方面に提言を行い、業界の健全化にむけて活動している。主な著書に『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

■一般社団法人首都圏小規模住宅協会運営サイト「不動産投資塾
 (https://ft-school.com/

著者紹介

連載融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策

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