何も信じられない…スルガ銀行「調査報告書」を改めて読み解く

スルガ銀行、レオパレス21……。名だたる企業が今ニュースに登場し、惨憺たる不動産業界の現状が露呈しています。しかし、これらは公表されていなかった「不動産業界の闇」の氷山の一角に過ぎません。本連載では、全ての不動産投資家がこれらを対岸の火事として受け止めず、自らが融資地獄への一途を辿らぬよう、事件の発端を振り返りながら、万が一の際の救済方法を伝授します。※本連載は『融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策 』(幻冬舎MC)の内容を一部抜粋・改編したものです。

借り手のサラリーマン大家の属性を高く見せるために…

スルガ銀行の問題は、誰が、どんな手口で、どんな風に関わったかを明らかにすべく、第三者委員会による実態解明が行われ、その内容をまとめた調査報告書が公表されています。ただ、この調査報告書は弁護士が難しく、堅苦しい表現でまとめているため、内容を理解するのが大変です。今回は調査報告書の内容を不動産投資をする人にとって重要なポイントをわかりやすく紹介します。

 

①債務者関係資料の偽装

 

まず押さえておきたいのは、借り手であるサラリーマン大家の属性を高く見せるために、さまざまな資料が偽装されていたことです。その実態をまとめているのが以下です。

 

1債務者関係資料の偽装

(1)通帳その他の自己資金確認資料の偽装

スルガ銀行では、シェアハウスローンを含む収益不動産ローンにおいて、10%の自己資金を投資家に要求する運用となっていた。これに対して、10%の自己資金を用意できない投資家や当該投資家に不動産を販売したい業者が、10%の自己資金があるかのように偽装する工作が行われた……(本書、P89の3行目まで引用)。

 

②物件関係資料の偽装

 

サラリーマン大家の属性を高く見せるだけでなく、彼らに販売する物件についても複数の偽装が行われました。その実態をまとめているのが以下です。

 

2物件関係資料の偽装

(1)レントロールの偽装

物件関係資料の偽装の典型例がレントロールの偽装である。収益不動産ローンの融資基準では満室想定賃貸収入の70%を返済原資とみて融資限度額を算出することとされていたため、物件価格……(本書、P94の4行目まで引用)。

 

③売買関連資料の偽装

 

すでに「偽装」「偽装」の連続に嫌気が差している人もいるでしょうが、偽装工作はさらに続きます。その極めつけとも言えるのが「二重売買契約」と呼ばれる売買契約書の偽装です。

 

売買契約書の偽装は、簡単に言えば、金融機関との契約書と、実際の契約に使う契約書を2つ作成するものです。スルガ銀行は、物件価格の90%までが融資の上限で、残りの10%はオーナーが自己資金で賄うことになっていました。しかし、オーナーのなかにはその資金が無い人がいます。その人たちのために、あらかじめ自己資金相当の10%分の金額を上乗せした売買契約書を作成し、オーナーが満額融資を受けられるようにしたわけです。その実態をまとめたのが以下です。

 

3売買関連資料の偽装

(1)売買契約書の偽装(二重契約、減額覚書等)売買価格の偽装は、スルガ銀行に見せる本来の価格よりも高い価格の売買契約書と、実際の価格による売買契約書を二重に作成する手法である……(本書、P99の1行目まで引用)。

融資額や返済計画について現実的に考えることが大事

今回の記事で紹介した内容は、調査報告書のほんの一部です。調査報告書は、その名の通り、調査で分かったことをまとめたものですので、実態が不明瞭なこと、把握できていないことには触れていません。そう考えると、世の中に公表されている情報は氷山の一角であり、裏ではさらにあくどいことが行われている可能性も十分あります。

 

そのリスクを避けるためには、いくら相手が金融機関の人であっても疑ってかかるくらいの意識が必要です。肩書き、役職、見た目の爽やかさなどに惑わされてはいけません。もちろん、真面目な銀行員もたくさんいますし、大半は真面目な人だとは思いますが、そのなかに混じっているごくわずかの悪人を避けるために、常に警戒心を持って接することが重要なのです。

 

また、調査報告書によって明らかになった事実は、「見ず知らずの街で起きた事件」ではありません。身近な銀行でも似たようなことが行われているかもしれませんし、自分が買おうとしている物件の取引で、同じことが行われる可能性もあります。

 

だからこそ、正しく疑い、しっかり計算し、融資額や返済計画について真剣かつ現実的に考えることが大事です。この事件を教訓とし、勉強材料にして、リテラシーを高めることが、自分のお金を守ることにつながるのです。

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事

1983年、東京都生まれ、埼玉県出身。大学卒業後、不動産投資会社勤務を経て、2012年に独立し起業。2018年1月には業界の健全化を図る目的で、一般社団法人首都圏小規模住宅協会を発足。代表理事に就任。『「融資地獄」行き予防サロン』を設置して投資家の無料相談を受け付けるなど、あくまで公平・中立な立場から各方面に提言を行い、業界の健全化にむけて活動している。主な著書に『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

■一般社団法人首都圏小規模住宅協会運営サイト「不動産投資塾
 (https://ft-school.com/

著者紹介

連載融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策

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